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得たものは作物だけでなく

 リリーボレアのギルドに戻った俺は、商談を終えてホクホク状態のミゲルと合流した。

 

「おお、お帰りシア君。アルト君……ずいぶん服が汚れているようだが、エルフの里で何かあったかね?」


「あ、ちょっと畑仕事を手伝っただけです」


 別にドーズを打倒したことを言う意味もないし、実際、畑仕事の手伝いであることは変わりないのでそういうと、ふむう、とミゲルは頷き、


「ま、君がそういうのであれば、そういうことにしておこうか。もう時間も遅いし、送り返さねばならんしな」


「すみません。お手数かけます」


「何を言うかね! 私は今日、君のお陰ですっかり儲けさせてもらったのだから。儲けの前では細かいことは気にしないのが、商人の心というやつだ。そして、これが君たちの分だ」


 言って、渡してきたのは、皮で作られた巾着袋だ。


 ガチャリ、と音を立てて、俺とシアの手の上に置かれたその中には、金貨が詰まっている。

 金貨一枚で1万ゴールドなのだが、明らかに何十枚も入っている。それが二袋だ。

 

「おお、結構な大金ね」


「えと、このお金は……?」


「すべて私に任せると言われたからね。しかと儲けたとも。私と君達とで分けて充分だと思えるくらいにね」


「こんなに、良いんですか? 俺、何もやってないんですけど」


 入っている額は、ざっと見ても数十万ゴールドはある。

 実家で、お金を扱っている所を見る機会はあったし、これ以上の大金を、祖父らが扱っているのを見たこともある。

 

 けれど、自分の手にそれがあるとなると、また話と印象が変わるのだ。

 だから、本当にあっているのかと聞いたのだが、


「何もやってない? 違うよ、アルト君。君は品物を作った。これだけですでに一仕事なのに、君は私を信頼して任せたね?」


 ミゲルは冷静に言った。


「商人を信頼して任せる。これも一仕事だ。君は、仕事をいくつもこなしている。そして、商人は信用されると嬉しくなるものでね。報いたいと思って頑張るものさ。――だから君には受け取る権利があるんだ。分かったかい?」


「は、はい……。では、有難く頂戴します」

 

「そうしてくれたまえ。――まあ、私としても打算がないわけではない」


 そう言いながら、ミゲルは、俺の背後を見る。

 そこには、デュランタから貰ったばかりの袋が詰まれていて、

 

「もし、新たな作物が育って、さばき方に困ったときは、いつでも言ってくれたまえ。今後ともよろしく、というやつだ」


「あはは……。その時は、また相談させてください」


「うむうむ。さて、それでは、馬車に積み込んで帰ろうか。あまり長く拘束しては、君のご家族に怒られてしまうしね」


【お読み頂いた御礼とお願い】


 本作品をここまでお読み頂き、有り難うございます。


「面白かった」

「この先が気になる」

「羊飼いが、ここから最強になるの?!続きが読みたい!」


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 どうぞよろしくお願いいたします。


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