code・9
『そっちはどう?』
夜中、用意された部屋の中でハナ達と通信連絡をしている。
「ぼちぼちって感じ、そっちは?」
『...なんだか冷たいよね』
『必要なことだけ、って感じだな...ウチとは大違いだ』
「...」
必要なことだけ...か、なんだか寂しいな。
その他の連絡も終わらせて通信を切る、それと同時にノックが部屋に響く。
「すまん、今は手が離せない、出てくれるか?」
「了解です」
ドアを開けるとそこに居たのは第7プラントのリーダーの人だった。
「こん、にちは?」
「こんにちは!!ミライくん!!ちょっとお話しませんか?」
「ど、どうぞ」
「改めまして!私は027、ここのプラントリーダーです!」
「第13プラントリーダー、016です」
「097です」
「ち〜が〜う〜で〜しょ〜」
「え...」
「コードはさっき教えてもらったでしょ!私は君たちの名前を聞きに来たの!」
「あぁ、そっちの」
「俺はヴィヒトです」
「僕はミライです!」
「ヴィヒトさんとミライくんかぁ!私ずっとコードで呼ぶのなんか嫌だったんだよね!なんか距離感があるっていうか...壁があるって言うか...むず痒いって感じ!」
「分かります!!なんか冷たいって感じがして!!」
「だよねだよね!!」
「「ヴィヒトさんは!?」」
「お前ら仲良いな」
027さんとそんな話を続け、いつの間にかヴィヒトさんの用は終わっていて、話に混ざるようになった。
「ここに来たのはただ話に来ただけなのか?」
「うん!そうだよ、それもあるんだけど...私名前って言うのに憧れてるんだよ!」
「名前に?」
「でもいいのが思いつかなくて...だから2人に名前をつけてもらおっかな~って!とりあえずおふたりの名前の由来から聞こっかな!!」
「僕の名前は、そのまんまで、未来から取っています」
「いい名前だよねぇ、私好きだよ!その名前」
「僕も気に入ってます、小さい頃からずっと」
「俺は...俺は戦友がつけてくれました、特に意味はなかったような...」
「え!?名前に意味がないなんてあるの!?」
「さぁ...詳しくは名付けたヤツにしかわからないからな」
「レクスも確か同じだったな、ハナはコードの087から」
「それだぁ!!!!」
「え!?」
「それだよミライくん!!027だから...ニイナ!ってどう!?」
「い、いいと思います」
「だよねぇ!!」
「なぁミライ、お前らの名前って誰がつけたんだ?レクスは苦手そうだからハナかお前のどっちかだろ?」
「あはは...僕たちはあと2人幼なじみがいて、その内のひとりのおかげで僕たちの世代は名前をつけた人が多いんです」
「じゃあその人に感謝しなきゃだね!」
「へぇ...そんなもの好きがいたのか」
そういえば、随分前から見なくなったんだよな...どこに行ったんだろう...セカイ。
「はい!それじゃあ今日から13プラントのふたりとこっちから私を含めた5人で周辺の探索を始めます!!」
「よろしくお願いします!!」
「...」
時間は過ぎ、今は午前5時、早朝だ。
「配置は?」
「事前に言ってたどうり031と097が後衛での援護、027と016は前衛、そして068はその間で付近のビーセクトの探知だ」
「ビーセクトの探知って、グローリアにそんな機能があるんですか?」
「プラント内にある適正探知システムを小型化したものだ」
「へぇ...あれか、こんなのあるんだ」
目の前のあの重装甲のグローリアを見る、その装備は見た目だけでも重そうでとても戦闘はできそうにはない。
「あれってアルケミストですよね?一番使われてるグローリアって聞いてます」
「そうだよ!ここのは全部アルケミスト...ってそっか!13プラントって全員専用機なんだっけ?いいなぁ...私も申請したら貰えるかな」
「でも随分大きいですよね」
「でもあれって重くて重くて!戦闘なんかできるもんじゃないよ!」
「そ、そうなんですか...じゃあ実質4機での戦闘になるんですか?」
「あぁ、ここは第13プラントよりもビーセクトの活動は活発だ、気を引き締めろ」
「はい!!」
「...いいなぁ、いいなぁ!ねぇヴィヒトくんこの子ちょうだい!!可愛い!!」
「ダメだ、そいつは俺たちの大事なバーリアだ、渡す訳にはいかん」
「ヴィヒトさん...!」
「ダメかぁ...」
「027、時間です」
「あ、それじゃあ行こうか、各自予定していたA地点で集合ね」
「はい!」
「了解」
ミーティングが終わり各自グローリアに乗り込む、直近の点検を終えた零式はいつもよりスッキリしたような気がした、零式を起動し、出撃の用意をする、順番に別のグローリアが出撃し、次は僕の番だ。
「097、零式出ます!!」
『やっぱりミライくんのグローリアかっこいいね!純白の騎士って感じ!!』
「そ、そうですか?ニイナさんのグローリアも独特な色でいいと思いますよ!!
『それ褒めてんのか...?』
今回は後衛なので射撃寄りの武装でライフルを2丁、さらにバズーカを装備、近接武器は最小限に抑えている、それよりも目につくのは目の前のグローリアだ。
ニイナさんのグローリアはピンクを基調とした派手で独特な色をしたカラーをしている。
『だってぇ!アルケミストって可愛くないんだもん!!せめて色だけでも可愛くしようと思って...」
『だとしてももう少しどうにかなんなかったのか?』
『どうにかってなによ!!』
なんだろうこのふたり、なんて言うか...お似合いだな、もう少しでA地点に着く、A地点につけばそこからは話していた通りの陣形で進む。
「お待たせしましました!」
『よし、それじゃあ陣形を組もう!068君、レーダーは?』
『反応ありません』
『OK!!進もう!!』
ようし、はりきっていくぞ!!
調査から1時間が経ったが未だに接敵はゼロ、警戒心もすっかり薄れてしまった。
『068、レーダーは?』
『反応ありません』
『そうか、それはおかしいな』
『うん、おかしいね』
「え?」
『よく考えてみろ、今まで活発だったビーセクトがいきなりいなくなるか?』
『レーダーの範囲はそんなに狭くない、どっとかっていうと広いんだよ、それに映らないってことはこの状況はどう考えても異常だよ』
「この一瞬でそれだけ...すごい」
『え!?そんなことないよ~えへ、えへへ』
あれだけ動いて敵の気配ひとつないのは確かに異常だ、まるで...この世界が元々そうだったかのようだ。
『ニイナ、C地点まで下がろう、あそこは高台だ、レーダーで確認できない遠い場所をを確認しやすい』
『うん、私も賛成068は常にレーダーを見て』
『027!レーダーに反応あり、でかい!」
「いきなり!?」
『場所は』
『南方向、近いです』
『近い、だと?』
『来ます!』
『戦闘準備!!』
砂から円柱の大型ビーセクトを確認、あれは...!
「サンドピード!!」
『キッモ!!ミライくん武装交代しよ!!』
「え!?」
『ワガママ言うな!!覚悟決めろ!!』
『い〜や〜だ〜!!』
とか言いつつもニイナさんはしっかりと前衛に出てくれる、サンドピードは円柱のビーセクトで先端には口があり、無数の足を持ち、見た目が形容しがたいビーセクトナンバー1だ、正直あまり見たくない。
ヴィヒトさんとニイナは側面から切り刻み、僕と031さんはサンドピードの長いしっぽの攻撃を防ぎつつこちらの攻撃を当てていく、けど...
『かったぁぁぁい!!』
『しまった...対重装甲装備を持ってくればよかった、攻撃が効いてる気がしないな』
ふたりが使っている長刀の方が限界を迎えそうだ、何とかダメージを与えないと...いや、そうだ!!
「僕も前に出ます!!」
『なにか策があるのか?』
「はい!任せてください!!」
『分かった、どうしたらいい?』
「援護を!限界まで近づきます!!」
『だ、大丈夫なの?』
『あいつが任せてなんて言うんだ、だったら任せて見ようじゃねぇか』
ならその信頼に答えなきゃね、ライフルを2丁構え、同じ箇所を狙って撃ち続ける、そう、一点集中放火だ。
というかこれしかないだろう、動き回るサンドピードに的確に同じ箇所を撃ち続ける、サンドピードが反撃をしようとしてもヴィヒトさんとニイナさんの連携攻撃で制圧する、なんと言ってもこのふたりがすごい、反撃をさせないなんてどんな神業だ。
「僕もふたりみたいに...なりたい」
「ミライくんすごい...あんなに動き回るサンドピードに的確に同じところに当ててる...こんなこと私にもできない!...やっぱり無理やりにでも」
『ニイナ!!』
「敵が逃げてく?...なんで?レーダーは?」
『かなりの速度で逃げていきます』
そこまでダメージを与えた気がしないけど...いや、もしかして仲間を呼ぶために?そんな知性があるの?分からない、なんで?とにかく追撃を!
『ダメだ!!ニイナ!!』
なんだ、なんか変だ!敵は見える、あんな遠くに居るはずなのに...なのに...あれ、そういえばこいつ、どうやって出てきたんだっけ?
あいつは...砂から出て...!!そうか!!だからレーダーに!!じゃあ、まずい!!
「ダメだ!!ニイナ!!」
『え?』
『レーダーに反応!!027の下だ!!』
気がついた頃には遅すぎた、レーダーの反応は間違いなくニイナの下だった。
地面からサンドピードが飛び出てきた、大きな口がニイナのアルケミストを飲み込む、そして。
『嘘...
死にたくない』




