制御の証
交友の光景
力の制御を初めて数十年。
気が付けばそんなに経ってたんだなど椿は最近知った。
最近知ったというのは、もともと時間にルーズな椿だが妖怪になって自身の見た目が変わらないこともあり余計に時間を気にしなくなっていたからだ。
制御についてはうまくいったといっていいだろう。
妖獣の姿から耳と尻尾を隠せるようになり見た目人間と変わらない。
妖力も隠せるようになり人の都市に入りたいと椿は思っている。
ちなみに人間のくらしはさらに進化していき、街レベルから都市レベルへ進化しているのだ。
椿はこれについてあまり興味なく食べ物のほうにしか興味が向いてないのだ。
「こんなもんかな、逆泣、これでいい?」
「ん~ええよ。やて~よおもまあ、あないな動機で人里に行こうとしはるわな~」
椿は今、逆泣という妖怪のもとで修行していた。
一人でやっていたのだが元が人間だというのもあり、うまく制御ができなかったのだ。
そんな時に出会ったのが逆泣である。
猫又である彼女は人化するのが得意であり、そのことから彼女に修行を頼み込んだのだ。
逆泣は二つ返事で了承してくれた。
椿は逆泣に人化以外にも妖力についてを学び、椿は最初の狼以外にも他のストックも妖怪化することができた。
「私は人里の美味しい食べ物を食べてみたいの。そのためならどんな修行だってへちゃらだよ」
「どの妖怪もそないな理由で人里に行かへんわ~」
「じゃあ逆泣にはお土産なしね」
「大丈夫よ~うちも行きはったるからね~」
逆泣は椿が心配でついて来るようだ。
どんなに人化出来ても中身は妖怪、バレたらどうなるかなど逆泣は知っている。
だからこそ一人の友人として椿の事が心配なのだ。
「逆泣もついて来るの?」
「そないよ~邪魔かしら~」
「ううん!むしろ嬉しい!一緒に行こう!」
椿は逆泣の想いを分かってる訳ではないが、友人と一緒に出かけることが嬉しいようだ。
「あ、じゃあ葵も呼ぶ?」
「ん~葵ちゃんは忙しいと思うから~あ、でも~あの子の事だから~呼んだら仕事ほったらかしいやって飛んでくるんやないかな」
「むむむ、仕事してる中で呼ぶわけには行かないね」
椿は他の友人、葵を呼ぼうとするが仕事を最中に呼ぶわけにはいかないと思い逆泣とだけ行くことにした。
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「むむむ、呼ばれたような気がしたような……」
「葵。手を止めるんじゃないぞ」
「ふぁーい」