表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【続編開始】性格の悪さを神様に買われて加護を得ました  作者: フーツラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/81

その先

今日は一日、ぱっとしない天気でしたね。

オフィスフロアの先は食堂、居住区、倉庫。そこを全速力で走り過ぎると、奥に幹部と一部の係の者だけが入ることのできる区画がある。厳重なセキュリティの掛かったその区画は指紋認証でしか入れない。


目々野の右手人差し指をセンサーにかざすと分厚い扉の向こうでカチリとロックの外れる音がした。よし。【変身】では指紋までちゃんと目々野のものになっているらしい。背後に嫌な熱気を感じ、慌てて中に入って扉を閉めた。


「ふぅ」


まるで自分がホラー映画の登場人物になった気分だ。恨めしい声を上げながら追ってくる怪物、播戸。いよいよ追い詰められた。映画なら俺みたいなキャラは真っ先にやられるだろう。


この高セキュリティ区画の中には権田が強欲の限りを尽くして集めた宝物庫がある。もちろんそこは権田しか開けることができない。宝物ならマジックポーチにでもいれておけばいいと思うのだが、コレクターってのは違うらしい。ちゃんと飾らないと気が済まない。目々野の記憶によれば権田は一日一回は必ず宝物庫に籠るらしい。まあ、宝物庫を開けるのは全てが終わった後だ。今、俺が目指すのはその先。


懲罰房。


目々野を除くカオスサーガ全てのメンバーが恐怖する存在。小さなのぞき窓と空気穴しかない金属製の牢屋だ。任務に失敗したメンバーなどが懲罰としてここに入れられる。音もなく僅かな光が差し込むだけの空間ってのはまっとうな人間には随分ときついものらしい。勿論、目々野にはなんの効果もない。


懲罰房の扉のセンサーに目々野の指をかざす。


カチリ。


金属音が響いた。中はひんやりとした空気とトイレ用の壺があるだけだ。一度入ってしまえばそう簡単には中からは開けることはできない。


「黛。後は頼んだぞ」


俺は懲罰房の扉を閉めた。沈黙が広がった。



########



シンとした空気に突然、纏わりつくような熱気が混じった。その熱気は徐々に勢力を強め、懲罰房の中が蒸し風呂のようになる。


来た。


足音が近づいてくる度に中の温度が上がっていく。


さあ来い播戸。


中を覗け。


さあ。


さあ。


さあ。


「黛さん!」


播戸の声が懲罰房の中まで響いた。


「えっ、その声は播戸?」


「黛さん!なんでこんなところにいるんだ!」


「カオスサーガに誘われて、断ったら拉致された。もう何日もここに閉じ込められてる」


「ボスはそんなこと一言も言ってなかったぞ!」


「しらない。そもそも、播戸は何故ここにいる?」


「レアなカオス系の加護持ちはここなら幹部になれるんだ。だから、、」


「私もカオス系の加護持ち。飛び切りレアな。だから誘われた」


「でもなんで断ったの?黛さんなら幹部になれるのに」


「権田の女になれって言われた。だから断った」


「なんだってー!!そんな!いや、しかし、、」


「ここから出して」


「ねえ?本当に黛さんなの?」


「播戸の小学生の頃のあだ名は縄文土器」


「やめてくれよ!黛さん!小学生の頃の話は」


「信じた?」


「ああ。間違いなく黛さんだ」


懲罰房の中の温度が急に下がった。


「出してあげるからちょっとだけ待ってて。黛さん」


カチリ。第一段階完了。開け放たれた扉からの光が眩しい。播戸がきざったらしく手を差し出した。


「ありがとう」


播戸の手を取って懲罰房から出る。娑婆の空気はうまい。


「当然のことをしたまでだよ。さあ、さっさとここを脱出しよう」


播戸が黛の華奢な手を引いて歩き出した。


「カオスサーガを裏切るの?」


「ああ。本当に大事なものを手に入れたから、もうカオスサーガに用はない」


「嬉しい」


「さあ、急ごう!」


「うん」


我慢の時間は続く。

感想・評価・ブクマ、本当にありがとうございます!

あと、誤字報告もすごく助かります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ