#5
早いものであれから時があっという間に経過し、わたくしは学生のほとんどが令嬢や令息が通う有名な学園の初等科に入学した。
前世では屋敷内で進学の度に盛大にお祝いしてくれたが、お父様やメイド、執事といった使用人との溝がさらに深まっていることもあり、静かな学園入学となっている。
入学セレモニーには普段から仲のよいお母様と渋々ついてきたお父様、わたくしたちの護衛として三人来てくださった。
「セレス、初等科入学おめでとう!」
「おかあさま、ありがとうございます!」
「ほら、あなたも!」
「お、おめでとう」
「折角ですし、校門でお写真を撮りましょう? ねっ!」
「……あ、あぁ……」
お母様はカメラを片手に前世と同様に声を弾ませるが、お父様はあまり乗り気ではない。
もちろんわたくしも……。
「セレスも! 晴れの入学セレモニーなのだから嬉しそうにしなきゃ!」
「お、おかあさま。はしゃぎすぎですわ」
「カレン……セレスの言う通りだ」
「あら、そうかしら?」
一旦は落ち着きを取り戻すわたくしたち。
普段はかなりの距離を取っているお父様が近づいてきた。
「セレス」
「はい」
「いくつか言っておきたいことがある」
「なんでしょうか?」
「これからは絶対にバーネット家の恥をかくような行動や言動をしないこと。分かっているな?」
「それくらいわかっていますわ」
はい、出ました!
「バーネット家の恥をかくことはするな」という言葉はこれまでの人生でずっと言われてきた決まり文句みたいなものが!
その台詞が一番苛立ちを覚えるのだ。
しかし、これは同じ台詞が耳に入ってきたので、どの新入生の家庭でも言われているらしいので、仕方ないことなのか……。
「分かっていればいい。あとはしっかり学び、学園生活を楽しめ。いいな?」
「はい」
お父様はもう話すことがなくなったのか自らわたくしから距離を取った。
その間にお母様は他の同級生の父母と会話し、愛想を振り撒いている。
わたくしは前世と同じように歩むわけにはいかない。
これからは別の道順で歩むのだから――。
2025/09/30 本投稿




