第9話 勇敢な愚者
「ララぁ」
「大丈夫、大丈夫だから」
そこにはものすごく大きい魔物がいた。
見つかってしまったら確実に殺されることは簡単に想像できた。
(足音が離れてる気がする、でも動いていいの?もし何かがいたら私たちは...)
「ラ、ララ」
「!?」
足音がするしかも近ずいてきている気がする。
そして
「ああ良かった」
「...え?」
「やっと見つけた」
そこにいたのは私の想い人だった。
「量が多いな」
さっきのやつとは別で群れで動いている猿達を見つけた。
さすがに2体以上も相手にするのは無理だ、それを考えればさっきのヤツはなんだったんだ?
悩んでも仕方ないのでとりあえずここは避けて行くとすると。
そこにヤツはいた。
「でか、すぎんだろ」
そこにいたのは体長4メートルは余裕でありそうな猿だった。
あれは無理だ、おそらく1体1でも余裕で殺される、それほどの強さを持っている確信があった。
気づかれていないことを願い俺は物陰に隠れ、ヤツを観察する。
(他の猿と違い体長の他に毛色が若干違う気がする、アイツが親玉か?だったらアイツを殺せば...いや無理だな絶対に)
そう考えているとヤツらが離れていくのを確認できた。
その瞬間すぐそこでガサッと音が聞こえ、めちゃくちゃ焦った、ゆっくり音の方へ行くと。
「ああ良かった」
「...え?」
「やっと見つけた」
「クロ」
「静かにまだヤツらが近くにいるかも」
「あ、ごめん」
「うん、それじゃ帰ろうか」
「どうやって?」
「俺が来た道をもどるそっちの方が安全だと思うよ」
よしララとリリを見つけたからあとは帰るだけだ、なんならミロと合流してもいい...てか俺何も言わずに離れたな...怒ってるかなぁ。
そう思っているとさっき俺が殺した猿のところに戻ってきた。
「ひぃっ」
「大丈夫もう死んでるよ」
「え...あ、ほんとだ」
にしてもこいつはなんでここにいたんだ?
こんな開けた場所で1人でいるなんてまるで殺してくださいって言ってるような...まさか。
その瞬間、咆哮が聞こえたその咆哮は確実に俺たちに向けられたものであった。
「クロム、どうしたらいいの!?」
(逃げ切れるか?いやすぐ追いつかれる、なら隠れるか...いやダメだ見つかる、確証は無いけど絶対見つかる)
一つだけ思いついたことがある。
「ララ、リリいいかここからあっち側へ逃げるんだ」
「クロムは?」
「俺は
アイツを何とかする」
「ダメ、いっしょに逃げよ」
「追いつかれるこれしかない大丈夫俺もすぐそっちに向かう」
「でも」
「早く行け!!死にてぇのか」
「...すぐ大人を連れてくるよだからそれまで待ってて」
「ああ分かった」
行ったな...さて、どうするか。
この鋼猿王は他の個体より遥かに知能があった、監視役を作り定期的に連絡されることで連絡が途切れた時そこから侵入者が来たことを知らせる役割を作った。
そうすることで奇襲の成功を防ぎその護衛の分攻めに行けるのだ。
実際鋼猿王のポテンシャルはC相当とされているしかし大量の鋼猿を従うことでA相当の力を持つ護衛が居ないためこの鋼猿王は自衛にも特化したいわば鋼猿王の完全個体と言えるだろう。
そのため慢心はあった、人間の子供が近くにいたのは気づいていた、しかしまだ子供のため食料にするには物足りないと考え、まだ生かして成長したら収穫するつもりだった。
そんな時北側の監視役が死んだことを知った。
殺したのは人間の子供だった。
鋼猿王はそれを脅威とみなした。
「...ギャ」
そして鋼猿王は見つける、我が同胞を殺した人間の子供を、ヤツは見る限り小さく弱い人間だ手で触れるだけで死ぬような存在だ、そして近くにあった木を抜きそれを投擲しようとする。
油断も慢心もあっただろう、ましてやゴミのような存在から脅威も感じるわけが無いだろう。
「【火の矢】」
「グガァァァァァァァァァァァァァァ!!」
「よし!直撃!!」
「グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
俺が選んだのはミロが来るまでの時間稼ぎだ、それがおそらく1番生存率が高いし俺は魔術の練習ができる。
つまりwinwinってことだ。
「グガァァァァァァ!」
「ヒィィィィィィ!!!!」
前言撤回死と隣り合わせな練習なんてできるもんじゃない。
てか木ぼっこ抜けるのどんな筋力してんだあの野郎!!
...クソ近いなさっきまで小さかったのに今じゃもうさっきの大きさを思い出せる程でかくなってる、多分あと1分もないかもしれない。
「【火の矢】」
「フッ!」
「躱わされた!?」
まずい、もうそこまでいるじゃねぇか!!
まずい息も切れてきた、1分って言ったけどもう追いつかれる!
「クッソ!」
「ギィギャ」
「っぐ、っが................あ...」
やられた、追いつかれた、息ができない木に打ち付けられた。
幼いからだでは完全に致命傷だ。
もう動けはしないし助けを求めることも出来ない。
【火の矢】は躱されるし、読み違うしで...やっぱ経験ってやつなのか?
どう考えてもこいつは初めて戦ったって訳じゃなさそうだし。
あの猿が目の前に来る。
憎たらしくニヤついた笑みで気ぃ悪い。
終わり...か、第二の人生短かったな...
ダメだ。
まだ死ねない、俺が死んだらこいつはララとリリを追う。
それこそ一瞬だ、それにやっぱもっと生きていたい。
腹を決めた。
こいつはここで倒す。
油断してるはずだ、もっと威力の高い攻撃が出来ればもしかしたら勝てるかもしれない。
しかし俺が使えるのは【火の矢】だけだ。
本当にそうか?
なんで俺は【火の矢】しかできないと決めつけてるんだ。
もっと、あるだろう?火力の高い!魔術を!!
「【聖なる、光柱】...」
「ギィ...ギャ!?ァァァァァァ!!!!」
「...え?」
う、てた?
ああ、ダメだ、もう...意識、が...
数分前
「クロム!!どこにいるの~!」
「あ...」
「え...あ、あなたたち!!今までどこ、キャ!」
「「助けてください!!」」
「クロムが、1人で、大っきい魔物と!」
「大っきい、魔物?」
もしかして、そんな...
「っ!!クロムはどこ!?」
「「あっち!!」」
方角を聞き私は全速でクロムの方へ向かう。
そして見つけた。
「鋼猿王!」
それと。
「クロム!!!!」
血まみれのクロムだった。
すぐに詠唱を始めるが間に合わない。
(このままじゃ...)
すると、鋼猿王の体に一筋の光が指す、その後鋼猿王の体が燃え盛る。
そして鋼猿王はそのまま燃え尽きた。
それはまさしく、光超級魔術【聖なる光柱】だった。
「............は?」
この魔術は超級と呼ばれる程の習得は難しい。
私は《光の巫女》のズルがあるから使えるけど生まれて3年しか経ってない子供に使える訳ないのだ。
そのはずだった。
周りには誰もいない、いたとして使える人がいるわけない、そして決定打となったのは。
【聖なる光柱】の魔力とクロムの魔力が同じなこと。




