荒神さんと呼ばれしもの
私たちが祖父の家に来たのは、祖母のお葬式だった。母の黒い服の訳は、喪服。
私たちが見たお屋敷の話を母にすると、
祖父が一言放った。
あげえな怖い形相で死んどるのは初めて見たと。
ありゃあ鬼になった。
屋根の上を赤い火の玉がゴロゴロ転がって、夜な夜な悲鳴があがり、ある日もがき苦しみ死んだという。首をつって死んだそうだが、目を見開き口を大きくゆがめ、その舌は床にまでついていた。
けれども、その家の最悪はそれでは終わらなかった。
息子が今度悪魔にうなされることになる。
開けるなともうしたのに、なぜ開ける。
我の眠りを妨げるもの。
そして、それを財にしようとするとは
欲深き人よ、その罪は重いぞ。
男の父は価値があると思い硬い箱を必死でこじ開けた。最後の忠告だ開けるなと言うたのに、、、
夜な夜な枕元に現れる姿にうなされ、眠れぬ日を探す。そして、ちょうど49日が終わる頃、頭を擦り付けて、頼む父の罪は私の罪どうしたら赦されるのだと懇願した。
では、祠を建て箱を納めまつれ。
あの建物はそう言うわけで建てられたと言う。
荒神さんとそこはよばれていた。
荒ぶる神様の気を鎮めるために。