美しい令嬢の心の内側はポーカーフェイスで隠します 【短編】
がんばるヒロインが好きです。
連載版書きました。
連載版は1話から話を足してますので、良ければそちらもお読みください。
(o*。_。)o
今日も素敵だわ。
私はほうっと溜息をつき、窓からランハート様を眺めた。
(暗闇では漆黒に見え、太陽の下では紺色に見える一度で二度美味しい美しい髪。瞳も落ち着いた暗い紺色で聡明さを隠せない。顔立ちは穏やかで周りに安寧をもたらす・・・。ああ、こんな完璧な人がいるのかしら。いやいない)
私は窓からゆっくりと離れ、椅子に座りノートを開いた。
(神々しくも美しいランハート様はどんな言葉でも表現する事は出来ないわ。顔立ちの美しさだけでなく、内面の知性も溢れ出ているもの。それでもこの私の気持ちを出しておかないと、溢れるシャラワイ火山の様に、流れ落ちるワンガーの滝の様に、聳え立つココロポポの山脈の様に、私の気持ちは噴火し、濁流になり、雪崩を起こしてしまう事でしょう)
ふぅっともう一度溜息をつくと、ゆっくりとノートに想いをぶつけた。
頬を押え、考える。
(どれ程の言葉ならばランハート様に似合うのかしら?)
思案していると、窓の外から声が聞こえた。
「今度お茶会に行くって聞いたけど、実際は顔合わせなんだろ?婚約か?」
「いや。母親達がそう言ってるだけでね。相手の令嬢は気乗りではない御様子だ」
(ランハート様の声だわ・・・。婚約ですって?)
「そうなのか?お前はどうだ。相手のご令嬢は可愛いんだろ?」
「どうかな。俺は地味だしね。俺は、優しく穏やかに一緒に過ごせるような子がいいかな」
「なんだよ。こう、ないのか。タイプとか」
(ランハート様のタイプ!!)
「モーガン嬢やクレメント嬢なんか可愛いよな。お前はどうだ」
「んー。そうだなあ、優しい人かなあ」
「なんだよそれ。フェレメレン嬢なんて綺麗だなあ」
(え、私?ランハート様!!私はどう!!??いつでもその胸に飛び込めますわ!)
「綺麗だけど高値の花だよ。綺麗で近寄りがたいな」
「ま、俺らにはそうだな。お、もうすぐ予鈴か。行くか」
二人は校舎の方に行った。
(近寄りがたい・・・。え・・・。私、無しってこと?・・・。ああ。そんな。天使より尊いランハート様には釣り合う事等不可能だわ・・・)
私はブロンドの髪をかき上げ、涙で潤む紫水晶の瞳に決意をにじませる。
(負けませんわ。無理でもなんでも、この想いをお伝えしてみせますわ!婚約なんてさせませんわ!!)
その為にもランハート様に送る素晴らしい文章を考えなくては。
私はゆっくりと頭を傾けながらノートに想いを綴っていく。
この作品を見つけて読んでくれてありがとうございます。m(__)m☆☆☆彡
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