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「あなたはここから出ていきなさい!」
「この紛い物が!」
「お前の居場所はない」
「さっさと消えればいいのに……」
「処刑だ! 至急追放せよ!」
そのような声がわたくしの耳に入ってくる。
わたくしは本来ならば公爵令嬢になり、婚約者もいて、順風満帆な人生を送るはずだった。
しかし、今のわたくしはご覧の通り囚われの身――。
わたくしもこんな生活から脱却しなければならないといつしかそう思うようになったけれど、どうしたら良いのか分からない。
「追放されるのは嫌……」
追放されるのはわたくしの性格故の問題。
わたくしはこれまでの人生で両親や家庭教師といった大人の言うことをしっかり聞き、人生のレールから踏み外さぬようにしてきた。
周囲は公爵令嬢としての上品さや優しさに満ちた者だと称されてきたといっても過言ではない。
友人に相談できなかった日々――。
時には冷徹さも要する場面でも優しさが勝っていたわたくしの人生。
「……強く生きたい……」
そして、その言葉を最期にわたくしは多くの民衆を前にギロチンで公開処刑された。
2022/08/21 本投稿・後書き欄追加