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長谷川妙子


【長谷川妙子】


小学生の時は普通の子供だった、運動もどちらかと言えば得意な方だった

中学生になったある日、授業中に突然校庭で倒れそのまま入院となった

以来、ずっと入院したままだった

検査に次ぐ検査が行われたが、病状はハッキリとしない

それでも少しずつ、体力も気力も奪われて…殆ど寝たきりとなった

医者が両親には特殊な難病だと説明していたが、原因はわかっていない


そんな状態での闘病生活が、結果的に三年ほども続いた

最初は見舞いに来てくれた友達も、日を追うごとに減っていき

一年もたった頃には、誰も見舞いに来なくなった


私の態度にも問題があったのかも知れないけど…ね

先の見えない闘病生活は、かなり辛いのが本音だったから

両親や友達にも愚痴を言ったり、当たってしまったのかも知れない

やがて病室は定期的に来る看護師と医者、たまに来る両親だけになってしまった


そんな生活が一年も続く


誰でも良かった 誰かと話したかった

叫びたくて声を出そうにも、もう声も出なくなっていたけど…

暗い病室で眠る時、明日はもう目覚め無いかもしれない

毎晩そんな思いを抱えて、眠くなるギリギリまで起きて…意識を失う

そんな生活だった


最後の一年程は激しい痛みや発作のせいで、強力な鎮痛剤を打たれて

私は余り意識が無かった、昏睡と覚醒を繰り返す毎日


ある時、目覚めたら裸にされていた

中年の男性が私の身体を舐め回していた…

声も出ない、身体も動かない…恐怖で意識は固まったが、目は開かない

相手は私に気づいていない、、、そして鎮痛剤を打たれて意識を失う


また、別の日は若い男性が私の身体を撫でていた

見知らぬ人だ、寒気と吐き気で狂いそうになる…

それでも声は出せない、身体も動かない…また意識を失う…


ある時は別のお爺さんが…そしてある時は…


こんな毎日が、多分一年ほどは続いたと思う


そんなある日 とうとう私は目覚め無かった


自分が病室に横たわる姿を、自分で見下ろしていた

そこにいた少女は、本来の年齢よりもかなり老けて見えた

青白い顔、やせ細った身体、、、艶の無い髪…

自分の記憶にある、自分の姿とはかけ離れていた



両親は静かに泣いていたが、その顔は穏やかに見えた

看護師や医者も私を見下ろす様に囲んでいる


(薬の量が多すぎたのか…イヤ、僕のせいじゃない)

(また新薬を試す予定だったのに…これでは誰を被験者に、、)

(あぁぁ、今後は誰で発散すれば良いんだ、今日は俺の日だったのに)

(学会での発表にはデータが足りない、教授は怒り狂うな…)


(長かった…三年は長った、妙子 もう限界だった お前もそうだったろう?)

(これで良かったんだ、これ以上はもう生活が無理だったの、、ごめんね妙子)


様々な人の感情が、私の頭に流れ込んで来る…

もう誰も要らない、もう信じ無い、信じられない…



自分は何のために生まれて来たんだろう…



生きてたら、何がしたかったのだろう…

もう、何も分からない


妙子は光に導かれるまま、その場から逃げる様に光を目指した



ーーー

ーー


光に導かれた先は、転生の間と呼ばれる部屋だった


女神と名乗る者から、次の希望を尋ねられた


『次に生まれ変われるなら、丈夫な身体で生まれたい

 人と接するのは…苦手だから、動物でも良いです

 そして動物と会話でも出来たら、もうそれで十分です…』


妙子の目からは涙が溢れていた

女神はそんな妙子を見て、ゆっくり頷いた


そして妙子はこの世界へと転生した



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