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色々と迎え入れる魔王城跡地

 ゴーレム(仮称)の大きさは3mほど。

 それが、草型モンスターが近寄ってこようものなら、殴り飛ばしているのだけれど、当然、


「俺たちにも来るよねえ……!」


 言っている間に殴りかかってこられたので、どうにか両手で受け止める。 

 

 3m級のパンチだ。凄く重い。

 足も地面にめり込んだ。

 

「うう……クルミの木で出来てるせいか、硬いし重いし! 草型モンスターとは別種の大変さがあるよ!」


 研ぎ忘れたナタなどでは、文字通り歯が立たないくらい硬い。 

 今のところ一日一回、出現するかしないかくらいで、頻度的には楽だが、一体処理するのに大分時間がかかるので、肉体的には楽ではない。


「そうねえ。いい戦闘訓練になって良いんじゃないかしら?」


「農作業で戦闘訓練するってのもどうかと思うけど……ねっ!」


 喋ってばかりもいられない、と俺はゴーレムの拳を受け流して、地面にたたきつける。

 早めに砕かねば、ゴーレムが振り回した拳で木自身が傷ついてしまう。

 

 放っておくと、ほかの作物にも被害が出るし、スライムたちが怖がって近づけなくなったりもしたし。早めの処理が肝心だ。だから、


「エウロス! 力を貸して!」


「はあい……ってまだこれと戦ってるの? 昨日も見たけど」


「ホントゴメンね! 昨日と同じく、砕く感じでお願い」


「しょうがないわねえ」


 エウロスは微笑みながら、俺の右腕に風をまとわせた。

 

「小規模版テンペストハンマー……!」

 

 そのまま俺は、素手にまとわせた風のハンマーを振り下ろす。一撃でゴーレムの腕は砕け、


「追加で連撃!」

 

 そのまま三連撃で全身を砕くことに成功した。


 砕けたゴーレムはそのまま、光の粒となって霧散した後、地面に吸い込まれていく


「はあ……はあ……終わった」


「お疲れー。エウロスに魔力を渡しても全然平気になってきたわね」

 

「まあ、それはね。これで倒れてたら、開墾が出来なくなるし」


 こちらの決着を見届けたシアは、人の姿になって水を持ってきてくれた。

 

「ありがとう……。……ふう……どうにか守れたかな」


 竜の二坪を使うと毎回こんな目にあっているな、と思っていると、


「あ、アルト様――!!」


 農園と実家をつなぐ道のほうから、そんな声が聞こえた。

 見ればデュランタを先頭に、エルフの人々が走り寄ってきていた。


「あ、デュランタさん?!}


「はあ……はあ……すみません。メイドの方に、こちらにいらっしゃると聞いて駆けつけたのですが」


「あ……お迎えできずにすみません」


 数日後には来ると言っていたが、時間帯を聞きそびれていたのもあり、タイミングが合わなかったようだ。

 何やら大きな袋を抱えている所を見ると、就農準備をしてきてくれたようだし。

 手伝えなかったのは申し訳ない、と思っていると、 


「いえ、それは良いのですが。ど、どうしてエルダーウォルナットがもう生えているのですか!? というか先ほど戦っていたのは樹木の守護者だったような…………!!」


 何だか興奮した様子でデュランタが話しかけてきた。

 周りのエルフも驚いているようでざわざわしている。

 

 こちらとしては、知らない専門用語がポンポン出てくるので、まず聞かねば。

 

「ええと? デュランタさんから受け取ったクルミの木が育ったらこうなったんですが。樹木の守護者、とは?」


「数年に一回、エルダーウォルナットが発生させる魔力の結晶体でして。倒せば倒す魔力が樹木に還元されて、品質が上がるのですが、非常に強く。我々が十人単位で挑むものなのです!!」


「そ、そうだったんですか? 早めに言っておいてほしかったのですけども」


「いえその……さすがにこんなに早く育つとは思わず。というか、どうして、もうほとんど成木状態まで育っているのですか? そちらの方が驚きなのですが! ……って、そうでした。アルト様はエリクシルフルーツですら、あっという間に育てたのでしたね。失念していました……」


 ぐっと悔やむような表情を見せるデュランタ。


「ああ、いえ。こちらも説明不足でしたし。とりあえず、説明と歓迎を兼ねてお茶でもしましょうか」


「は、はい。本当に、失礼しました。ともあれ、エルフの村の青年団、十五名。アルト様の農場を借りさせて頂きつつ、お力を貸すために参上いたしました! どうぞよろしくお願いします!」


 デュランタの言葉と共に、エルフの皆々が、こちらに対して礼をする。

 

 さっそくではあるけれど、魔王城跡地の農場に、新たな協力者が来てくれたようだ。




【お読み頂いた御礼とお知らせ】


 本作品をここまでお読み頂き、有り難うございます。


 お陰様で本作の書籍化が決定しました!

 詳細は決まり次第お伝えいたします。


 今後ともどうぞよろしくお願いします!

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