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東方食道楽  作者: みかん
第二章【神の標】
35/42

椿の心象

幽香は容赦しなかった。

勇義は楽しんだ。

人間達は、二人のことを普通の人間と思ったのが運の尽き。

修業の鬱憤を思いっきりぶつけられた。


「逃げんじゃないわよ!」

「ほらほら!鬼退治は始まったばかりだぜ!」


余程溜まっていたのか、幽香達は叫びに叫んだ。


「ひぃ!」

「畜生!こいつら妖怪だったのか!」

「逃げろ~!」


人間たちは、ようやく自分たちがやってしまった事に気づいた。

触らぬ神に祟りなし。

この場合、妖怪になるのだが変わらないだろう。

逃げ惑う人間達。

だが、二人は一人たりとも逃がす気など無い。


「ふふ、何処に行くのかしら?」

「た、助けてく」

「はい一人目♪」


逃げようとした一人の人間の前に現れた幽香。

人間は幽香に助けを請うとするが、幽香は最後まで聞かずに頭を蹴り飛ばす。

突然消えた人間の頭。

残された身体から大量の血が溢れ出し、目の前にいた幽香はその血を間近で浴びる。


「・・・・・・うふ♪」


勇義も含めたその場にいた全員が、ゾクッと背筋が凍るような思いをした。

幽香は椿との修行で何かに目覚めてしまったのだろう。


「けど、私も楽しむとしますかね」


そう言いながら勇義は、手に持っていた人間を上半身と下半身とでちぎった。

断面からは小腸や大腸がかろうじてまだ繋がっていた。

その人間も苦痛の表情を浮かべていた。

まだ生きているようだが時間の問題だろう。


勇義はその人間をその場に捨てる。

そして次の獲物を捕らえる。


一方的な蹂躙だ。

ただの人間が妖怪に叶うことなど万に等しいのだ。


「ほら、人間。死になさい」

「オラオラ!死に晒せぇ!」


そんな二人を椿は遠くから見ていた。

そしてこう思う。


何がどうしてこうなった。っと


頭にスヤスヤと寝ている兎を載せながら、椿は重い足取りで二人に近づいていく。

近づくと一人の人間が、椿に向かって逃げてくるのが見えた。

人間側も椿を発見したのか向かってきた。


「おい、女!この先に行くな!妖怪が出たんだ!!」

「妖怪ね・・・・・・」

「死にたくなかったら逃げろ!」

「ああ、その必要はないよ。あんた達が二人にちょっかい出したのが悪いんだから」

「何を言って・・・・・・!・・・・・・!?」


人間は痙攣を起こしながら地面に倒れていく。

何が起こったのか分からないという表情を浮かべながら。


「遠くから見てたよ。仲間を見捨てるなんて酷いじゃない。ということで行きますか」

「!・・・・・・!?・・・」


椿は人間の脚を持ちながら歩き始めた。

もちろん片腕には獲物を持ちながら。

人間がその量に驚いたのは言うまでもない。


「あ、先生。お帰りなさい」

「ちょっと待ってろ。今、集めているから」


幽香と勇義は全滅した人間たちを一箇所にまとめている作業をしていた。

周りは二人が暴れたので荒れているがそれよりも、もっと注目するのが色だ。

真っ赤なのだ。

血に染まった岩や石。

暴れた箇所殆どに、血は付着していた。

その光景に、椿が引きずっている人間は恐怖に慄いた。


「あれ?その人間って」

「二人が逃した人間よ」

「げ、一人逃しちまったのか」

「ということで明日はビシビシと逝く事にしたわ」

「「字が違う!」


二人は絶望を浮かべながら項垂れてしまう。

そんなことお構いなしに椿は人間を見る。


「貴方には聞きたいことがあるの。すぐには死なせないわ」


そう言いながら椿は手から人間を放し、少し離れた。

その光景に二人は顔を上げ、椿を見る。


椿は脚を揃えると、足が一つになり少しずつ伸びていった。

そしてその足は、健康そうな肌色から段々と濃緑に色が変わっていく。

鱗が生え、そのまま伸びていく。

上半身の色も色素が無い白色に変わっていくが全部鱗にはならなかった。

椿は蛇の力を発現したのだ。

今の椿の見た目は、一言で言えばラミアになっている。


その姿のまま椿は、人間に近づいていく。

そして人間を両手でつかみあげると首筋に噛み付いた。

人間は苦悶の表情をしながらある事に気づく。

先程まで眉一つ動かせなかった身体が動かせるのだ。


「今、貴方の中に毒を注入させてもらったわ。後、麻痺毒は抜かせてもらっている事には気づいてるわね」


人間が体を動かせなかった理由は、椿が密かに撒いた麻痺毒のせいだった。

その事が分かっても人間の運命は変わらないだろう。


「一つ目はこの辺りに人間の住んでいる集落はあるかしら」


人間は妖怪にそんなことを喋らせまいと思っていたが、自分の意思とは関係なく口が動いた。


「こ、の先にだいぶ、大きな、しゅうら、くが、ある」

「そう。じゃあ二つ目。そこには神が祭ってあり、その集落を守っているかしら」

「や、さか、様が、まもって、くだ、さって、いる」


次々と集落の情報を喋る人間。

その光景を眺めていた二人は不思議に思った。


「なんであの人間、仲間を売ってるんだ?」

「それは多分、先生の毒のせいだと思う」

「毒?そんな毒があるのか?」

「先生は自白剤って言ってた。少し改良していて意識がハッキリしているのに聞かれたことを簡単に答えちゃうらしいわ」

「うわー・・・・・・」


本来の自白剤は意識を朦朧にするもの。

しかし、それではつまらないという理由で改良したのが使用中の自白剤である。

そんな理由で作られながらも効果は抜群で、エグい物になっている。

それもその筈、意識あるまま情報を相手に伝えることは、屈辱なのだから。


「さてと、聞きたいことは全部聞いたし、もういいわ。安らかに眠れるといいわね」


そういうと、椿は口の骨を蛇のように外し大きく開ける。

それを見て、人間は何をするのか分かり、顔を引きつらせる。


「やめ」


人間が言う瞬間、椿は頭から咥えた。

そのまま少しづつ、人間の身体が椿の口の中に消えていき、ついに身体全部が椿の中に入っていった。

椿のお腹は大きく膨らんでおり、時折動いているのが見える。

幽香達はなんと言えばいいのか悩み口を動かしていた。

そんな二人を見て、椿は言う。


「私、お腹いっぱいだからもう寝るわ。ご飯はこの兎以外だから後はよろしく」


そう言うと椿はとぐろを巻きながら寝始めた。

椿の寝息が聞こえ始めるとようやく二人は動き始めた。


「先生、なんか恐ろしかったな」

「ええ、でも」

「でも?」

「寂しそうだった」


椿の三つ目の発現。

そしてちょっとした心境。

このあとの展開に乞うご期待!

ではまた来週に

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