37.ナンパ
「これで冒険者登録は終わりです。それとこちらが冒険者カードになります。どうぞお受け取りください」
「あぁ、ありがとう」
ようやく登録手続きが完了し、俺は、ルナの分とあわせて冒険者カードを受け取る。
始めはFランクからスタートということで、カードにはFの文字が記載されている。
これを上げていかないとだな。
当面の目標はCランク。
あるクエストの参加資格がCランク以上になっており、俺とルナはそれに参加するために冒険者登録をしに来ている。
Fから三つと考えると結構長い道のりだな。
クエスト開始まであまり時間もない。手っ取り早くランクを上げられないかな。
王道パターンとしては、でかい案件を解決して、一気にランクアップ!っていうのが理想だな。
そもそも、
登録時に、高ステータスが評価されて始めから高ランクスタート!
ってパターンを期待してたんだけど、事務手続きだけであっさりと登録が完了してしまった。
現実は厳しい。
冒険者登録の方法をもっと調べておけばよかった。せっかくステータスを偽装してるのに馬鹿らしい。
まぁ、いいや。
「さて、登録も完了したし、何か依頼を受けるか」
「はい」
俺とルナが依頼を探そうと掲示板に移動すると、
「やぁ、無事登録終わったかな? あぁ、お礼なんていいよ」
と、先ほどのA級冒険者ミハエルがルナに声を掛けてきた。
「……」
「レディが困っている時に助けるのは当然のことだからね!」
「……」
「実は、君を勧誘にきたんだ。どうかな? 私のパーティーに入らないか?」
「……」
「いや、心配はいらないよ。A級パーティーでやっていけるか不安に思うかもしれないが、君なら十分に私達パーティーでやっていけるさ。この私が保証しよう」
ルナが何の反応もせず、沈黙を守っているもかかわらず、ミハエルは一方的に話続ける。
俺の目の前でルナを引き抜こうなんでこいついい度胸してるな。というか、こいつルナが何も喋ってないのにどういう神経んしてるんだ?
ルナは、ルナできっと一切喋りたくないとか思ってんだろうなぁ。
まぁ、仕方ない。
「おい。いい加減にしろよ」
面倒だが、ルナとミハエルの間に入る。
「ん~、なるほど。彼女は、君に気を使ってるのかな? はっきり言おう君と彼女じゃ釣り合わない。これは彼女にとって大きなチャンスなんだ。君に気を使ってチャンスを逃すなんて馬鹿らしい。君にだってわかるだろう?」
「お断ります」
沈黙を守っていたがルナが、ミハエルと俺の間に割って入る。
笑顔だが、こめかみの血管が浮き上がっている。
ルナのやつ相当怒ってるな。
「OK 君がそこまで言うなら彼も入れてあげよう。雑用とか荷持つ持ちとか何かしら役割をあげるよ。本当ラッキーだな。Aランク冒険者パーティーに入れるんだ。君もこれでいいだろう」
ミハエルが仕方ないといった表情で頭を抱えながら、俺に提案する。
「断る。じゃあな」
「なっ!!!」
本気で断れると思っていなったのか、俺の言葉にミハエルが驚愕する。
「はっ! なんて失礼なの! あなたなんかを誘ってあげてるのよ! わかってるの? 王都でナンバーワンのパーティー『黄金の翼』のミハエルが誘ってあげてるのよ! こんな失礼な人はじめてみたわ。あなた! そこのエルフのお陰で、お情けで誘ってもらっているのよ。本当ならあなたなんかミハエルと話すことさえできないのよ!!」
気の強そうな赤毛の女が、俺に嚙みつく勢いでつっかかってくる。
高級そうな漆黒のローブを身に着けている。恰好からして魔法使いだろうか?ミハエルのパーティーメンバーなのだろう。
「……何度も言わせるな。断る。誰だよ。お前」
「キー!! Fランクが偉そうに! いい加減にしなさいよ! エルフのおこぼれ目当てのくせに!! あんたみたいな寄生野郎が一番嫌い――
「黙りなさない!」
赤毛の女の言葉を遮り、ルナが鋭い目つきで、赤毛の女を睨みつける。
「エイト様に失礼な口を聞かないでください。あなた方のような失礼な人達のパーティーには入りません。今後、私達に話かけないでください」
ルナの剣幕にあっけに取られるミハエル達を置いて、俺とルナはギルドを急ぎ後にする。
仕方ない依頼は後で見にこよう。




