鬼の喧嘩
そろそろ雪が降ってきそうな気がする今日のこの頃です。
「あいつは強い!本当に人間なのかと疑うくらいだ」
「生身で俺らとやりあえる奴なんて見たことねぇぞ」
口々に話していることは椿の事だろう。
ここは鬼の住処。
最初に椿に片腕を千切られた鬼が向かった場所がここである。
その鬼が他の鬼を呼び、椿の下に喧嘩しに行く。
怪我して、喧嘩が続けられなくなった鬼はここへ戻ってきてそのことを自慢そうに残っている鬼に話す。
それを繰り返し、今では怪我した鬼やまだ幼い子供くらいしか残っていない。
鬼にとって戦いは、祭りだ。
誰かと戦い、勝って、負けて、生きて、死んで。
それが鬼たる者の、存在意義。
自身に素直で、ただ楽しいことがしたいと子供みたいな発想をする。
欲に素直で、ただ闘いたいと思う真っ直ぐな気持ちを持っている。
だから、闘う。喧嘩する。
鬼の誇りをかけ、好きに生きる。
死ぬことなど気にせず、闘う。
それが鬼。
「なぁ!どうしたんだよその腕!?」
鬼は仲間意識が強い者。
ゆえに、一つの勘違いが始まった。
「まだ来るの。いい加減面倒になってきたんだけど」
「先生が挑発するからどんどん来るんじゃないですか」
椿は現在、現れた鬼に片っ端から喧嘩を申し込まれている。
最初の鬼に呼ばれた仲間たちは、突っ込んでは投げ飛ばされたり、腕を千切られたりと怪我を負ってもまだ向かってくる者が多く、いつまでも終わらないのだ。
「すげー強ぇーぜこの人間」
「でも、楽しいなぁ。いやーこんな奴がまだいたとはな」
「おおい、酒もってこいよ。もう喧嘩できねえから飲んで楽しみてえからよ」
鬼の中には腕や足を無くし、戦闘不能になった者がおり、その者は酒を飲みながら他の鬼が闘っているのを見るようになってきた。
それだけ、喧嘩が好きなのだろう。
もっとも、椿にしてみればいきなり喧嘩を売られて迷惑しかしてないが。
「何時になったら終わるのよ!」
連戦を続けてきてうんざりしてきた椿。
幽香に愚痴をこぼした。
「私に言われても……」
「こうなったら、幽香。貴方も闘いなさい」
椿はそういい、幽香の前に立つ。
幽香に鬼と闘うことを強要して来たのだ。
「え?でも私は……」
私はまだ弱い。
そう椿に伝えようとするが、椿はあることを話す。
「大丈夫よ。私が鍛えたもの。十分に強いはずよ」
「本当でしょうか、余り自身がないです」
仮にも椿の下で修業中の身。
いきなり、鬼と実戦するのは、段階を飛ばしすぎであろう。
「いいからこれ外して、行って来い!」
椿は幽香につけた呪具に手をかける。
すると簡単にはじけて取れてしまった。
「ええ?どうしっ!!」
外れた瞬間、幽香から妖力が溢れだした。
幽香は体内からあふれる自身の妖力に驚いた。
その妖力は目に見えるほど濃く、その光景に鬼たちも驚いていた。
「これは一体……」
幽香は自身の変化に驚きを隠せないでいた。
その様子を見ていた椿は、幽香に声をかける。
「呪具がはじけたのは、幽香の妖力が、呪具が押さえきれる量を超えたからよ」
「そんな効果もあったのですか……知らなかったです」
「言わなかったからね。まあ、これで幽香は並みの鬼なんかじゃ手も足も出ないくらい強くなったよ」
幽香は半信半疑だった。
確かに妖力が増えたことで力が付いたことは分かっている。
それども鬼を倒せるとは思っていないのだ。
「自信ないのね幽香。ならほれ!」
椿は、今相手していた鬼を、椿に向かって投げた。
「ちょ!先生!」
幽香はその鬼に向かって、とっさに右ストレートを決めた。
それは鬼の顔に見事当たり、酒盛りしている鬼たちの中に飛んで行った。
幽香は自分がしたことに驚いていた。
「こんなに違うなんて……」
呪具をつけている最中には感じることがなかった強い力に戸惑う幽香。
そんな幽香を安心させるかのように、椿は隣に立つ。
「これがあなたの力よ」
だが、椿は知っていた。
幽香に眠る潜在能力の高さを。
だからこそ、呪具を持たせて、解放できるようにしたのだ。
「おい、あのちびっ子、予想以上に強そうだぞ!」
鬼も驚いていたが、直ぐに話題にしてしまった。
子供みたいに小さいのに、強い力を持っていることが関心を持ってしまったようだ。
「響さんの娘みたいにちっこいのに強いな。おい、あの子も呼んでくるか?」
「やめておけ。また響さんに怒られるぞ」
「いいじゃねぇか、あの子とそのことちびっ子。どっちが強いか見てみてぇよ」
鬼の言う響の娘。
その子と幽香を戦わせてみたい鬼が多かった。
それは、単純にどっちが強いか見たかったのだろう。
そんな時、椿に向かって大きな岩が飛んできた。
椿はそれに気づき、岩を破壊するため、回し蹴りを決める。
だが、岩を破壊するとその岩から、額に立派な角を生やした鬼の少女が飛び出てきた。
「お前かーー!」
「しまっ!?」
椿はその少女に殴り飛ばされてしまう。
そのまま椿の体は十数mほど飛んでいき、地面に落ちた。
その光景を見て、幽香は少女に向かって殴りかかった。
少女はその拳を軽々と受け止め、幽香に話しかけた。
「お前らが仲間を怪我させた奴らだな!」
この少女はほかの鬼の言っていたことを聞かずにここに来た。
ただ喧嘩しているだけだが、少女は椿たちが攻めてきたと勘違いしているのだ。
そのことに気付いた鬼たちは少女を止めようと近づいてくる。
だが、少女はやってしまった。
「……も…」
「あん?なんだって?」
幽香に眠る潜在能力の一端を目覚めさせてしまったのだ。
「よくも先生を!」
幽香の掴まれている手が、叫び声と共に光り始めた。
「喰らえーーーー!」
「なっ!?」
一筋の光の線が少女を飲み込んだ。
さて、週一を目標に投稿してきたこの作品。
まあ、続けるのですが。
気が向いたら、別の作品を出してみたいと授業中に思っているみかんです。
後書きとかってほかにどんなこと書けばいいか悩むのは私だけではないはずです。




