表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

#9

 わたくしは自宅の部屋で宿題をやっていた。

 今日の宿題は両親のどちらかから子供の頃はどのような子供だったのかを聞いてくることと、算数ドリル。

 算数ドリルは今のわたくしからすると簡単すぎてしまって、すぐに終わってしまった。


 さて、ここからが問題。

 両親のどちらかに子供の頃の話を聞く宿題が残ってしまった。

 何故(なぜ)かというと、それを元にして作文を書き、先生やクラスメイトの前で発表することになっているから。

 お父様だったらすぐに「他をあたれ」と言われるのは目に見えているので、お母様に話を聞くことにした。


「おかあさま」

「セレス、どうしたの?」

「おかあさまは、こどものころ、どのようなこだったのですか?」

「あら、宿題?」

「はい。おとうさまか、おかあさまのこどものころのはなしをきいてきて、さくぶんをかいて、せんせいやクラスのみなさまのまえで、はっぴょうするのです」

「へぇー……面白い宿題ね。私が小さい頃は――」


 お母様が子供の頃のことを話し始め、わたくしはその話を聞きながらしっかりとメモを取る。

 しかし、幼いこともあり、あまりにも下手くそな字だ。

 今のわたくしはまだ初等科一年生なのだから下手くそな字でも仕方がないのは分かっている。

 これから少しずつ丁寧(ていねい)に書けるよう、精進しなければなりませんわ。


「――おかあさま、たのしいおはなし、ありがとうございました!」

「いいのよ、セレス。大切な学校の宿題だもの。またいつでも協力するからね!」

「ありがとうございます! おかあさま、だいすき!」

「あらあら。セレスったら……」


 わたくしはお母様は抱きついた。

 彼女はわたくしの頭をそっと撫でる。

 お母様はいつもわたくしのことを守ってくださり、大切にしてくれているから――


 それに対してお父様や使用人は全く話しかけてこないし、(たと)え、わたくしから話しかけたとしても素っ気ない対応をされる。

 まるで、わたくしのことを避けているかのように――

 まあ、彼らの場合はわたくしから距離を取っていることが原因で近づけなくなっているのだろうと思われる。


 しかし、実はわたくしにとってはそれで十分だった。


 周囲の人間からはまだ早いと思われたり、言われたりするかもしれないけれど、もうそろそろお母様からの愛情も捨てようかしら。


 わたくしは彼女に抱きついてしばらくしてからお母様に見えないよう、ニタリと口角を上げた。


 今のわたくしにとって下衆な人間は誰もいりませんわ。

2026/01/20 本投稿

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ