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今日の理  作者: TAO
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光る雲

 私の名前は楓

 これは私がまだ5歳ぐらいの時のこと。


 私がいうのもなんだが、母は色白でしっとりと滑らかな肌に均整の取れたスタイルをしており、身内びいきを差し引いても美人と呼ばれる部類に入ると思う。

 やや緑がかった黒い瞳にまっすぐ正面から見られると目を晒すことができない、そんな目力を持っていた。


 母の名は美里。

 

 私たちは祖母の家にいくために電車に揺られていた。ゴトンゴトンと電車に揺られながら、私は窓に向いて膝をついて外の景色を飽きもせず眺めていた。流れて行く景色。見渡す限りに広がる田園風景。植えられたばかりの田んぼは緑色に染まり風に吹かれて揺れている。遠くにカエルの大合唱を感じていた。


 空は青く、雲一つない。

 水平線はオレンジ色に染まり円を描いていた。


 母がきちんと前を向いて座りなさいと促す。


 楓!!!


 わかってるけど、外がみたいの。


 隣に座っているおばあさんが咳払いをした。


 母の声が頭の中に響く。


 「いい加減にしなさい。」


 ちらっと母の顔を見て聞こえないふりをした。


 ふと見ると、私の目の前には白い雲が電車と同じ速さで動いていた。一つ、二つ、ふわふわと飛んでいる。楕円の雲は丸く形を変えて煙のように消えて、それらは私の目の前で消えたり現れたりした。

 

 「お母さん、雲ってすごく近くにあるのね。」


後ろを向いて母を見上げると


怪訝な顔をした母の表情が変わった、


 「それは何?」


母が呟くと、乗客の目は一斉に車窓へと注がれた。


 それは徐々に静かなどよめきを派生し、あっという間に人だかりができてしまった。


 どどっと押し寄せる姿に驚きながら、母に手を引かれて座席から降りると、人垣をかきわけて電車の入り口に向かった。

 群がる人々の背中をみつめ、どうやら降りる駅が近づいて来たようで諦めて母に従い、普通に電車を後にした。

 

 その後SNSではひとしきり話題に登った


UFO騒ぎがあったの知ってる??


 電車の中で、すごく色の白い女性が外を見て指さすと遠くにオレンジ色のUFOが並行して飛んでいて、そこから白い小さなUFOがいくつも電車近くの窓に並んで飛んでたんだよ。


 証言を元に再現された映像のなかで、1人の男性が、それがUFOがぷつりと消えたかと思うと、その女性の姿も忽然と消えていました。彼女は宇宙人だったのでしょうか??


 これは母のこと??

 まさかね??


 楓。あのおおきなオレンジ色のUFOすごかったよね。見たでしょ?


 水平線に光るオレンジ


 さあ、私の記憶は定かでないけれど、、

 確かに電車と並んで白くひかるものは見た。


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