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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

神様が奪った僕の大切なひと

空は黒い。


まるで、神様の腹の中みたいな色をしている。


だって、神様は僕の大切な人を簡単に奪ってしまう。


僕は何度も何度も、十字架を掲げて神様に祈った。


時には、十字架を力強く握りしめて祈った。


けれども、僕の大切な人は徐々に衰弱して、ついには死んでしまった。


僕の祈りは届かなかった。


神様はこれを試練というかもしれない。運命だって言うかもしれない。


そんなの神様の怠慢だろ。


僕の大切な人が死んでしまったのは、不慮の事故だって?運が悪かったって?


そう言われたら仕方ないから、諦めて、このことを忘れて幸せに生きろって言うのかい?


そんなの無理だ。


彼女は僕にとって、命の次に大切なものだった。


一番じゃなければいい?馬鹿を言うな。僕という存在がなければ、彼女を知ることができないだろ。


僕が愛した彼女は、僕のことを唯一愛してくれていたんだ。


僕には生まれたときから親がいない。


そんな僕に、唯一優しくしてくれたのは彼女だけだった。


施設にいたのは、僕を可哀想な目で見てくる大人だけだった。


そんなの優しさじゃない。


彼女だけだった、彼女、だけだったんだ。


それなのに、神様は本当にひどい。


僕の大切な人をこんなにも無惨に殺してしまうなんて。


おかしいな、どうして僕の手はこんなに赤いのか。


どうして僕の手はこんなにも温かいのか。


ねぇ、神様。僕に教えてよ。


どうして彼女は死んでしまったのか?


僕が殺した?


違うだろ? 


僕は彼女を救ったんだ。


ほら、彼女はこんなにも目を見開いて僕のことを、死んだ今でも優しく見つめていてくれるじゃないか。


これって、彼女が僕のことを死んでも愛してるって証拠だろ。


神様も人が悪い。


僕を悪役に仕立て上げようとするだなんて。


ひどいよ。


あぁ、ひどい。


なんだか、おかしくなってきちゃった。


彼女と一緒にいると、なんでも楽しくなってしまう。


ほら、彼女も笑ってる。


楽しいな、楽しいな、彼女といると楽しいな。


あぁ……これが幸せってやつか。


最高だ。


最高に愛おしい。

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