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充実
それからの毎日は、早くて、心地が良いものだった。
ほんとうの自分を知ってくれてる人がいるということは、意外と大きなことで、外面を繕うことに疲れはあまり感じなくなった。
帰り道のことだ。
「最近の桜、なんか楽しそう」
クラスメイトの愛華が言うと、
「それね、彼氏でもできたの?」
美祐も反応する。
「彼氏いない! 彼氏なんていないよ」
それでもなんとなく頬が熱くなるのがわかる。
「え〜! 本当に? 顔赤いよ」
「彼氏はいないけど好きな人はいるって感じか」
美祐の言葉に黙ってしまう。
図星。
「まじか」
愛華が笑う。
美祐も笑う。
そして私も笑う。
何気ない学校生活が、とても楽しい。
「愛華と桜、今から時間ある?」
「ある!」
元気な愛華の返事。
私は一瞬マサキさんの顔が浮かんだけど、
「あるよ」
頷いた。
「どっか寄ってお喋りしない?」
こうして女子高生らしい放課後の過ごし方をすることになった。
学校生活が充実していくにつれて、マサキさんとの時間は減っていく。
このときはまだ、そんなに気にしていなかった。
だって、終わりなんてないと思ってたから。
それでも私はすぐに後悔することになる。
もっと一緒にいればよかった、って。




