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世界最高職の吸血鬼狩りに転職する  作者: 渡晴
星姫編第一章
7/7

第五話 魔法使い

 

 「キョウヤってそんなに強かったのっ!」


 吸血鬼があとにした後、ピーターが突っ込んできた。

 

 「説明は後でする。今は日を消すのと、フィーネを治療することを優先しよう」


 フィーネは意識はあるようだが、出血が収まっていない。


 「....私は大丈夫だから、家事を止めることを優先して」


 「そんなの無理に決まっているだろ」


 「......なんで?」


 「仲間だからだよ」


 「ッ......そうだったね。勝手なことを言ってごめん」


 俺たちにそう言い、微笑みかけた。

 

 「ピーター、回復術はあるか?」


 今もなお炎上は止まらない。


 「僕は魔法を使えないから無理なんだ」


 「そうか、じゃあ、フィーネを医師に診てもらうしかないな」


 でも、これはかなりリスクが高い選択となるだろう。

 今回の火災で怪我をした人は多い。

 つまり、病院がパンク状態だと思う。

 やっぱり、病院に行くのはやめておこう。

 他に方法はあるのか......?


 「何かお困りのようですね」


 長い緑色の髪に、如何にも魔法使いのような帽子を被って、手には杖を持っている少女が目の前に立っていた。


 「私は魔法使いのロッキーと言います」


 やはり、魔法使いのようだった。


 「君は俺たちを助けてくれるのか?」


 「はい。助けを求めておられるのなら」


 では、お言葉に甘えさせてもらおうか。


 「この子を治してくれないか」


 「分かりました。容易い御用です」


 そう言って、魔法使いの少女は杖をフィーネの傷口に近づき、詠唱をし始める。


 「大地に満ちたる命の躍動、汝の傷を癒せ。回復(ヒール)


 ヒールによって、フィーネの背中の傷が癒やされていくのが分かる。

 

 「治った......。ありがとうございますロッキーさん」


 「いえいえ、傷が癒えてくれてなによりです」


 本当に人が優しそうな子だな。


 「今は急いでここから逃げよう。火に囲まれたら取り返しのつかないことになる」


 「大丈夫ですよ」


 ん?この子は何を言っているんだ?


 「清らかな水よ、これは天の恩恵なり、天より降らし給え。聖水雨天(ウォーターレイン)


 杖を天に掲げてそう言ったら、天候がいきなり悪くなり始まり、


 ドシャーーッッ


 大雨が降った。

 それと同時に、


 シュワーーッ


 と、火が段々と消えていき、

 30秒もしないうちに中央通りの建物の火が消えいった。

 

 「......まじかよ」


 天候操作までできてしまうのか。

 この魔法使いは()()()()()()


 「それでは私はここで失礼しますね」


 そう言って、ロッキーは俺たちに背を向けた。


 「ちょっと待て下さい!」


 止めたのは、フィーネだった。


 「......何ですか?」


 「もし良かったら、ロッキーさん吸血鬼狩りになってみない?」


 フィーネはロッキーを吸血鬼狩りに勧誘しようとしている。

 

 「....凄くありがたいお誘いですが、私今魔法学校に通っていまして、吸血鬼狩りという職業にはなれません」


 「魔法学校!?」


 フィーネは魔法学校というのに驚き、取り乱した。


 「はい、魔法学校です」


 「あの魔法学校?」


 「はい、恐らく想像している魔法学校だと思います」


 魔法学校っていうのは初めて聞いたが、どうやらかなり有名のようだ。

 ピーターも興味津々に聞いているしな。

 

 「私小さい頃の夢が魔法使いだったんですよ。ですから、両親から魔法学校に行くことを強くお薦めされたのですが、結局私は魔術を使えなかったのです」


 「そうなんですか。......それで魔力があり、吸血鬼狩りになったということですか」


 ロッキーは吸血鬼狩りについては、かなり詳しいようだ。

 ......魔術適正か、魔力適正か。

 この世界はこの2つは別物なのだ。

 フィーネが言っていたことは、魔術は周りの物体のエネルギーを使うことで、魔力は自らのエネルギーのことだった。

 それで、魔術では吸血鬼を倒せないから、魔力を持つごく僅かな人間が吸血鬼狩りになれるだった。

 という話だったよな。

 ロッキーは俺の方へと向き、こう言う。


 「そういえばそちらの方が吸血鬼術を無効化したのを見たのですが、そんなに強いなら、あの吸血鬼を倒せたのないでしょうか」


 さっきの戦いを見られていたとは。

 

 「俺には倒せませんよ」


 この場にいる俺以外の人がポカーンとしている。

 きっと、はてなマークだろう。


 「攻撃を全て無効化なんてできるわけない。確率だよ確率」


 「確率ですか」


 「今までに何回かこの能力を使ってきたけど、発動しないことの方が多かったよ」


 「それは試すとき相当勇気いりますね」


 この能力は失敗したら、全てが終わりだから、今回みたいに強い相手に使ったことはない。

 

 「じゃあ、キョウヤは物欲の吸血鬼に強そうに見させってたこと?」


 御名答。

 

 「俺が強そうに見えるか」


 「見えない」


 真っ先に返したのはピーターだった。

 自虐するのって意外と精神的に痛いな。

 フィーネとロッキーは苦笑していた。


 「では私は旅の途中でしたので、そろそろここの王都を出ていきますね」


 旅人だったのか。

 ということは魔法学校っていうのは、この国ではないということかな。

 

 「何かお礼をしたいのですが」


 フィーネはロッキーが命の恩人だろう。

 何かを返したい気持ちは当然現れるだろう。


 「お気持ちだけで大丈夫ですよ。それでは吸血鬼狩りを頑張ってくださいね」


 そう言って、魔法使いのロッキーは背中を向けて去っていた。

 無事に旅が終わるといいな。

 そういえば、今って学校長期休暇なのか?

 もしかして、学校をサボって旅をしていないよな。

 彼女に限ってそんなことはないか。


  ***


 物欲の吸血鬼によっての被害は、想像を絶していた。

 王都の中央通りが燃やされていたのではなく、各地で吸血鬼が蹂躙していて、全体での死亡数が1000を超えた。

 行方不明者は100人を超え、そのうちの8割位は物欲の吸血鬼により、吸血鬼にされたと思われる。

 冒険者でもなく、魔法使いでもなく、一般市民でもなく、吸血鬼狩りが思ったことは、


 柱の吸血鬼は()()だと。


 王都の各地で物欲の吸血鬼が発見されたと言う。

 勿論、王都にいる吸血鬼狩りは現場に駆けつけたけど、フィーネとピーターと同様に箸にも棒にもかからなかった。

 

 「そこで、俺が駆けつけて、物欲の吸血鬼が自分より強いと勘違いしてしまい撤退したと」


 「そうだね。もし、キョウヤがいなかったら、王都の被害はこんなものじゃ済まされなかったわ」


 俺たちはフェルツに戻ってきて、フィーネの部屋にいる。


 「それにしてもあの吸血鬼反則級に強かったな」


 そう言うのは、ピーターだった。


 「カタナで切ったと思ったら、上空にいたわよね」


 「弓矢の攻撃を無効化してしまうし」


 苦笑するしかない強さだな。

 

 「もっと強くなるしか勝てる方法はないわね」

 

 まさにフィーネの言う通りだ。

 物欲の吸血鬼より強ければ勝てる。

 

 「キョウヤ、明日から魔力についての勉強をするわよ」


 「はーい」


 明日から吸血鬼狩りになるための稽古(けいこ)か。


 「僕は何をすればいいの?」


 「ピーターは北で発見されたとダンジョンの偵察に行ってきて、上から依頼が来た」


 この世界にはダンジョンがあるのか。


 「あのキャロット領の?」


 「そう、そこだわ」


 吸血鬼狩りていう職業は、吸血鬼狩り以外の仕事をするんだな......。


 「そういえばキョウヤって貴族だった?」


 ピーターにそんなことを訊かれた。


 「平民だよ」


 前の世界でもただの平民だ。


 「じゃあ、何で名字を持っているだい」


 「持つだろ、名字くらい」


 「名字は貴族以上の身分じゃなくては持てないはずよ」


 フィーネがそんなことを言う。

 おいおい、初耳だぞ。

 でも、今思い返せば名字を名乗っている人いなかったな......。


 「さっきのは忘れてくれ」


 「忘れるわけないじゃない。かっこよく、「クキ・キョウヤだ」とか言っちゃって」


 「マジで忘れてください!」


 フィーネとピーターに土下座をした。

 俺の黒歴史になりかねないな......。

 

 

 


 


 

 

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