プロローグ
目を覚ますと、俺は暗い闇の中にいた。
……ここは、どこだ…
真っ暗で何もない…
ただ、冷たい風が吹くだけだ…
少しあるいていると、闇の中に少し光が見えた。
そこに近づくたびに光が大きくなり、
そして、ついに光が晴れると、
広い草原の中に、俺は立っていた。
「……ここは…」
辺りには何もなくただどこまでも草原が続いていた。
突然、辺りが赤くなり、
空を見ると、
俺は、目を見開いた。
そこにはあの日と同じように一つになった月と星が赤く輝いていた。
そして、あの日と同じように、一つになった月と星を見て涙を流す白髪の少女が、俺の前に立っていた。
「……なぁ」
俺が声をかけると少女は、一瞬、驚いたような顔をしたが、すぐに真面目な顔でこちらへ向かって駆け出し、
そして、
俺を突飛ばした。
そして、目の前で爆音が鳴り響いた。
俺は、何が起きたか全くわからなかった。
先ほど自分がいた場所に突如空から振り落とされた赤い槍が自分を突飛ばし、先ほど自分がいた場所にいた少女を貫いたのだ。
なぜ、空から槍が、なぜ少女は自分を助けた?
そんな考えはすぐに頭から消えた。
少女は自分を助けるために突飛ばしたのだ。
そう気づいた瞬間、俺の足はすぐに動いた。
少女に突き刺さった赤い槍は簡単に抜けた。
ビリっ!
すぐに、自分の着ていた服を破り槍が貫いた少女の腹部を抑えた。
しかし、血は止まらない。
このままでは、自分を命をかけて救ってくれた少女が死んでしまう!
抑えてもどんどん溢れてくる、考えろ!いったいどうすれば、少女を救えるのか!考えろ!考えろ!考え…
……ピトッ
「…え?」
突然、少女の手が自分の頬に添えられた。
先ほどまでの焦りはすっかり消えていた。
添えられた少女の手は、まるで大切な人に抱きしめられているように、とても暖かく感じた。
「大丈夫…また、会える、から…」
少女から出た言葉に俺の瞳から一筋の涙がこぼれ落ちた。
「……っ!」
目を覚ますと自分の部屋にいた。
先ほどのことは、どうやら夢だったようだ、
ふと、頬に冷たい感触がして、頬を拭うと、
俺の瞳から涙が流れていることに気づいた。
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