秘密
これは本当に梅雨入り?
「なんか久しぶりっすねー。ファミレスに呼び出されるの」
和久津の声に五条が頷く。今のところ、五条が帰り出す雰囲気はない。コーヒーカップにゆっくりと口を付けながら、こちらの様子を窺っている。
「事務所でも良かったんだが、ちょうどメシの時間だったからな」
「なるほどっすねー。で、話ってなんですか?」
「何を言っている?話をするのはお前達だろ。俺に報告したい、いや、報告すべきことがあるんじゃないのか?」
「「えっ」」
二人とも苦虫を噛み潰したような顔をする。
「べ、別に何もないっす!」
「本当にないのか?五条」
「ないれす」
「あるな。二人とも酷く動揺しているぞ」
「「……」」
「俺はな、落武者チャンネル公式Twittorの他にアンチ落武者チャンネルのTwittorも運用している」
「「はぁ」」
二人がアホ面を並べる。
「意味が分からないという顔をしているな。いいか?アンチだって絶対値としてはファンなんだよ。アンチをコントロールしてはじめて、プロと言える」
まだ二人は話が読めないようだ。
「そのアカウントにはアンチ落武者の人々から様々な情報が寄せられる。それこそ画像付きでな」
「「……」」
「これは東京都在住の黛さんからのDMだ。和久津によく似た男と五条によく似た女が街ぶらデートしている画像が添付されている」
俺はスマホの画面を二人にみせる。
「「……」」
「これも東京都在住の黛さんからのDMだが、ディ○ズ○ニーランドのフリーフォールで落下する瞬間の画像が添付されている。よく見ろ。二人でしっかりと手を繋いでいるな」
「ちょっと!どうやってこんな写真とったんすか!」
五条は顔を赤くして俯いている。
「アンチ落武者チャンネルの情報網を舐めるなよ。我々は一国に値する」
「て、両方死神ちゃんさんじゃないですか!」
「で、どうなんだ。何か俺に言うことがあるんじゃないのか?」
二人は顔を見合わせ、和久津が口を開いた。
「パイセン、実は自分、五条さんとお付き合いしてます」
五条の耳が真っ赤に染まる。
「そうか。おめでとう。二人とも初めての彼氏彼女ってことだな」
「まぁ、そーなりますね」
「で、二人の出会いは?」
「あの、パイセンにこのファミレスに呼び出されて」
「つまり?」
「パイセンのおかげです!感謝してます!」
「素直でよろしい。で、実は二人に相談があるんだ」
二人がゴクリと生唾をのんだ。
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