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昔滅びた魔王城で拾った犬は、実は伝説の魔獣でした~隠れ最強職《羊飼い》な貴族の三男坊、いずれ、百魔獣の王となる~  作者: あまうい白一
第二章 田舎貴族の羊飼い、街とギルドへ赴く

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羊から得るもの

書籍版の出版日が近づいてきて、テンションが上がったので早めに更新……!

 プラムの求婚発言。

 綺麗な女性である彼女に言われると、ドキドキしてしまうが、戸惑いつつも、俺は率直な感想を返す事にした。


「あの、大変嬉しいことですが、毛を刈れるのはハバキリの力、ひいてはシアの力があってこそなので。俺はプラムさんの基準的にはあわないかと」


「照れもせずに、物凄い正論で返すわね、アルト……」


「うん。こういう時は誠実に答えなさいと爺ちゃんやフミリスから教わってるからさ」


 事実、シアの力があってこそ、俺は色々召喚できているわけで。

 ここで変に自分の力という方が変だろう。そう思って言うと、プラムは、ううー、と声を上げ。

 

「やっぱりダメかー。アタシ、昔からマルコシアスにも求婚してるんだけど、ダメなんだよねー。主だからその辺り似るかー」


 なんとも悔しそうに言った。


「ああ、シアにもしてたんだ……」


「50年以上前からしてたよー。アタシ、毛を刈ってくれると、その人のこと好きになっちゃうから」


「で、50年以上前も言ったでしょ。私は『私』を可愛がってくれる人が好きなの」


「ううー、まあ、また粘り強く言い続けるよー。二人に。昔と違ってシア以外にも求婚できる人が増えた訳だし。進歩してるよねえ」


 プラムはめそめそしながらそんなことを言っている。諦めるという選択肢は全くないようだ。ちらちらと透き通った瞳でこっちを見ているし、結構強かでもあるようだ。


「この人凄いね、シア」


 人と言って良いのか分からないけど。


「ずっとこの図太い調子だから。気にする必要はないわよ、アルト。……というか、この刈った毛はどうするの?」


 シアはそう言って、山のような羊毛を指さした。


 ……羊一匹分で大体4キロとか5キロとか取れると、近所の農家のおじさんは言っていたけど。

 

 一匹の羊から取れたと思えない――あれだけの毛玉になっていれば当然だが――量である。

 見た感じ20キロ分はあるが、それが畑の近くにデンと置かれている。

 

「確かに。このままにしておくわけにもいかないね。といっても、持ち主? はプラムさんだけど」


 言うとめそめそから立ち直っていたプラムは首を横に振り、


「えー? 刈られた毛はアタシ要らないからあげるよー」


「要らないってあんたねえ」


「あ、ゴミを押し付けてるわけじゃないよ。あたしから取れた羊毛、良い毛布とか服になるらしいからちゃんと価値があるらしいし。ただの刃物じゃ切れないから、処理は大変らしいけど」


 確かにハバキリでしか彼女の羊毛は斬れなかった。それを考えると、加工するのは一筋縄ではいかないのだろう。ただそれは、メリットでもあり。

 

「羊毛なのに頑丈な服飾品が作れるってことだよね」


「そうそう。毛糸にしてくれれば私が編めるよ。服でも毛布でも、ベッドだって作れちゃう」

「本当かい? なら、ちょっとやってみようか。ハバキリもいることだし」


 羊の毛を糸にする方法については、実家の書物で一通り学んではいるし、近くの牧場主さんに聞いたりもしている。後で時間のある時にやってみよう。

【お読み頂いた御礼とお願い】


 本作品をここまでお読み頂き、有り難うございます。

「面白かった」

「この先が気になる」

「羊飼いが、最強になるの?!続きが読みたい!」


 少しでもそう思って頂けましたら、広告の下にある☆☆☆☆☆のポイント評価、そしてブックマークの登録をして頂けますと、作者のモチベーションになります!


 また、お陰様で、書籍化とコミカライズが決定しました! 

 レーベルは講談社ラノベブックス様になります。

 本当にありがとうございます!


 今後ともどうぞよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
ここで取れた羊毛、人間界の冒険者ギルドや商人ギルドに売りに行けば大金が得られたりして?
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