第10話 500年前から
「アデヴァーレにか?」
「うん!」
4歳の生誕日に俺はこの村の近くにある大都市であるアデヴァーレに行きたいと父であるサルムに伝えた。
「なぜアデヴァーレに?」
「え、えっと」
ま、まずい。
魔術を学びたいなんて言えるわけない、そもそもまだサルムには魔術を教えて貰っていることに関しては知られていないのだ。
「そ、外を見てみたいんだ!」
「確かにクロムちゃんはこの村を出たことないわねぇ」
「しかし最近のアデヴァーレは治安が悪くなってきている」
「サルムちゃんが守ればいいじゃない」
「しかし...いや、確かにそうだなクロム翌日の朝、アデヴァーレに行くとしよう」
「やったぁ!!」
翌朝、俺はサルムとアイリとともに馬でアデヴァーレに向かうことになった、馬は3人のせても問題ないくら位の大きさだ。
「3人で出かけるなんて初めてじゃないかしら!!」
「そうだな、そう考えると確かに今日の旅行はいいものかもしれない」
「ワクワク」
その中で俺はワクワクと言いながらわくわくしていた。
アイリが言っていたように俺はあの村から出ることは初めてなのだ。
「アリアさん、今日もよろしくお願いします」
「はい...おや、珍しい人がいますね」
「こんにちは!!クロムです!」
「私はここの門番をしているアリアです」
アデヴァーレの門にていつぞやの門番に出会う。
雰囲気からしてサルムとは何度もあっているようだった、よく村の外に出ているため納得はしている。
その後来た目的やその他もろもろを聞かれた。
「最後にこれを」
「これは?」
「ただのブレスレットですよ」
...これただのブレスレットかな、なんか不思議な感じがする。
「クロム行くぞ」
「あ、はい」
そう言われ俺は馬に乗る。
そして
「ここが、アデヴァーレ」
アデヴァーレに入ると、そこには大勢の人が活気よく生活していた、屋台......いや商店街みたいなものか?そんな感じの店がたくさん並んでいた。
「それじゃあクロム、アイリの言うことを聞くんだぞ...アイリ、クロムの事を頼んだぞ」
「はーい」
「うん、任せて!!」
アデヴァーレに入ったすぐ後、俺たちは貸し出しされている馬小屋でサルムと別れ、俺はアイリと共に動くことになっていた。
「さぁクロム!!今日は.......あれ?クロム?」
いつもどうり親から抜け出すと俺が向かう先はもう決まっていた。
「でっけ〜」
ここはアデヴァーレの中心街のある本屋。
当たり前だが村長宅より本が多いため何か面白いものがあると思ったのだが。
「う〜ん」
あまりいいものはなかった、小論文的なものが多く、俺が求めているものはなかった。
しかし、端の方のこじんまりとした異質な空気が漂うコーナーの看板を見つけると驚きの言葉が書かれていた。
「これは...魔導書!?」
この世界の言葉で魔導書と書いてあり、おそらく魔術が書かれていなくても魔術に関するものであることには間違いはないだろう。
「よし!買おう!!」
即決だった、そりゃそうだろう、魔術に関する本はいままで見たことがない、それほどこの本達の存在は特別なものだった。
5冊ほど重い本を持ち会計に行く。
しかし興奮で俺は1番大事なことを忘れていた。
「おばちゃん!!これおねがい!」
「はいよ合計で400ダリス金貨ね」
「....え........あ」
そう俺には金がなかったのだ。
聞いたところによると、この世界ではダリス銅貨→ダリス銀貨→ダリス金貨の順で価値があるらしい、そこまではいい、問題は貨幣の価値が1000の位で変わることだ。
つまり銅貨は1円から1000円
銀貨は10000円からまで1000000円
金貨は10000000円から1000000000円となる
つまり
「1冊8億かよぉ」
無理である。
この世界の給料がどれほどかは知らないが8億なんて絶対に無理だ。
近くの出店ではほとんどの人が銅貨で買い物をしていて、銀貨ですら見ない。
それほど金貨は貴重なのだ。
「...ん?ここどこだ??」
残念な気持ちでいっぱいな中、初めて来た場所でめちゃくちゃ迷子になっていた。
「う〜ん...よし、困ったら左の法則に習おう」
よく迷路とかでよく言われる左の法則に従い、俺は左に向かうことにした。
この選択を俺は一生忘れないことになる
「治安悪いな...」
最初の感想はこれだった。
路上で人が倒れているし喧嘩する声は何処からでも聞こえてくる。
いわゆるスラム街というのだろう。
「道...間違えたか?」
今更戻ることも出来ないので前に進む。
すると声が聞こえて来た。
「なぁ姉ちゃん、いいから俺たちに着いてこいよぉ」
「気持ちよくさせてやるぜぇ!」
「...」
「えぇ...」
俺の悪人面と全く同じな輩が恐らく1人の女性を囲み、
今にも襲うような感じだった。
恐らくというのは顔が見えないからだ、布を被っていてどこから見ても顔は見えない。
しかし、豊満な胸に引き締まった身体、ボンキュッボンってやつがピッタリ当てはまるような体で、どう考えても魅力のある女性なのは明らかだ。
恐らく布を被っているせいで注目を集め、目をつけられたようだ。
「へへっ姉ちゃん顔を見せなよぉ」
「悪いようにはしねぇぜぇ」
「...」
助けるなんて正直考えてなかった。
見なかったことにすればなんて事ないと思っていた。
『___はそれでいいの?』
どこからか、声がした気がした。
「......おい」
「あぁん?」
「その人から、離れろ」
「ああ!?」
「いや、えっと...離れた方がいいと思って...」
気づけば俺は、男たちから女性を助けようと前に出ていた。
ちなみに俺は見た目どうりの筋力に体力だ、あいつらに喧嘩で勝てるとは思ってない。
「なぁ見ろよ」
「あぁん?」
「あのガキ、結構なご身分じゃねえのか?」
「へっ、たしかになぁ」
「こんなところでいい服装してる訳ねぇもんなぁ」
「ちょうどいい、攫っちまおうぜ」
ただ、俺にはこれがある。
「近づくな」
「はぁ?こいつビビっちなってるよwww」
「それ以上来たら...打つ」
「何を言ってんだよこのガキがァよぉ!!」
「『火の矢』!!」
「あぁ!?」
「このガキぃぃぃぃぃ!!!!!」
「ざまぁねえな!!」
奴らを燃やしながら俺は女性を助けようとする。
奴らは燃えてるため俺に構うことは出来ないはずだ。
しかし、俺は忘れていた。
「このガキがよぉぉぉぉ!!」
「は!?なん...!?ぐ、が......ぁぁ」
そうだ、忘れていた。
この世界は異世界だ。
気づけば俺は殴られ地面に倒れていた、子供が魔法を打てる世界でそんな簡単に人が死ぬわけないのだ。
俺が燃やしたはずのやつらは何事もなくヘラヘラとしていた、俺ができたのはせいぜい服を少し燃やしただけだ。
「ぐ...あぁぁぁ」
痛ぇ、横腹に穴が空いたような痛みだ。
大の大人が本気で殴ったのだ、めちゃくちゃ痛い。
「はぁ、はぁ」
「このガキがァ」
「おい、このガキさっき無詠唱で魔術を使ってなかったか!?」
「無詠唱魔術を持つガキか…高値で入れるかもな」
「!?」
まずい、逃げなくては。
そう考えていると。
「何をしている!?」
「ちっ、衛兵か...セン!!」
「へい頭ァ」
「おい!!このガキを死なせたくなきゃぁ俺たちを見逃しなぁ」
「な!?」
俺は人質に取られ衛兵が立ち止まる。
あの人は確かアリアって人だったな。
「貴様ら、卑怯だぞ!!」
「ははぁさっさと俺たちを逃がしなぁ」
「へへっオラァ早くしねぇとこのガキを...........あ?」
「え?」
「...ん?」
「な、に!?」
チンピラは
衛兵は
俺は
奴らのボスは
ここにいる全員は理解出来なかった。
俺を人質に取っていたチンピラの腕が無くなっていた。
「あ?..........がぁぁぁぁぁ!!!!!!?????」
「...へ?」
「な、何が!?」
全員が混乱している中俺は絶対必ずどう考えても俺が1番混乱している。
「やっと...見つけました」
「..............え??」
「500年前から、お慕いしておりました」
「..............................え????????????」




