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騎士王、入学試験を受ける

 


「面接は随分とあっさりしたものだったね」

「結果も合格だったし、形式的なものだったのかも」


 翌日。クラリスとジュリエットは王立魔法学園に来ていた。

 西洋風建築の宮殿といっていい程の大きさと荘厳さを感じながら、派手な装飾が施された建物の中を歩く。


 クラリスは既に入学試験を合格している為手続きだけなのだが、無理を言って入学したいと願い出ているジュリエットには簡単な面接と素養試験、その後の実地試験が待っていた。


 面接は簡単な自己紹介と動機等基本的なことが聞かれ、特に問題のあることは言っていない。

「素養試験⋯⋯内容は⋯⋯」


 面接を終えたジュリエットは、二次試験とも言える素養試験を行う為の部屋へと向かう最中だ。

 魔法学園ということもあり、魔法の才能の有無は入学に大きく関わる。


「えっとね。測定器での適性属性検査と魔力保有量の検査。⋯⋯実技もあるって書いてある」

 ひょっこりと紙を覗いたクラリスが翻訳する。


 ある程度読めるとはいえ、未だに慣れていない為、こうした形で読んでもらっている。

「そうなんだ、ありがとう」


 屈託のない笑顔をクラリスへと向けると、彼女は戸惑うように顔を赤くして俯く。

「う、うん。これくらい大したことじゃないよ⋯⋯」

「⋯⋯?」


 しどろもどろになるクラリスに疑問を浮かべるジュリエットは、切り替えて試験について考える。

「魔法は使えないんだけどな⋯⋯」

「多分実戦形式だから大丈夫! 私の時はそうだったし!」


「⋯⋯キミ、戦えるの?」

「戦えないけど⋯⋯」


 しょんぼりとしながら、落ち込んだ声色で話すクラリス。

「魔法は少しだけ使えるけど、昨日の魔獣みたいなのには通じないくらい⋯⋯それでも試験官相手なら⋯⋯」

「⋯⋯なるほど、聞かなかったことにしよう。⋯⋯さて、適性属性検査の時間だね」


 何かしら事情あるという事を察しながら、素養試験の部屋の扉を開ける。

「お待ちしておりました、オーリリア様、ペンドラゴン様。こちらへおかけください」


 中に入ると、講堂のような場所に教員と思しき初老の男性が二つの水晶が置かれた机の前に座っていた。

「今回は無茶を言って申し訳ありません」


 ぺこりとクラリスが頭を下げると、男性は慌てて手で制するような仕草をする。

「いえいえ、この程度であれば問題ございません。こちらとしても、才能のある生徒を育成するのが仕事ですので」


 そう弁明し終えると、男性はコホンと咳払いをする。

「この度の素養試験では、こちらの二つの水晶に触れて頂くだけで構いません。右側の水晶には適性属性の魔法属性の色が、左側には魔力量の数値が現れます」


「なるほどね。それで簡単に才能が分かるという訳か。⋯⋯ところで、適性属性というのは? 魔法には疎くてね」


 ふむ、と少し考え込むような仕草をした後、男性は口を開く。

「魔法には火、風、土、雷、水の基本となる五属性。光、闇の特殊な二属性が存在します。基本的に適性属性以外の魔法は使えず、自身の適性属性と汎用の無属性魔法のみ使えるのです」


「なるほど。ちなみにクラリスは?」

「私は水だよ! 学園には二属性使いとか三属性使いとかもいるけど⋯⋯私は違うんだよね⋯⋯」


 しょんぼりと俯くクラリス。

「大丈夫だよ。力はその性質を理解してどう使うかだ。これから学んでいけばいいさ」

「ジュリエット⋯⋯!」


 ぽわぽわぁっと頬を赤らめながら恍惚な表情になる。

「さてと。魔力量に関しては⋯⋯基準値とかあると反応しやすいけど」

「そうですね⋯⋯一般的な魔導士ですと、100前後。宮廷魔導師クラスになると300といったところかと。才能に大きく左右されパズルものの、適性属性と違い、修練次第で伸ばすことができますのでご安心ください」


「わかった。なら早速適性属性の方からやっていこう。指輪は外した方がいいよね⋯⋯」

 と言い、クラリスは右手で左手に嵌められた複数個の指輪に触れ、虚空に収納する。


「さて、どうかな⋯⋯」


 小さく笑いながら水晶に左手を乗せた。


 その途端、水晶は⋯⋯。


「嘘!? 虹色!?」

「五属性⋯⋯いえ、闇と光も使える全属性の適性ですと!?」


 水晶は赤、青、黄、緑、茶、白、紫の七色が混ざりあった色で激しく輝きを放っていた。


「凄いよジュリエット!」

「何となく予想はしていたけどね」


 驚きと感嘆の表情のクラリスに反し、ジュリエットの表情は若干の緊張が見えていた。

「それじゃあ、魔力量は⋯⋯」


 これも何となく予想が着くジュリエットはすぐさま次の水晶へと手を載せる。

 そこに現れた数値は⋯⋯。


「き、きゅうせんはっぴゃく!?!?!?」

「あ、有り得ないって! 水晶に問題があるんじゃない?」


 9864。明らかに逸脱した数値に驚愕する二人だったが。


「やっぱりね。いや、ちょっと自分でも驚くくらいの数値だけど⋯⋯多分あってるよ」


「念の為もう一度触れて頂けると⋯⋯」

 そう言われて再び触れても9864の値。

 そしてクラリスが触れて42と出た後、もう一度ジュリエットが触れても同じ結果が出た。


「問題はなさそうだね」


 そう言いながら、立ち上がる。

「それじゃあ次の試験に行こうか。場所は⋯⋯第二アリーナらしい。ありがとね」


 教員の男性に小さく笑いかけながら、ジュリエットはその場を後にする。

「ま、待って⋯⋯!」


 そそくさと出ていったジュリエットを追い、クラリスは駆け出していく。

「あ、あの数値ってホントなの⋯⋯? いくらジュリエットでも⋯⋯」


「憶測だけど、理由は幾つかある。ひとつは血筋、もうひとつは普段から魔術を使い続けていたからかな」

「そ、それだけ⋯⋯?」


 訝しげにジュリエットを見つめるクラリス。

「いいや? いちばん大きな理由は⋯⋯"聖剣"だろうね」

「聖剣って、ジュリエットが代々受け継いでるって言ってた剣?」

「そう。今は魔術で収納しているけど、聖剣と僕との間には特殊な契約のようなもので繋がっているからね。聖剣の魔力量も換算された可能性が高いんだ」


 なるほど、とクラリスは納得の表情を浮かべた。

「あの数値の八割くらいは聖剣の魔力じゃないかな?」

「八割⋯⋯ってことはジュリエット本来の魔力は二千くらい⋯⋯にせん!?」


「あはは、そのくらいはあってもおかしくないと思うよ」


 飄々とした口調で、何事でもないかのように言うジュリエットは今までの事を思い返しつつ、アリーナへと向かった。



ジュリエットの強さは基本的に「風都〇偵のフィリップ&左翔太郎」「NA〇UTOのナルト六道仙人モード」の段階です。


もはや後日談とかそういう次元。

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