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第35話 勉強会その1

 英さんの家は学校からも近く、歩いて数分で到着した。

 外観も新築の一軒家という感じで、普通の家という感じだ。


「なんかハナブサの家って感じ」

「あははっ、何それ」


 越後さんが笑いながら玄関のドアを開けると、そこには綺麗な女の人が立っていた。

 顔立ちは英さんの面影があるし、この人がお母さんだろう。

 挨拶をしようとした途端、真っ先に横にいるクロが懐かしそうに声を上げた。


『おー、紅百合の母ちゃんだ。まだだいぶ若ぇな』


 えっ、嘘。こいつ家に来たことあるのか。ただの肉体関係なのに?

 つくづく、こいつと未来の英さんの関係がわからなくなる。


「お母さん、ただいま」

「おかえりなさい、紅百合。お友達もいらっしゃい。ゆっくりしていってね」


 英さんも英さんのお母さんもお互い笑顔で家族仲は悪くないように思える。でも、だからこそわからない。

 どうして英さんは家でも猫を被っているのだろうか。


「お邪魔します。クラスメイトの白純です」


 とはいえ、まずは挨拶だ。考えるのは後にしよう。


「初めまして、越後凜桜と申します! 本日は勉強会のためにお家を使わせていただきありがとうございます!」


 めっちゃ礼儀正しいじゃん。

 やっぱり体育会系の人ってこういうの叩き込まれるのだろうか。


「うふふっ、礼儀正しいのね」


 畏まる越後さんを見て英さんのお母さんは嬉しそうに微笑んでいた。これが本物の清楚か。


「なるほど、わかりやすいお手本が近くにいたのか」

「白君、何か言った?」

「いえ、何でもございません」


 サラッと圧を出して僕を牽制すると、英さんは靴を脱いで奥へと入っていく。後に続いて僕達も靴を脱いで家に上がる。


「ここが私の部屋だよ」


 そのまま階段を上がると、英さんは〝くゆり〟という札の掛かった部屋のドアを開ける。

 英さんの部屋は整理整頓がされている綺麗な部屋だった。

 女の子の部屋というとぬいぐるみが飾ってあったり、全体的にピンクっぽいイメージがあったから意外である。

 こう言ってはなんだが、モノが極端に少なくてあまり生活感がない。


「さっぱりした部屋ねー」

「物があると散らかしちゃうから」


 なるほど、この部屋に物が少ない理由がわかった。


「だから僕の部屋に持ち込んで散らかしてるのか……」

「ちょっ」


 僕の発言に英さんが焦ったような表情を浮かべる。


「待って、今ツクモが聞き捨てならないこと言ったんだけど」

「いや、これは違うの」

「ほほーう、何が違うのかねぇ?」


 目を細めて英さんを見る越後さんはどこか楽しげである。床に荷物を置いた彼女は興味津々といった様子で尋ねてきた。


「前にも言ったけど、白君は気を許せる数少ない友達ってだけだから」

「ふーん、ウチよりも?」

「……リラに砕けた態度を取るようになったのはここ最近でしょ」

「ま、それもそっか」


 実際、英さんには僕ほど素を曝け出している人なんていないだろう。本人もそう言っていたし。越後さん相手にもかなり砕けた態度は取るようにはなったが、それでも完璧美少女の皮が剥がれ落ちることはない。

 越後さんの様子に英さんはほっとした表情を浮かべると、僕の耳元で囁く。


「……リラに余計なこと言わないでよ」

「……ごめん、気をつけるよ」

「……ん」


 僕の謝罪に短く答えると、英さんは話題を変えるために告げる。


「それよりも、今日は勉強会するんでしょ」


 英さんは部屋の中心に置かれたローテーブルに教科書やノートを広げる。

 こうして越後さんのための勉強会が始まるのであった。


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