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主人公 高校2年 木曽 葵

主人公の叔母 木曽 奈穂子

主人公の祖母 木曽 薫

主人公の祖父 木曽 誠

主人公の父 木曽 健二

郷土史料部の部員 大川 遥希

遥希の父    大川 純一

文芸部の部員 飛騨 秀実

貰ったメールをコピーして、活動報告に張り付けて送信する。


木曽(きそ) (あおい)は、画面を確認すると、叔母の奈穂子に向かって言った。

「いま、送信したよ。」

その言葉に、奈穂子はいそいそと葵の所へ向かう。

「はぁ…良かった。」

満足そうに奈穂子は呟く。

それを見て、葵は呆れたように眉を寄せた。


木曽 葵は、17歳。

8月生まれの乙女座。

高校2年生である。


「叔母さん、スマホ買えば?」

キッチンのテーブルに座ってスマホで開いたサイトを閉じながら葵は奈穂子に言う。

「嫌よ〜。はい、梨。」

と、剥いた和梨をテーブルに置く。

梨は、葵の好物である。「ありがとう。」

葵は、素直にフルーツ用の二足フォークを手にして梨を口にする。


その様子を見て、奈津子は安心したようにお茶を入れる。


「ねえ、見せて。」

奈穂子に乞われて葵は、スマホを差し出した。

「あら、いいじゃない。うん、上等、上等。」

奈穂子は、嬉しそうに何度か頷き、葵の気持ちを喜ばせる。


「でも、いきなり、Web小説書くなんて、どうしたの?」

葵は、心配するように聞く。

奈穂子は、葵のお父さんの妹で42歳、独身。実家で祖母と二人暮らしだ。


「どうしたも、こうしたも、商店街の人に頼まれたんだもん。」

奈穂子は、嫌な顔をしながら、梨に八つ当たりをするように乱暴に食べる。


奈穂子の実家は、この小さな町の商店街で、4代続く雑貨店。

どうも、商店街の集まりで何かあったようだ。

「なんで、商店街の人がそんな事を頼むの?」

葵は不思議な気持ちになる。

木曜の夜に、奈穂子からメールが来て、相談された時は、葵は奈穂子の新しい趣味の話だと思っていた。

「そうよね、ほんっとに、そうよ。」

奈穂子は、前回の商店街の集会を思い出した。


やっと景気も落ち着いて、オリンピック景気で持ち上げようと話していた2019年。そこから始まるコロナ地獄…


シャッター商店街は、幽霊商店街と化していた。


これをなんとしようと相談していた訳だが、そんな案が出るはずもなく、

みんなで、強制的に案を1つづつ発表することになったのだ。


奈穂子は、自分の番が来て、何も思い付かなかった、で、立ち上がって、つい、口から飛び出したのが


今はネット社会だから、インターネットで町をアピールしよう。

戦隊ヒーローは、色々と面倒だったから、著作権が切れて100周年の江戸川乱歩の作品を使おう。

と、言うものだった。


「…つまり、勢いで商店街の集会で話したから、引くに引けなくなったわけだ。」

二つ目の梨を飲み込んで、葵が憐れむように奈穂子を見つめた。

奈穂子は、返事代わりに苦笑する。


奈穂子は思い出していた。

自分の発表後の割れんばかりの拍手を。

会長の無責任な「よろしく頼むよ。」の言葉を。


「それにしても…」と、葵は、自分のスマホの活動報告を見つめて話す。

「推しって…関係ないんじゃない?」


そう、この場合、

シャッター商店街から、ゾンビ商店街になりそうだから、100周年の明智小五郎で復活を目指す!

の方が正解な気がする。

「あるわよ。」

と、奈穂子はキッパリと言い切った。

「まず、私のテンションを持続させる為。

あなたも、ネット時代に生きてるなら分かるでしょ(T-T)

そんな、じーさん達が思うような、そんなミラクルなんて起きないことを!

ネットの二次作にどれだけ明智小五郎がいると思うのよっ。

山田食堂のイクラ丼のイクラより多いんだから。


ここからは、アクセスもないのに更新を続ける生き地獄よ。

五郎さんは、現実逃避の私の為のエナジーワードよっ。

例え、一人ぼっちになったって、信州の片隅で、私はゴローの愛を語るんだからっ。」

奈穂子は、最後の方は自分の為にshoutした。


そして、そんな奈穂子を見つめながら、葵は、自分は最後まで菜穂子の隣で、優しい叔母の為に更新をしようと心に決めた。


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