電話
遥希はスマホで電話を受ける。
そして、葵と楽しそうに話始める。
清貴は不機嫌そうに軽くそれを見て、知らんぷりをきめこんだ。
葵さんも葵さんです。少しは…心配してくれたって…
不機嫌になる清貴とは逆に、遥希は陽気に話していた。
「道の駅に行くんだ。父さんと有明と風呂に行ってくる。
え?有明…なんか寝てる。」
「寝てませんっ!!」
清貴は、叫び、思わず遥希のスマホをひったくる。
「あ、葵さんですか?寝てません。ええ、寝てなんていませんとも!
ところで…どうしたのです?帰宅はしたのでしょうか?」
清貴の声色が優しく変わった事に純一が気がついて苦笑する。
「無事、帰宅できたのですね。良かった…
(°∇°;)俺ですか?
いやいや…大丈夫ですよ…
え?はちみつ?
ああ…おみやげ物…ですか。」
清貴の話に遥希の表情が変わる。
「ああ…鈴木博己さんのアカシア蜜だろ?」
遥希の顔をちらりと冷たく見て、清貴は葵と話す。
「わかりました。そのはちみつは、俺がゲットして、葵さんにプレゼントします…え( ̄O ̄;、いや、そんな気にしないで…色々と教えてもらったお礼とでも。」
清貴は、葵の様子にあせる。葵は突然のプレゼントに困惑している。
“じゃ、週末、そのはちみつでチーズケーキ作るね。予定が合えば、おばあちゃんちに招待するわ。じゃ、大川君に宜しくね!”
葵はそう言って、電話を切る。
はちみつ…チーズケーキ…
はぁぁ…( 〃−〃)
俺は…幸福者だ…
清貴は『チーズケーキ作るね。』の葵の台詞に、今まで感じた事のない、何ともくすぐったい甘さを感じていた。




