無機物偏愛
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
耽美奇譚です。
異常行動に重きを置きました。
博物館という場所が好きだった。何時から、と聞かれると戸惑ってしまったが、ある時一目惚れする様に好きになっていた。それまでは一切の興味など持たなかった癖に、本当に突然。
剥製も嫌いじゃない。臓物を晒された模型も嫌いじゃない。けれども一番心を擽ったのは、化石だった。余計な物を容赦なく剥がされ、骨格だけを浮き彫りにされたらものが好きだった。
何時ものように恐竜の化石のエリアにいた。私よりも遥かに大きいそれ。滑らかで、しなやかで、これが幾重にも体躯を支えていたのかと思うとゾクゾクした。見上げながら、何分も、何十分も延々と周りを廻り、心に興奮を灯していた。
そうしてこうも思っているのだ。口に入れたいと。何の味もしなくて良い、ただ舌で転がして、唾液塗れにしたいと。数多の月日を得たものをこの身に取り込みたいと。本能が絶叫していた。
だから、その発作を抑える為に土産物屋へ行き、あるものを探す。探していたのは飴。恐竜の頭蓋を模した飴。それを両手に溢れる程に持ち、会計を済ませた。それから逸る気持ちをそのままに、ラッピングの上から舐め回した。
「はっ……はぅ」
勿論、何の味もしない。それでも化石が口の中に収まっている事に堪らない安心感を覚えた。漸く自分のものになったのだと、無理矢理納得をさせて、口の中から引き剥がす。歯でラッピングをひっぺがし、今度は中身にしゃぶり付く。当たり前だが甘かった。蜜の、味がした。
「で、今ではそれが飽き足らず、購入した化石の断片を永遠に口に入れているってか」
「その通り」
俺は化石偏愛の女の部屋に訪れていた。飾られているのはアンモナイトや琥珀が飾られている部屋。どうにも人体模型も此奴のお眼鏡に適う様で、展示品の様に横並びに飾られている。最近さらに増えた気がするのは気の所為だろうか?
肉が着いた物が嫌いなのだ。圧倒的な無機物が、この女は好きなのだ。それはきっと彼奴が博物館に惚れ込んだ時から、傾いてきた偏愛。時を重ねる程に異常性を増した狂気。
「でも、今日は特別さ」
女は舌を出して、白い欠片を晒して見せた。指先で摘むように口から離すと、唾液が糸を引く。女の体液で穢れたそれを眼前に晒す。
「これはね、最近作った骨格標本の一部から取ったものさ。場所は小指。生前、頭が良くて、結構気に入っていた相手だからね、口に入れて可愛がっているのさ」
女は猟奇的に笑って、目を見開いた。なるほど。最近増えたと思っていたら、そういう事か。生身に興味が失せたと思ったら遂にその領域まで。
「俺が死んだら、お前のコレクションに加わるのだろうか」
「勿論。君は頭の良い、私の気に入りだからね。口腔で沢山可愛がってあげよう」
耽美奇譚なので、頭おかしい独り言。
T・レックスの頭蓋骨を模した飴ちゃんを売り出せば売れるのではないかと。
棒付き飴ちゃん。
※隅々まで舐め回したいだけです。
※この子の様に目を見開いて、ぴちゃぴちゃしたいだけです。
気に入った物を見ると、
口腔に入れたくなるのは何故なのか。
唾液まみれにしたくなるのは何故なのか。
でも余り口腔を晒す文化では無いので、下品とされる文化なので、一種の独占欲だと思います。
あと余すことなく取り込みたいという欲望。
髪フェチだと思ってましたけど、実はそれに気が付く前から目と口フェチな気がしてなりません。