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苦笑いと背中

作者: 亜沙

リア友に出してもらったお題に沿って書いてみました。

ちゃんとお題にそれているのか心配ですが、読んで頂ければ幸いです。

私のクラスにはとても大きな身長の男子がいる。190センチ以上あって、150センチ程度しか無い私にとっては彼の身長が羨ましく思ってしまう。

そんな彼は授業でよく定規のような扱いを受ける。彼の肩より下だったら160センチ以下、逆に肩より上だったら160センチ以上だと言われる。

そういう時の彼は決まって苦笑いを浮かべる。参ったと言わんばかりに頬をかく。


__嫌では無いのだろうか。


ふと、そんな疑問が浮かんだ。

まるで、ではなく。明らかに、定規のような道具扱いを受けているのに彼は嫌では無いのだろうか。

彼の苦笑いが私の頭の中にどうしようもなく焼き付いて離れなかった。



ある日、彼に嫌では無いのかと聞いてみた。

私の声に振り返った彼はいつも浮かべている苦笑いではなく、純粋に話し掛けた私に対して驚きの表情を浮かべている。


__嫌では無いのか?


その質問に彼は更に驚きを隠せないでいるが、おもむろに口を開いた。


「誰かの役に立てるならそれでいい」


そう言った彼の顔はいつもの苦笑いを浮かべておらず、心からそう思っているのだと分かる程綺麗な笑みを浮かべていた。


苦笑いのイメージしか無い彼が初めて見せる、純粋な笑顔だった。



いつもの苦笑いを浮かべながら彼は踵を返し、学校をあとにした。

踵を返した時に見た彼の背中は私なんかより一回りも二回りも大きかった。


__その夜、夢を見た。

彼の後ろをゆっくり歩く夢。

夢の中でも彼の背中が私より一回りも二回りも大きかったのを覚えている。


夢から覚めた私の胸は何故だかキュッと締まった気がした。


その夢の中の彼と胸の締め付けが何を意味するのか、私には解らなかった。

読んで下さって有難うございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 素敵な文章でした。恋心はよくわかりませんが彼の背中にときめきを感じたのでしょうか?考えされられます。
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