#11
今朝だけで恥ずかしい思いを二度もさせられたのだから三度目はなくってよ!
「まったく! あさから、はずかしいおもいをしましたわ!」
「セレスちゃん、ごめんね……」
「もうすぎてしまったことですから、しかたがありませんわ」
「ほんとうに、ごめんなさい」
前世のわたくしはアリスやルイスに対して嫉妬心はなかったはずなのに……
今のわたくしは彼らに対する嫉妬心は確実にある。
授業開始を告げるチャイムが鳴り響き、自席に着く――
「では、授業を始めるぞ!」
「「はい!」」
先生が入ってきたら、元気に返事をする。
一見変わっているが、それがわたくしが通っている学園の初等科の低学年クラスのルール。
「では、昨日の宿題として出したみんなのお父様かお母様のどちらかに子供の頃はどんな子だったか聞いてきたかな?」
先生が問いかけた。
「はい!」
「きいてきました!」
「おとうさまも、おかあさまも、どちらも、おしえてくれました!」
「おおっ!? そうか、偉いな!」
わたくしたちは手を上げてその問いかけに答えた。
クラスメイトの中には両方教えてくれた人もちらほらいる。
おそらくどちらかに聞いている時に面白そう! と思い、便乗して教えてくれたのかしら?
わたくしはお母様しか聞いてきていないので、必然的に彼女のことを書いていくしかない。
「では、今日は聞いてきてもらったことを元に作文を書いていく。次回の授業までに、もし書き終わらなかったら宿題にするからな」
先生が用紙を人数を確認しながら、一番前の席から後ろへ回していく。
「「えーっ!」」
「ぼく、さくぶん、にがてだから、がんばらなくちゃ……」
「わたしも……」
わたくしたちは用紙を受け取った者から作文を書き始めた。
えっと……書き出しは……どうしましょう……
出だしは重要だから初等科らしく、『わたくしのおかあさまは――』から書き始めた方がいいのかもしれない。
クラスメイトのみなさまはどのような書き出しで書いているのかしら……
少し気になりますわね……
でも、わたくしが周囲を見回していますと変に思われたりするのは嫌だけど、宿題になるのはもっと嫌ですわ!
まずは何か書き始めなくては!
◆◇◆
ペンが動いている音だけしか聞こえてこない教室――
わたくしはなるべく初等科らしい作文を書くことにした。
その方が違和感がなくていいのかなと思いまして。
作文を書いていくうちにわたくしの文章がまるで論文みたいな書き方になってしまったら、みなさまはどう思われるのかしら?
「なんか、おかしなぶんしょうになってきましたわね……」
わたくしはある程度書き進めた作文を見て静かに呟いた。
しかし、幸いにもクラスメイトや先生には聞かれなかった。
2026/02/16 本投稿




