表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方食道楽  作者: みかん
第二章【神の標】
25/42

神様の事情

ちょっとだけ長くなりました。

爆発が起こった日から数百年の月日がたった。

永琳など人間が住んでいたところには、別の人間が移り住み始めた。

しかし、その文明速度は月に行った者達とは比べ物にならない程、遅い。

ようやく稲作を覚え始めたくらいだ。

そんな人間達を見ながら、数百年を過ごしてきた妖怪達がいる。

人間達の住む場所から離れて、というより妖怪達の住んでいる家から離れて人間達が来たのだ。

どんなところでも妖怪は人間を襲い、人間は被害を受けてきた。

人間達は安全な土地を求めて旅たった。

ではなぜ、わざわざ妖怪達が住む近くに、住み始めたのか。

それは安全だからだ。


実はこの妖怪達、人を襲わない。

そのことを知った人間はまず疑った。今まで妖怪の被害が受けてきたのでそんなこと信じられない。

だが、本当に襲わなかった。それどころか人を助けた。

妖怪に襲われれば、その妖怪達は退治してくれる。

食糧に困れば、食糧を提供してくれる。

病気になれば、薬草を持ってきてくれる。


次第に人間はその妖怪達を信じ、その近くに村を作り始めた。

そして人間達は妖怪達の裏にいる、神の存在に気付く。

自分たちの土地神としてその神を祀り始めたのだ。


「こんなもんでええのかな」


「ええ、完璧です」


その妖怪達の思惑通りとは人間達は知らないだろう。




事の発端は姫の一言だった。


「そろそろ信仰がやばいです」


神である姫は、人間達の信仰がなければ消えてしまう。

信仰は、神にとっての存在意義そのもの。

どんな神にも、ある程度の信仰は必要なのだ。

そんな姫は、妖怪に近い椿や妖怪の逆泣の下にいる。

信仰を得られるはずがないだろう。


それを聞いた二人は、呆然とした。


「さて、どうしましょうか」


そんな二人をよそに、姫は打開策を案じ始めた。


「いやいや、いきなりやってびっくりしたわ。それ、ほんまか?」


「本当です。あと、十数年くらいでしょうか。神力がなくなり、私は消えてしまいます」


「ど、どうすればいいの?」


椿はとても慌てた。椿にとって姫は、自分を救ってくれた神であり、大事な娘なのだ。

そんな椿を見て、逆泣は溜息をついた。


「ほんま、椿は親バカやな。それで姫、策はなんや?」


逆泣は冷静に、姫の策を聞く。


「はい。それは簡単なことで、ただ私達が、人を助ければいいのです」


「それだけか?」


「はい。実に簡単な事ですよ」


姫は簡単だというが、そんなはずがない。

神である姫はまだしも、妖怪である自分が、人に信じられるはずがないと逆泣は思った。

だが、そこには姫なりの考えがあった。


「どんなところでも人は、自分が信じる者にはとことん信じるのです。確かに妖怪が信頼を得るのは、容易いことではないです。ですが一度信用されれば、人は安心して逆泣を信じてくれます」


「あれ?私は?」


姫は逆泣にあることを話した。

それは、まずここに来る前の事だ。

何故、数百年もの間、信仰を得なくても大丈夫だったのか。

それはそれだけ、神力を溜めたからに過ぎない。


実は、椿が消えた世界では、見つからなかっただけで、人間は生きていた。

姫はその人間達を助け、信仰を集中的に得ていたのだ。

もちろん、他の神だって存在していた。だが、人間の前には姿を現さなかった。

それは、その時代の人間が神の存在は信じても、実在は信じなかったからだ。

目に見えるものしか信じない人間が、目の前で巨大な力を持った神を誰が信じないのか。


そんなこんなで、姫は約五十年間、人間から多くの信仰を得てきた。

信仰が目標までたまったのもあるが、人間達が復興し、ある程度増えてきたのが大きな要因だ。


「わりかし、椿から聞いとったやけど、ほんまにすごいことしたんね」


「って、人間生きていたんだ」


「母様は気付いていなかったのも仕方ありません。実際に私も人間が現れるまで気づきませんでしたから」


「それより、具体的にはなんをしはるん?」


「まず、逆泣には周りの妖怪達を統一してもらいます。そうすることで妖怪の被害を抑えてもらいます」


「わかった。そんなこと簡単や」


逆泣はすぐ了承する。


「私はどうするの」


「母様には、ある神の下に行ってもらいたいのです」


こうして、姫による、布教活動が始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ