表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方食道楽  作者: みかん
第二章【神の標】
36/42

心の闇

辺りは暗くなり、月が天に登りきった頃。

モゾモゾと動き出す者がいた。

人を騙し、皮が剥がされたてゐは、その体を動かした。

いくら回復力の高い妖怪でも、皮をその日の内に再生出来るものなどそういない。

もちろんてゐはそういう妖怪では無いので、治った自身の皮を見てに驚いている。


しかし、てゐは原因を知っている。

てゐはその原因を見る。

最初見た時とは違い、白く鱗が生えていたが、匂いが同じな事を確認し、傍に近づいた。


「起きているんだろう。話がしたいんだ」

「・・・・・・」

「その前に聞きたいことがある。あんたの名前さ」

「・・・・・・」

「私の名前だけ聞いといて、そりゃあないんじゃないかい」

「・・・・・・椿よ。近衛椿」

「椿か。よし、覚えた。ところで椿。その腹はなんだい?見るからに妊娠している訳ではないんだろうが」

「人間一人、この中に入っているのよ。だいぶ、消化しているけど」


とぐろを巻いていた体を起こし、てゐを見る椿。

ラミアのように大きな体をした椿に、小さな妖怪兎のてゐ。

変わった組み合わせだが、話は続いていく。


「最初は狼。次は猫。そして蛇。次はどんな物が出てくるのか少し楽しみだ」

「で、話ってなによ」

「ありゃ、機嫌が悪そうね。では、手短にしようか」

「そうして頂戴」

「椿、何を悩んでいるんだい?」

「・・・・・・」


てゐは椿が悩んでいることに気がついていた。

現に椿が、寝たふりをしているのも知っていた。


「あんた、私に『妖怪の力を使おうが人間だ』と言っただろう。私はそれで、人間に執着していると思っているんだけど違うかい?」

「・・・・・・違わないわ。私は人間に執着しているもの」


椿はてゐに気づかれた事を話し始める。


「私はこの能力を得てから人間から化物呼ばわりされたわ」

「ふむ」

「どれだけ長い年月が経とうと、それだけが頭から離れなくってね」

「なるほど」

「自分は人間と言い聞かせて忘れようとしてもそれが無理でさ」

「でも、能力得てからは人間らしく生きたんだろう?いくら何でも何時までも化物と呼ばれ続かないだろうよ」

「いや、私は化物と呼ばれても可笑しくない事をした。人間を喰らいまくったのだから」

「そりゃあそうだろう。ってことは能力に溺れたってことだろう?聞いたことはあったけどホントにあるんだな」


椿はてゐが言ったことに、首を縦に動かす。

てゐはそれを肯定と受け取り、続きを促す。


「気がついた時には人間は居なくなっていた。だから私は誓った。もう人間を襲わないと。でも無理だった。この腹にいる人間を食べたとき、私は、楽しんでいた。

結局、何も変わってない!私は!何のため生きているのか、分からない・・・・・・」

「・・・・・・」


てゐは黙って聞いていた。

そして心中ではこう思っていた。


(やべー、ここまで重い話と思ってなかったわ)


そんな二人の様子を草むらに隠れながら見ているものがいる。

幽香と勇義だ。

今まで、旅と修行をしてきて椿のことを分かっているつもりだった。

しかし、それは表面上の事。

内側のことは全く分かっていなかったのだ。


「先生・・・・・・そんなことを思っていたなんて」

「いつも人間とは思えねえとか思っていたけど・・・・・・」


幽香は、椿のことを心配した。

同時に落ち込んだ。

その話を自分に話してくれないことで信頼されてないと思ったからだ。

だが、勇義は違った。


「先生も生きているんだな」

「はぁ?」

「だって、あんな無茶苦茶な修行を平気で私達にするし、親父とは人間じゃありえねえ程の長い付き合いだって言うし。人間とか妖怪とか違うものだと思ってた。けど違う。私や幽香と同じで、生きている生き物なんだなって思った」

「私たちの前で弱音吐かなくっても?」

「なんだ嫉妬か?」

「違う!」

「別にいいんじゃね。信頼されてなきゃ信頼をされればいいし。それに先生のことだ。見栄を張りたかったんだろう」


その言葉に妙に納得した幽香。

ならば、行動をするべしと椿のものに向かおうとする。

だが、勇義に止められる。


「少し待て。どうせだから全部聞いていこうぜ」


幽香はその言葉に従い、その場に身を潜めた。



「あー、そんなに重い話とは思わなかった。すまん」

「いいのよ。私は変わることが出来ない弱い存在なんだから・・・・・・」


椿は自分の胴体を抱えるように俯き出す。

それを見て、てゐは言う。


「いいんじゃないかい。それでも」

「え?」

「化物呼ばわりされようとも自分の在り方を変えなきゃ、それが自分なんだからさ」

「でも」

「私も前に呼ばれたことあるさ。兎の群れの中、自分は突然妖怪になって仲間から化物と呼ばれてね。でも私は気にしなかった。むしろ清々した。自分だけ他とは違う生き方をしていて、なんで違うの?って思ってさ。呼ばれてようやく分かった。ああ、だから違うんだと。そのあとは人間に捕まる前にさっさと群れから出て行ったのさ。そして好き勝手に生きているんだ」

「・・・・・・」

「椿も、自分を人間だと思っているんなら、それは変えるな。自分が否定したら本当の化物になるからな。そして好き勝手生きろ。色々と見えてくるぞ」

「その結果がアレだったのか・・・・・・」

「アレは忘れろ」


てゐは話し終えると椿の懐に入り始める。


「ちょ!何してるの!」

「なに、寝るだけだが」

「だからっこんなところに入るな!」

「いいだろ別に」

「今の私は変温動物だから冷たいんだ。だから離れてくれ」

「そうか?十分に暖かいぞ」

「・・・・・・はぁー」


椿は観念したのか、とぐろを巻かずに、地面に横になった。


「風邪ひいても知らんぞ」

「別に平気だ。健康が取り柄だからな」

「・・・・・・胴体に絡みつかれても知らんぞ」

「何それ怖い」


そんなことを言いつつ、二人は寝始めた。





朝、体温の上昇で気がつき、椿は目を覚ます。

腹にいた人間はすっかり消化され、体はスッキリしていた。

それを確認し、体を起こそうとすると、腕に重みを感じた。

見ると左手には勇義が、右手には幽香がしがみついていた。


「・・・・・・風邪引いても知らんぞ」


懐に寝ているてゐにも言った事を、寝ている二人に言う椿。

頬に一筋の涙を流しながら、椿は静かに狼へと変幻し、二人の体を温め始めた。

そして、また寝始める。

その顔は腫れ物が取れたかのようにすっきりとし、笑みを浮かべていた。


雪凄かったですね。

降った日にバイトだったので大変でした。

さて、ちょっとだけ感動するお話にしてみたのですがどうでしょう?

初投稿なりに頑張ってやってみたのですが・・・・・・

次回、来週をお楽しみに。

(いい加減、あの神のもとにつかなきゃな・・・・・・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ