菊水作戦
――二六○海軍航空隊基地
滑走路端っこに愛機。
整備士が点検に入ると、
「これくらいの傷なら修理できます。もう7.7mmはB29はF6F、マスタングにも通用しませんけど」
「なら13mm機銃を機首に。なんなら20mmでも構いません」
と私は言う。
整備士は少し悩んだ顔して私に告げる。
「13mm機銃はもう無いんです。陸軍の12.7mm機銃なら」
「分かりました。12.7mmをこの愛機に」
「ではすぐに作業に。ちょうど外したばかりのがありますので。今日中にやります」
「有難う」
愛機に背を向け、今後の事を考えた。
太平洋の黒潮の向こうにはアメリカ軍の太平洋艦隊。
そして"地獄猫"。
地獄猫はたびたびこの基地を訪れ、華麗な機動を見せては物資まで運んでくれる。
時にはB17編隊をつれて爆撃かと思いきや食料を沢山積んだ箱を首都の帝都や大阪、名古屋、そして横浜、静岡・・。
講和を結ぶべきか。
我々、日本軍が行った大東亜共栄圏は正しい。
人々を独立し共栄圏で白人植民地から守る。
私はもう一度共栄圏が出来るなら講和を結んでも良い。
今日は4月・・?
日付表を見ると4月6日と言う赤い数字で示されていてその下に"菊水作戦第一号決行日"と鉛筆で書かれている。
神風特攻作戦か!
我が身を肉弾にして敵に突っ込む。
私が行けば1隻の空母を沈める事だって出来る。
「・・・はぁ」
溜息を吐いた。
多分疲れてるんだろう。私は。
<>
――司令室
日があっという間に立つ。
ラジオでは空母1隻沈むと言う戦果まで出ると、特攻隊に志願する人間も徐々に増えてきた。
私は志願を阻止するために腕を骨折させるか両手足を骨折で何とか済ませるか。
そんな事をやって少ない人間を止めてきたが・・。
「君達に戦艦大和の護衛任務が来ている」
「最後の戦艦が沖縄に向けて特攻する」
「受け入れてくれるか?」
「はい!」
「了解です」
後には引けないこの武士軍人。
「了解」
と私は承認した。
「作戦は明日だ。長距離のため燃料タンクの搭載も忘れずに」




