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第8話 盗賊征伐後編

ようやく盗賊征伐の終わりです。

(さて、どう料理してくれようか。実のところ最後はダークスネークの腹に収めること以外はどう倒すとか一切考えてなかった。…折角だし、『私が魔術師である』という思い込みも粉々に砕いてやりましょうかね。)

 微笑みながらそんなことを考えているラグナロク。


「おい、そこのお前。今大人しく降参するなら楽に殺してあげるわよ?」

「ふざけるな!お前を殺して仲間の仇をとってやる!」

 まぁそうなりますよね。面倒だけど、仕方ないかぁ。


「ヘリア、そっちの相手お願いできるかしら?」

「えぇ、勿論。そっちは…遊ぶ気?」

「あ、ばれちった?んまぁそっちもそっちでテキトーにやっててよ。」

「りょうか~い。」

 目の前で敢えて余裕そうにふるまってみる(実際余裕なのだが)と

「魔術師め!私の同胞の恨み、その首で償ってもらうぞ!」

 とわかりやすくキレた。こういう奴の相手は楽でいい。

「魔術師ぃ~?そいつは私の事を言ってるのかしら?残念ねぇ、私は魔術師なんてひ弱な存在じゃあないのよ!『パラサイトスーツ』!」

 着物がうねうねとした白くて細長い虫に変化し、全身を包み込む。この全身に纏わりつかれる感覚、慣れてくると中々癖になる…そんなことはどうでもいいか。

 虫たちが全身をぴっちりと覆い隠すように纏わりつく。腕も、足も、頭も。そして髪にも。髪に纏わりついた虫たちは器用に身をくねらせ、マフラーのように首に巻き付く。こうする事で長い髪が戦闘の邪魔にならなくなる…という利点はあるかもしれないが、実のところ特別な意味はない。強いて言うなら…かっこいいからかな!

 ちなみに一応視界は確保できるように目元は透明になっている。と言っても、この虫たちのおかげで僅かな光や空気の振動を感知できるようになるし、そもそも敵は魔力で感知してるからあまり意味はないんだけど。


 この虫達…【ミラージュパラサイト】は、有機物質を取り込み、その物質の見た目、触感、臭い、味、その全てを模倣する能力を持つ。本来は食料なんかに化けて魔物に摂食されることで寄生する虫で、寄生されるとすさまじい空腹に襲われるが、身体能力が何倍にも向上する。寄生された魔物は空腹を満たすために暴れまわることが多く、欲のために狂ったように暴れる存在、【狂種】の誕生の原因の1つでもある。


 …と、結構危険な虫なのだが、私の場合は擬態能力を活かして衣装として使っている。こうしてスーツのように身にまとえば身体能力強化効果だけを得られる。(おまけにピッチリ身体に張り付くので私のスラッとしたボディラインが強調され、美しさが溢れ出るようになる!流石私!何着ても美しい!)スキルの【寄生者の女王(パラサイトクイーン)】様々だ。


 と、解説はさておき、目の前の盗賊リーダーを倒しちゃいましょうか。

「さ、覚悟はできてるかしら?」

「お前こそ死ぬ覚悟はできたか?それともその妙なスーツは死装束のつもりか?」

「やれやれ…ブスが、いくら私が美しいからって嫉妬しちゃって。」

「ブスだと貴様!」

 短気な女性は『ブス』だの『ブサイク』だのという単語にやたら敏感で扱いやすくて助かる。顔を覆い隠すような兜を被ってるので実際にブスかどうかはわからないけれど。

 盗賊リーダーが私を切り刻もうとサーベルを振り上げる。が、避けるまでもない。私に…どころか、パラサイトスーツにすらダメージにならない。しかし、このままやられっぱなしというのも気に食わない。ちょっくら反撃しますか。


「オゥラーッ!」

「グフア!?」

 それなりに手加減して顔面をぶん殴ったつもりなのだが、綺麗に吹っ飛んでいった。

「結構弱めにやったつもりなんだけどな~、これじゃ遊びにもならないわね。」

 そういえばヘリアの方はどうだろうか。戦闘中に堂々余所見するのもちょっとどうかと思うけど、まぁちっさい事は気にしない気にしないっと。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


(サキュバスって時点で魅惑の誘い(テンプーション)は警戒されるから、魅了状態にしようとしても簡単に抵抗(レジスト)されるでしょうね…悪魔相手なら魔法も警戒されるでしょうし、ここは主に近接攻撃で戦いますか!)

「行くわよ、『チャームブレイク』!」

「『ポイズンスラッシュ』!」

 爪とナイフがぶつかり、洞窟にカキィンという音が響く。

 残念、私に毒は効かないのよね。そもそも状態異常が効いたとしても封印系ぐらいしか痛手じゃないし。

 ただ、私は先輩のごく一部の悪魔の方々のように調子に乗って余裕そうに遊んでて痛い目を見るのも嫌だし、さっさとやっちゃいましょう。


 爪でナイフを弾き、その間にできた一瞬の隙の内に急所の…喉へと狙いを定める。

「『フレイムネイル』!」

 爪が肉を裂き、突き進む感覚。火を纏った爪を喉へと突き刺し、焼き切った。傷口を即座に焼いて止血するので返り血で汚れる心配もない。

 …さっきまでに98人も()ってきたので今更多少汚れたところで変わりはないとか言ってはいけない。気分的な問題だから。悪魔だって汚れを気にするし、血を好んで浴びようとは思わないものです。

 ラグナロクさんの方は…って、敵の目の前で堂々こっちを見てるし…。心配する必要もなさそうかな。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「あちらはもう終わったようね。待たせるのも悪いし、さっさと楽にしてあげますか。あなたも痛いのは嫌でしょ?」

「く、くぅ…!」

 先程の顔面パンチが中々効果的だったらしく、顔を殴られたショックのせいか、単にダメージが大きかったせいか、盗賊のリーダーは立つのもやっとといった感じだ。しかし、その目から殺意は消えていなかった。

「ふざ…けるな…!殺す、殺してやる!」

「殺す、ねぇ…威勢を張ったところで…何も起きないわよっと!」

 無慈悲な蹴りを腹部に受けた盗賊のリーダーは、そのまま吹っ飛び洞窟の壁に叩きつけられる。

「恨むんなら自分を恨みなさいよ?この弱肉強食の世界で強者を刺激し、その身だけでなく仲間にまで被害を被らせた無能な部下を持った自分をね。」

「ゲホッ…あいつらは、都市で仕事を失って…雇い主も見つからずに路頭に迷ってた…そんな奴らの居場所を、お前なんかに…!」


 彼女がそこまで言うと、洞窟内に拍手が響き渡った。

 ラグナロクが行ったものだ。拍手を終えると、その表情からは何も感じられない笑顔で

「良い話ね。」

 と言って、盗賊のリーダーに近寄る。

「感動的だわ。」

 そうまで言って、目の前で立ち止まる。

 そして、無感情な微笑みが歪み、目の前の獲物を蔑み、嘲笑するものへと変わった。

「けど無意味ね。」

 -刹那、顔面だけに集中したラッシュが叩き込まれた。

「この世界で正義を語れるのは勝者だけ、来世までよく覚えておくことね。」


 先程まで自分に向かってきていた相手が既に動かなくなった事を確認すると、ラグナロクはその兜を取って素顔を確認し始めた。

「…ボコボコにしすぎて原形留めてないからよくわかんないわ。」

「なんでわざわざ確認してるのよ?」

「え、ブスって言っちゃったし本当にブスなのか確認しておこうかなと。」

「うわぁ…悪趣味…。」

「フフッ、そうかしら?まぁさっさと帰りましょうか。」

 そう彼女が言うとその手から放たれた闇の蛇が2つの死体を飲み込み、戻っていく。

 彼女たちは、別段苦労もすることもなく、盗賊を狩りつくして帰っていくのであった。

ラグナロク「いやー今回でようやく盗賊征伐編終わったわね。長いような短いような。」

ヘリア「あんなド畜生ムーブかましてよくぬけぬけと表舞台立てますよね。」

ラグナロク「そりゃあ私正真正銘のクズだからね!」

ヘリア「無い胸を張らないでください。」

ラグナロク「あぁん!?」

ヘリア「次回、『第9話 戦力増強』!」

ラグナロク「てめぇ誰の胸がサ◯エさんみてぇだとぉ!」

ヘリア「言ってない言ってない。」

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