エルフふたたび
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翌日の朝。
いつものように農場で開拓しようとシアと一緒に屋敷を出ると、
「アルト様。おはようございます!」
デュランタを含めた、エルフたちがやってきていた。
先日よりも重装備、かつ大荷物の状態でだ。
先日よりも多めの農業道具、そして斧や建築用の道具をエルフの皆は装備している。更に、その後ろには大量の丸太もある。やや疲れたような表情をしているが、
「どうしたの、こんな大量の木材」
デュランタは、わずかに泥で汚れている顔で、しかし笑顔で言う
「グローリー家の領地内の林業主様に分けてもらいました! 昨晩帰り際、魔獣を倒す仕事を求める張り紙があったので。その依頼を受け、その駄賃代わりに丸太を頂けないかと交渉しまして」
「ああ……確かにこの辺は魔獣が多いからそういう役割は常に求められているけど。結構強い奴らが多いけど、大丈夫だった?」
「勿論です。林や森での戦いは、我々エルフの得意とするものですから」
「まあ、あの殲滅兵器にやられてはいたけど、それまでスケルトンとやり合ってたし、エルフたちも大分強いし。そこに地の利まであったらね」
それに加えて、空腹状態もなくなっているエルフたちなのだから、この辺りの魔獣くらいであれば処理できるのだろう。
それにうちの領地の民が助けられたのであれば、有難い限りだ、と思っていると、デュランタは申し訳なさそうな顔をして。
「ただ、すみません。ここまで持ってきたのは良かったのですが、ちょうどここに到着したタイミングで、魔法で強化していた荷車が壊れてしまいまして」
見れば、丸太が詰まれている背後には、明らかにへし折れたと分かる数台の荷車があった。
そこにつながるように、丸太を何度も何度も引きずってきたような線がある。
「これで、引きずってきたんだね」
「はい。乾燥の必要もあったので、魔法で乾燥させながら、運んできました。乗せたものの重量を半減する魔法もかかっていて、エルフの里から持ってきた優れものなのですが……」
デュランタは眉を顰め、
「里での戦闘の余波で消耗していたのかもしれません。この程度で壊れるものではなかったのに……。なので、可能であれば、何台かお貸し願えませんでしょうか?」
「荷車……ウチにもそんなにないんですよねえ」
あるにはあるが、開拓している自分しか使わないため。数はそこまでない。
「なるほど……。とはいえここに置きっぱなしというのはお邪魔ですし、一つ一つ運んでいくことに――」
「あ、いや。運ぶのは俺たちがやりますよ。ここまで持ってくるだけでも疲れてるでしょうから。それに、作業に直ぐに移れた方が楽でしょうし」
「アルト様が、ですか? そんな、我々のために、何往復もさせるわけには」
「え? 一回で行けると思いますよ。ね、シア」
「まあ、私たちならね」
「え……?」
意外そうな顔をするデュランタを横に、
「来たれ、水の軍団、アディプス。エウロス!」
いつものように二人とモチモチの水の群体を召喚した。
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