レイ
妙子は熊人族の レイ姫 として生を受けた
熊人族は素早さは無いが非常に力が強く、身体もかなり頑丈な種族だ
この世界では希望通り、丈夫な身体で生まれたのだ
この世界の両親の記憶は余り無い
私が生まれて間も無く、集落は戦争に巻き込まれて無くなったそうだ
この話は私を連れて逃げた、狐人族の乳母にそう聞かされた
乳母と私はその後も各地を転々とする生活が続いた
私達は追われているのか、街で生活をした事が無く
基本はずっと野宿や洞穴の様な場所…誰とも接しない生活だった
人や獣人に襲われて逃げ出す事もあったが、それでも私は生きてる事を実感出来た
成長するにつれ、身体も大きくなり戦える様になっていった
獣人は個体によって強さが大きく変わる事もあったけど
人族は殆どがひ弱で脆弱な相手だった、、私は本能のまま蹂躙し尽くした
ある国で百人程の集団に襲われて、死を考えてからは余り殺さなくなった
戦いが避けられるなら、避ける様にしていた
流れてそれでも流れて…病気で乳母も亡くなり、私がこの地に一人で来たのは二年前だ
もう十三歳になっていた
私はこの世界でも、殆ど孤独だった
何故…私はこんな人生を送る事になったのか
そんな事ばかり考えて過ごしていた
そんなある日、私の結界を踏み越えて来る者達がいた
足跡を…私を追っている様だ
私の結界内では私の存在は気付かれない
これまでの経験から、相手を良く観察してから対処することにしていた
その者達は私を追っては来ていたが、討伐目的では無さそうだった
本気で気付かれる前に、大きく距離を取り寝ぐらへ帰った
夜は私の時間だ
食料も確保しておきたいし、いつも通りに洞穴を出た
昼に見かけた者達が、置いて行ったと思われる食料を見つけた
罠か… 待ち伏せや毒を疑ったが、、、普通に食料だった
全て洞穴へ持ち帰り、念入りに鑑定したが、、、食料だった
試しに食べてみる…
『美味しい! そして何だろう?…この、懐かしさは…』
かなり美味しい料理ではあったが、それ以上に懐かしさが込み上げる
獣人族は余り料理が得意ではなく、育ててくれた乳母も例外では無かった
逃亡生活だったとは言え、大半は生食が多かった
一人になってから私は私なりに料理をしていたつもりだったが、、、
『これは根本的に何かが違う? 気がする…』
その夜は、思わずガツガツと全てを平らげてしまった…
また、翌日も食料は置かれていた 違う料理だ
やはり美味しかった! そして懐かしい感じがする…
この料理を作っている者に興味が湧いた
自分が思っている通りなら…この者は、きっと…
今夜も料理をしている…既に食欲をそそる匂いだった
少し警戒を解いて、近づいて行くと声を掛けられた
相手も私と会うのを望んでいた様だ
視界には二人、綺麗な二人 あれ、男の子??と女の人…?
女性の方はかなり警戒していて私を見ている
男の子? は、、、この人だ、きっと…私が求めてる人
離れた場所からだったが、持っている雰囲気は分かった
( 友達、、なれるかな、、、)
十数年もそんな存在はいなかった
もう一人で生きて行くのは嫌だった、せめて友達ぐらいは欲しかった
そう思って、今夜は二人の声が届く距離まで近づいた
ーーー ………
境界線かぁ、、、安全は確保したいし良い案だと思う
まぁ、結界で見えないから攻撃はされないとは思うけど…
今後もそうとは限らないから、境界線は良いなぁ
あの男の子が境界線を引くみたいだけど、、出来るのかな?
結界はこちらが探知されないのは良いけど、相手も察知しずらいのが欠点
『男の子は、凄く綺麗な目をしてた…うん可愛い、凄く可愛い』
思い出して微笑んだ、王子様っぽい感じだもんね
優しそうな瞳、、それでいて話す時は意志の強さも感じさせた
どんな子なのかな、言葉を話したら嫌われるかな…
それとも恐れられるかな…攻撃、、される、かな…
『次に会う時は、話せたら、、話しかけてみよう』
なんとなく期待していた、きっと拒絶はされないだろう…
あわよくば、知り合いぐらいにはなれるかも知れない
友達、、だったら楽しそうだなぁ
一緒にいた女性は、男の子をもの凄く慕っている目で見つめていた
ご主人様と呼んでいたから、従者か奴隷のはずだと思う?
それなのに、あんな目で見つめるなんて、、信頼してるんだろうなぁ
身近な年上の女性から信頼されるなんて、どんな男の子何だろう??
やっぱり、気になるよね
料理も美味しくて気になったが、今はもう男の子の方に興味深々だった
私もいつかは誰かと信頼したり、されたり出来るのかな
あの子とそうなれると良いなぁ、きっと大事にしてくれそう
何か、きっかけさえ有ればなぁ…
約束の日になった 朝から夜が待ち遠しかった
食料は置いて行ってくれたので、お腹が空いてる訳じゃない
……美味しいから、出されたら絶対食べるけど
どう考えても、このまま会えなくなるのは寂しかった
話の流れで、なんとか今後も会える様に言ってみよう
そう、さりげなく…さりげなく言ってみよう
そう思って、夜までの時間は境界線の確認をして回った




