7話 魔王君臨 ② !?
魔王軍四天王をやっつけたぞー!やったー!
うおっ!何か王城に呼ばれたぞ!?えーっ!?王様から直々に褒美だってぇー!?
やったねアリシア!これが人生大逆転への第一歩だ!
行くぞ!輝ける未来へ───!!!
これが当初の予定である。
主だった戦犯は二人居る。
まず一人目は皆さんの想像通り、我がムスコ”それ”である。
此奴の悪行は既に明るみに出ている為、今更言及することも無いだろう。
そして、二人目は...これが驚いたことに、あのジュリエルと言う名の黒髪少女だ。
彼女の悪行...それは、勲章をその手に携え、この謁見の間に戻って来た時であった。
彼女が王の元へ向かう途中、私のそばを横切る時にポツリと言ったのだ。
「この場所に貴方の武器の存在を知る者はいませんよ...。」
と。
この時からだろうか。
私に、絶対に入ってはいけないスイッチが入ってしまったのは。
その結果が...武器を構えた数名の兵士に四方を囲まれたこの状況である。
しかし、私は何も恐れてはいない。
何故なら、勝敗は既に決しているからだ───。
◇ 〜魔王君臨〜 ◇
私は今一度、この状況を俯瞰して見た。
現在、部屋に居るのは王、大臣、兵士6名、メイド4名と言った感じだ。
あの女の言った事は正しい。
確かに此処に居る誰しもが、私が股間に武器を隠し持っているとは思うまい。
それに気付いていれば後は簡単だ。
私は意を決し、手にした紙くずを離すと、一番距離の近いメイドの方へと向き直り...
「君に決ーめたっ!」
瞬間、私は全速力で走り出した。
もし私が男だったなら視線の先のメイドからすれば軽くトラウマものだろう。
あ、でもすっごいか細い声だったから聞こえてないかっ☆
「え、えぇ?私に何か...嫌っ!そ、そんなとこっ!」
そして、私はその勢いのままにメイドの見事な双丘に我が両手を伸ばした。
突然だが、私は一つ不変の真理を知っている。
それは...”おっぱいを揉んで○たない奴は存在しない”と言う事だ!
ならば、じきに”それ”も確かな因果関係で自立を始めるだろう。
私の両手から伝わる、この幸せな感触によって...!
「い...やっぁ♡」
実に良い乳だ...強く下半身に訴えかけるものがある。
だが、自他共に認める変態である私はそこで終わらない。
(私が変態ならば、ユニオルはHENTAI紳士でありちゃんと住み分けがなされている)
今までの人生を彼と共に棒に振って来た私だからこそ知っている、おっぱいの嗜み方があるのだ。
私はそっと瞼を閉じた。
私にとって両目を閉じると言う行為は、閉ざされた第三の目の封印を解くことをも意味する。
妄想の極地───。
見える、見える...全裸で恥じらうメイドAの姿が。
感じる...言葉で言い表せない、生の感触が。
来たッ!!!
うおーッ!立ち上がれーッ!チー○コよーーーッッッ!!!
その想いに共鳴するかの様に、少々の粘り気を帯びた”それ”が、その身に鋼を纏い始めた。
徐々に、しかし確実に自立を始める”それ”を前に、スカートの重みなどあって無きの如し。
”それ”はどんどんスカートを持ち上げて行き、刹那の瞬間にチン先から垂れ下がったスカート生地が、それは見事な90度を作り出した。
「な、いきなり何をやっている!?」
「血迷ったか!?」
外野が何やら騒いでいる様だが、もう遅い。
準備は整った。
私はそっと亀*に愛用の左手を置くと...”それ”を強く握りしめ───取り外した!
それと同時に私の視界をまばゆい光が覆う。
服装が変わっていき、髪が伸びる......剣が白い光を纏って行く。
次に私が顔を真紅に染めたメイドの姿を見た時、私は...覚醒していた!
魔法少女アリシアちゃん、再び参上!!!
「なっ!その剣は!?一体何処から...!?」
見れば、今私は6人の兵とメイドAを助けに来たメイドB、Cに囲まれていた。
愚かな、既に手遅れだと言うのに...。
それに、取り囲んだは良いものの、兵士達は魔王軍四天王を打倒した私を恐れて近づけないご様子。
流石は弱っている筈の恐喝姉さんを取り逃がしただけはある。
しかし、私も待ってはいられない。
私は早くヒゲの元へ向かわなくてはいけないのだから。
覚醒した今、もし奴らに私への勝ち筋があるのなら...それは仲間を呼ばれる事だ。
いくら魔法少女と言えど数の暴力でゴリ押しされたら敵わない。
「あ゛っ...イヤァーァァァ♡」
「んあっ♡ 王様のより...気持ちいでしゅう♡」
私の性剣が嘶く。
一瞬のうちに放たれた斬撃に、またたく間に2人のメイドが無限の快楽へと堕ちてゆく。
(王様のより気持ちい...?)
しかし、今まさに敵が攻撃を開始したと言うのに、表情筋を固くした兵士達は未だに私に槍を向けた姿勢で固まっている。
「な、何だその剣は...?刺されたメイドに傷一つ付いていない!?」
「この白い光も妙だ。この剣に四天王を倒した秘密が隠されているのか?」
何だその間抜けなセリフは?
訓練を積んだ大の大人が雁首揃えてこのザマか?
この様子では兵士には構う必要は無いと思って良さそうだ。
「......。」
私は口元に不敵な笑みを浮かべると、ヒゲの方を真っ直ぐと見やり、奴へ硬い決意を宿した眼差しを送った。
いや、訂正しよう。
少しだけ下を向いていた。それにちょっとだけ猫背だった。
「貴、貴様...こんな血迷った真似を...これは重罪だぞ!ま、まさか、私にもやるのか?わ、私は王だぞ!」
ヒゲがそんなような事を言っているが、私は気にせず性剣の鋒鋩を奴へ向け、地を蹴る。
「来、来るなぁぁ!」
過去には自ら先陣を切って争いに身を投じるタイプの王も居たそうだが、残念ながらヒゲはそのタイプには該当しない。
無駄にでかく、怯えるだけの王など、性剣の的に過ぎない。
見える、見えるぞ...お前の性感帯がッ!!!
風を切って奴の傍へと迫った私は、奴の腹部にうっすらと見えた大穴(性感帯)へと性剣を差し込んだ───。
「ぬむふぉおほい♡」
え?何その変な喘ぎ声。
まぁ良い、私はそのまま身悶えしている王の首に性剣を突き立てると、丁度足元に落ちていた紙切れを拾い上げた。
そう、さっきの私が軍に入るとか言うふざけた紙切れである。
ここへ来てこの紙くずに使い道が生まれるとは思わなんだ。
私は性剣を持つ手を固定したまま、ポケットから淑女の嗜み万年筆を取り出した。
『うわ...』
不意に”それ”がそんな声を漏らした。
何故だろうか?私はただ紙切れの裏に『アリシアに王の座を譲る』と書いているだけなのに...。
私は、そう書いた紙切れをヒゲの手に握らせた。
「サ、サインを...」ボソッ
「ぐぬ...し、仕方ない。」
晴れてめでたく私の勝ちである。
晴れ晴れとした表情をした私は、性剣を軽く振り回しながらその場から立ち上がった。
人間、やろうと思えば何でも出来てしまうものである。
いや、そう言えばまだ一人...。
そう、まだジュリエルと言う女が残っているではないか。
私に助言をしたことから敵とは思えないが、彼女が何者なのか...私にとっては一切が不明だ。
「あらあら、本当にやっちゃったんですねぇ。あ、私ジュリエル。よろしくね?」
しかしその心配は、そんな彼女のノーテンキなセリフにより全くの杞憂に終わった。
そう言ってジュリエルは笑顔で自分の右手を差し出して来た。
見た所、どうやら同年代の様だ。
(同年代にしては目線の高さに大変な差がある様だが...)
こいつも立場の差を明確にする為に、一応挿した方が良いのか?
「え、えっと...あの...」
「はい?」
ジュリエルの笑顔が『私に歯向かっても無駄』と言っている。
今の私を超える生物がこの世界に存在しているとはとても思えないが、何故だろう...彼女の目からは、私ごとき、いとも簡単にSATUGAI出来てしまいそうな程の凄みが感じられた。
しかしそうは言っても、実感が湧かないが私は今この時から一国の王となったのだ。
ここで絶対の権威を示しておかなければ後で足元をすくわれかねない。
私はジュリエルが右手を差し出したのと同じ様に、彼女の前へ自分の左手を差し出した。
「...?」
彼女が小首をかしげる。
「あ...わ、私左利きなので...。全人口の10%しか居ない左利きには脳の構造的に天才が多いって言う統計結果があるみたいですよ?だ、だから...たかだか残りの90%(多数派)であって立場的にも下な人は左利きに合わせた方が良いと思うんです...。」
下を向きながら、且つ根暗な陰キャ臭のする小声で私はそう言った。
しかし、これが今出来る限りの権威の主張だったのだから仕方がない。
「は、はぁ...。」
彼女も反応に困っていそうな顔ではあるが、しぶしぶそれに応じ、左手で私の手をにぎにぎした。
ごめんて。たかだか劣性遺伝子ごときが粋がっちゃって。
「た、大変だー!」
「こりゃあえらいことになったー!」
周りを見てみれば、近付いて来る様子の無い無能極まりない兵士達がガヤガヤ言っているのと、メイドが二人部屋の隅で震えている。
なんとも愉快な光景だ。
私は玉座に座ると精一杯の声で、こう宣言した。
「こ、この...」コホンッ
「この城は巨根の魔王が征服した!!!」