気づけば近くに、そして遠くに
「ついたわよ。ここが私の家」
「おお、意外と普通だ」
「確かに~意外と普通ね~」
「二人共、それは褒めてないでしょ」
椿たちは永琳の家に到着した。永琳の家は和式の屋敷で豪華な部類に入るのだが、椿と逆泣はもっと変わった家だと思ってたらしい。
「いいから、早く入ろうよ」
「家主より先に入らないの」
「だって友達の家に行くの初めてだもん」
「友達?」
「うん!永琳は初めての友達だよ!」
「え!、うちはちゃうの!」
「永琳は人間での初めての友達ってことだよ。逆泣は妖怪での初めての友達だよ」
「ならええで~」
前の世界では友達がいなかった椿。実は椿が能力に目覚めたのは、椿がまだ5歳の時なのだ。
5歳の時、能力を目覚め。18歳の時、世界を食い尽くした。
そんな中、友達など作れなかった椿。
椿にとって、友達が出来たことがとても嬉しいのだ。
「ふふふ、嬉しいわ椿。最後にあなたに出会えて本当によかった」
「何言ってんのさ。いつでも会えるのに最後なんて大げさな……」
「行くんやな」
「ええ」
「いつや」
「明後日には」
「そうか。意外と早いな」
「早まったのよ。ここ最近、妖怪による被害が拡大してるから」
いつになく真剣に話す逆泣に戸惑う椿。それでも永琳が言う最後の言葉は本当なんだと理解した。
「そうなんだ……」
「ごめんなさいね。せっかく友達になれたのに」
「どこに行くの……」
「月に行くのよ」
「月に?」
「そう。月に行けば穢れがない。つまり死なない。人は生きているうちに穢れを作る。それが妖怪を生む。人が死んでも穢れは作ってしまう。だけど月には穢れそのものが生まれないの。だから月に行くことになったのよ」
「いつか会える?」
「私が月に行けば死ぬことはない。あなたたち妖怪は寿命が人間より長い。ならいつかは会えるんじゃない?」
「そっか。それだけわかれば充分」
椿はいつかは会えることが分かり、永琳に笑顔を見せた。
「今日はありがとうね、永琳」
「ふふふ。こちらこそ、とても楽しかったわ」
椿たちは永琳に見送られて帰るところだ。
最後ということで遅くまでいたのだ。
「永琳、元気でね」
「達者でな」
「ええ、二人も元気で」
「じゃ、またね」
椿たちは夜の中に消えていった。
「逆泣~」
「あーもう、よしよし」
椿は逆泣の胸で泣いていた。永琳と別れてすぐに泣き始めたのだ。
「もう、永琳も言ってたやろ。いつか会えるって。なら長生きすればええやろ」
「逆泣は、寂しく、ない、の?」
「うちやって寂しいに決まって、るわ、永琳と、一緒にいて、どんだけたってる、やと思って、や」
逆泣も椿に釣られて泣き始めた。逆泣も永琳と離れるのは嫌なのだ。
「ぐすっ。永琳は明後日には月に行くって言ってたよね」
「ええ、そうやな」
「だったら明日になんかプレゼントしよう」
「それええな。永琳がびっくりしはるモン渡ほうか」
こうして二人によるプレゼント作戦が開始されたのだが
「ああ!いました!探しましたよ逆泣さん」
飛んできたのは逆泣を探していた天狗だった。




