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昔滅びた魔王城で拾った犬は、実は伝説の魔獣でした~隠れ最強職《羊飼い》な貴族の三男坊、いずれ、百魔獣の王となる~  作者: あまうい白一
第二章 田舎貴族の羊飼い、街とギルドへ赴く

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《羊飼い》は羊と出会う

「こんなものかな。どうだい?」

 

 切れ味はやはりよく、なおかつ羊がおとなしくしてくれることもあってか、5分ほどで毛刈りは終了した。

 

 そして目の前にいるのは、

  

『あー、さっぱりした!』


 真っ白な短い毛になった羊だ。

 また、今更気づいたが、ところどころに金色の毛も混じっている。これもまた見たことがない羊の毛並みだが、ともあれ、

 

「上手くいって良かったよ。もう前は見えるかい?」


『うん。あと、前が見えるってことは――』


 と、羊が言った瞬間。

 

 ――カアッ

 

 と、羊が金色の光に包まれた。

 

「え? 何?」


 夕闇の中で目立つ金色の光は、羊を包み切るとすぐに収まった。そして光の中から現れたのは、


「ありがとー!」


 白い髪の毛をした女性だ。

 

 明るい声と共に、俺のことを抱きしめてくる。大きな胸で俺の顔面がうずまる。

 

「え……うぷ……!?」


「お陰で、こっちの姿にもなれたよ! 50年、斬ってくれる人がいなかったからさー」


 などと、そんなことを彼女が言った瞬間だ。


「あー!」


 シアの声がした。


「し、シア?」


 無理やり首を曲げて見ると、こちらを指さしていた。さらには、


「何してるのよフルフル!」


 俺を抱きしめている女性を指さしてそう言った。


「え……シア。この人、知り合い?」


「知り合いも何も、伝説の魔獣の一体よ。そいつ!」


 その言葉を聞いて女性の顔を見ると、彼女はゆったりとシアの方を見て、


「あー。やっぱりシアが目覚めてるー。五十年ぶりだねえ。それと……んー、魔力のつながりから見て、アナタはシアの契約者?」


 改めて俺の方を見て、そう言った。その瞳は、吸い込まれそうなくらい透き通っていて、人間とは別物であることを感じさせた。

 

「そうですが、貴女は本当に伝説の魔獣……?」


「そうなのー。あたし、プラム・マオ・フルフルって言うの。この世界のあらゆる生き物を眠りに落とせる程度の魔獣だから、よろしくねえー」


 さらにこう言った。


「あたし、自分の毛を刈れる人を夫とするって決めてるんだけど。あたしと結婚してくれない?」

【お読み頂いた御礼とお願い】


 本作品をここまでお読み頂き、有り難うございます。

「面白かった」

「この先が気になる」

「羊飼いが、最強になるの?!続きが読みたい!」


 少しでもそう思って頂けましたら、広告の下にある☆☆☆☆☆のポイント評価、そしてブックマークの登録をして頂けますと、作者のモチベーションになります!


 また、お陰様で、書籍化とコミカライズが決定しました! 

 レーベルは講談社ラノベブックス様になります。

 本当にありがとうございます!


 今後ともどうぞよろしくお願いします!

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