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1.孤独
友達もいて、家族もいて、それなりな毎日を、送っているのに、水沢桜はどこか孤独を感じていた。
「桜っ!」
ぼうっとしていた桜を、高い声が現実に引き戻した。クラスメイトの紗香の声である。
「紗香〜」
「何考えてたのか知らないけど意識どこか飛んでたよ?」
「あー、ごめん」
その場にいた女の子たちが笑った。
「てかさ、桜は色々心配だわ。ぼうっとしてるし、線路とかに落ちないでよ?」
その女の子たちのひとりである、凛奈が言った。
「落ちないって! 心配しないでよ〜」
笑いながら返事をして、ふと、思った。
この人たちは本気で自分を心配してくれているのだろうか、と。
……きっと、そんなことはない。
そう考えてみたら、少しだけ寂しくなった。
でも、こんな世界は個人の気持ちなんて関係なく回ってゆく。
だから、私は全てを笑顔で隠し通すんだ––––––。




