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世界最高職の吸血鬼狩りに転職する  作者: 渡晴
星姫編第一章
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第一話 王都へ

 「この馬車に乗って王都に向かいます」


 馬車の中に入ったら、居心地良さそうな椅子があった。

その上に転がっているのは、この世界ではたまに見かける、耳が特徴的なエルフだった。

髪の色は金色で如何にもエルフという容姿をしている。

 俺はとても綺麗だなと思った。


 「起きてピーター」


 どうやらこの娘の名前はピーターと言うらしい。

 ピーターは目を擦りながら起き上がった。


 「この少年がキョウヤか」


 俺を警戒しながらも観察している。


 「よし、キョウヤは悪い人の匂いがしない」


 「匂いでわかるのか?」


 「そうだ。オーラみたいのが見えてこの人は良い人、この人は悪い人と僕には相手の性格を見抜くことができるのだ」


 それにしても、ピーターは男口調で喋るよな。一人称が僕だし。


 「そういえばまだ私の名前を名乗っていませんでしたね。....私はフィーネと言います。今後もしかしたら、あなたとバディを組むかもしれないのでどうぞよろしくお願いします」


 「バディ?二人組で戦っていくのか?」


 「とりあえず一年間は私がみっちり指導する予定ですが、......まだ吸血鬼狩りになれていないので、まず吸血鬼狩りになるために魔力について私が教えます」


 「えー、僕もキョウヤとバディ組みたいんだけど」


 ピーターは不満そうに言った。

 ......これがハーレムの第一歩なのか?


 「ピーターは人に教えるセンスがないって叔父様が言っていたよね。だから私がキョウさんを引き受けることに上の人から指示が出されたのよ」


 「チッ」


 ピーターは舌打ちをしてそっぽを向いた。


 「ピーター出発するから、運転よろしくね」


 「むー。僕は何故いつも雑用係なんだよ」


 そう言いながら、ピーターは馬にまたがって指示を出した。


 「キョウヤさん、ここから王都まで3時間程度かかるので寝ていても構いませんよ」


 「今日は全然疲れてないし大丈夫だから、それとピーターが運転しているのに寝るっていうのは....」


 「優しいのですねキョウヤさんは」


 俺のことを優しいと言ってくれたのは久しぶりな気がする。

 フィーネは一つ息をついてこう言う、


 「....良かったです。キョウヤさんみたいな人が冒険者という向いていないことを止められて。と言っても、吸血鬼狩りは重労働ですけど」


 もしかして、フィーネは俺のことをだいぶ前から知っているのか......。


 「話変わるけど、フィーネって今何歳?」


 「私は16歳です。キョウヤさんは?」


 「おう、まじかよ、俺と同い年じゃねえか。だったら、フィーネ俺と敬語で話すのは変じゃないか?」


 「それもそうですね。今から友達のような感覚にしましょうか?」


 「そうすると助かる」

 

 異世界というのに来てから、初めて友達と言えるよな人たちができたのかもしれない。

金髪エルフと黒髪ロングのフィーネ。

 ....俺がさっきまで所属していたパーティは居心地が悪い感じは薄々していたが、冒険者をやっていかなくては、お金を稼げなかったから毎日死ぬ気でモンスターと戦っていたが、結局、ゴブリン程度のモンスターしか倒せなかった。

 ......そんな俺がこの世界で世界最高職と言われている「吸血鬼狩り」になれるのだろうか?

 正直、不安でしかない。

 でも、「吸血鬼狩り」のトップの人たちは俺のことに見込みがあるから、推薦証が出されたのだろう。

  ......ん?

 窓から薄っすらだが、人影なのが写っていたような気がした。

 気のせいかもしれないな......。

 それでも、馬は走り続けた。

 ピーターには悪いけど、俺とフィーネは楽しく雑談を移動時間にしていた。。


  ***


 ずっと会話をしていたら、話す内容がなくなり俺らは沈黙の中外の景色を見ていた。

 そしたら、フィーネがそっとこう呟いた。


 「ほら王都が見えてきたよ」


 俺は進行方向に目を向けた。

 ......あれが、俺が暮らしている国の都市か。

 ここからでは、周りに大きな壁に覆われているため中の様子がわからないが、すごい栄えているのだろうと思う。

 光が王都全体を包み込んでいるからだ。

 巨大な壁の中に入る前に、以前いた世界で言うところの入国検査みたいなのをした。

 フィーネとピーターがブリテリア王国に住んでいるため、俺のことをあまり詮索してこなかったから良かった。

 いざ、門を潜ってみると、俺が以前住んでいた街の数十倍は活気があった。

 この世界にもこんなところがあるんだ......。

 俺たちは颯爽に馬車から降りて、この馬車はどうするのだろうと思っていたが、ピーターが布袋を取り出して、その中に吸い込まれるようにして入り込んでいった。


 「....ピーター。その布何?」


 「あっ、これはただの布だ。今のは僕の特技なんだ。そう、僕は物質をあらゆる形に変形させることができるのだ」


 「いや、それ最強じゃねえか」


 「それがそんな都合よくいかないのよ」


 フィーネがそうツッコミを入れてきた。


 「物質を変形させられるのは、相手の了承を寝なくちゃなんないんだ」


 「......じゃあ、馬の意思が分かるってことか?」


 「僕は生きている生き物だったら、意思を共有することができるのだ」


 ....この世界には様々な能力があるのだろう。


 「もしかして、意思を共有できるのは個性じゃなくて、魔力を使ってできるのか」


 「意志の共有は生まれ持ったものなんだ。魔術や魔力を使っても絶対にできないんだ」


 生まれ持った能力スキルということか。

 それからフィーネが説明を付け加える。


 「ピーターはエルフだから、人間では獲得できない能力スキルがあるんだ」


 「それはかなり特別な存在ということか」


 俺がそう言うと、ピーターは鼻をフンっと鳴らした。


 「....意外とそうでもないわよ。エルフは()()()()にたくさんいるしね。あとエルフ以外にもたくさんの種族がいるしね」


 フィーネがピーターにすごい厳しいイメージが焼き尽きられる。


 「......で、でもエルフの中で魔力を使えるのは珍しいけどね」


 最後は照れ隠ししながら、褒めるフィーネであった。

 ......黒髪ロングのツンデレ可愛すぎる。 

 ピーターもまさか自分のことを褒めてくれるとは思わず、その場で立ち尽くしている。


 「....っ....さ、さあ進むわよ」


 俺たちは王都のド真ん中にある建物(フェルツ)へと向かった。

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