#6
「ねえ、セレス」
「なんでしょうか? おかあさま」
「セレスは楽しく学校に通っているの?」
「はい。まいにちたのしくかよわせていただいているわ」
学園に通い始めてからは毎日が新しいことがいっぱいと思っているが、さすがに二度目だと新鮮さより懐かしさが勝ってしまう。
わたくしが通っている学園は大学までエスカレーター式のため、ほとんどの学生が同じ時間を過ごしていると思っていただけると――。
「授業についていけているかしら?」
「はい」
「お友達に嫌なことはしていない?」
「はい。していませんわ」
「なら安心ね。授業についていけなかったら、家庭教師をつけるかどうか心配していたのよ。これからもお友達は大切に学園生活を送りなさい。いいわね?」
「わかりました」
お母様はそんなことを心配していたのかと思うとなんだか複雑な気がする。
今のわたくしは勉学に関しては二度目ということで今までの復習だから内容さえ思い出すことができればある程度はついていけるし、学校での人間関係はクラスメイトから仲良くしておこうとしているが、これからどうなるかはわたくしの行動次第だ。
一応は初等科の六年間だけでも穏やかに過ごしていきたいというのは本心ではあるが――。
「おかあさま。いまからもうすこしおべんきょうをしてきます」
「あら、偉いわね。ほどほどにしなさいね」
「はい」
お母様との会話を終え、わたくしは自室に戻った。
彼女にもう少し勉強してくるというのは嘘。
わたくしは今後の自分のことを考えるために戻ってきたのだ。
勉強をしていないことがバレないようにノートとテキストを開き、小さなメモ帳も取り出す。
「さて、これからはなにをしようかしら」
わたくしは初等科に入学したばかりなのに、何が起こるか分からない未来のことに目を向けようとしていた。
なぜならば、バーネット家ではわたくしが二度目の人生を送っている状態なのは全く知られていないのだから。
今のところはできるだけお母様と学園の関係者には危害を与えたくない。
それが今のわたくしの本音だ。
まぁ、ゆくゆくは危害を受けていただくことになるでしょうけどね。
2025/10/28 本投稿




