ワカマツ商会
翌日も41階で朝練を終えてから、ギルドへ寄り換金を行う
ナオミさんは昨日話した紹介状を、用意してくれていた
ワカマツは大通りより少し外れた場所に大きな店を構えていた
人の出入りは多く、皆が忙しそうにしていた
お店の受付で経緯を説明して、紹介状を渡した
そのまま案内されて別の部屋へ通された
『活気があるなぁ、お店は手広くやってそうかな
これだと目的の調味料も、手に入るかも知れないな』
『えぇ、人種も色々といましたね、交易範囲も広そうです』
扉がノックされ、二人が入ってきた
『初めまして、私がワカマツ商会代表のゼンゾウ・ワカマツです
こっちは娘のエリカです、娘からの紹介状では何やらお探しとか?』
『エリカ・ワカマツです、ナオミは姉になります』
『僕はニーノです、こっちはミトと言います よろしくおねがいします
ええ、有る商品を探しています
調味料…と言う言葉に聞き覚えは有りませんか?』
『調味料…? はて、それは一体どういった物でしょうか?』
僕は調味料について説明をした
塩も調味料に含まれるが、味噌や醤油、お酢やソース…香辛料やハーブ
食事に使う物で、味や香りを足す物だと伝えた
この国以外にも取引があるので有れば、珍しい食材等も購入したい事も付け加えた
『なるほど、確かにこの国では塩が主になりますね
ただ、一部の地方では独自の味付けの物もありました
地域によって好みは分かれるので、これまでは仕入れていませんでしたが…』
『それら独自の味付けや香りのする食材などを手に入れられないかと…』
『ん…分かりました!これは商売の匂いもしますね
今うちにある物も、持って来させます 一度見ていただければ、と』
そう言って、エリカに色々と何かを伝えると、エリカは一旦退席した
その後も地方独自の調味料や穀物、野菜、海産物、肉類などの話をしていた
ワカマツさんも食には興味があった様で、色々と話が出来た
『こちらが、今 うちに有る調味料?や珍しい食材と思われる物ですが…』
そう言ってエリカさんは、幾つかの物をテーブルに運ばせていた
僕は一つ一つ確認をしていく…
『特にコレとコレ…コレも素晴らしいですね、是非手に入れたいです!』
『おぉ!それらは私が個人的に興味があって仕入れた物ですね
色々と試しましたが、どうにも使える者がいなくて…
その3つの入手先はそれぞれ、バラバラの地方になります』
それはトマト、シイタケ、鰹節、、みたいな物だった
『これらは、料理に加える事で、塩に出せない味が出せる様になったりします
単体で使う事も出来ますが、色々な物と合わせる事でより、真価を発揮しますね』
『おぉぉ! と言うことはこれらの事を知っているんですね?
どれも小さな村などでしか作っていなかった物なんですが…
使い方も知っているので有れば、お譲りしたいと思います
その代わりと言ってはなんですが…』
『えぇ、料理を作った時は良ければお持ちしますよ
それか、食堂でも有れば…試しに…』
『是非、是非!! 此処には厨房も食材も有ります
お金はお支払いします! 是非お願いします!』
物凄く前のめりに両手を掴まれ、、試作して後日に…とは言え無かった
確かにここなら色々と食材は有りそうだし、僕も食べてみたい
『料理人の方もいるなら、相談して少し試作してみますね
使い方も説明出来ると思います』
『それで有れば、私が一番の適任ですね…』
そう言って微笑んだのは、比較的ずっと大人しかった エリカだった
見た目は綺麗なお嬢様と言った感じで、料理などし無さそうに見えたからだ
『エリカは少し変わった娘でして…一度見たり聞いたりした事は忘れません
ただ、自分に興味のある事だけしか、やりたがらないんですよ
うちで仕入れてる商品などは、全て記憶してると思いますので
お役には立てるかと思います』
『調理で有れば、僕もミトも出来ますので、エリカさんにお願いします』
社員食堂?も兼ねているのか結構大きな厨房だったが、既に大勢が料理していたので
その隣にあるテストキッチンみたいな場所を借りた
僕は料理を始める前に、エリカさんに食材の使い方などをざっと説明した
『まず、コレは…』
そう言って鰹節を手に取り、透ける程に薄く魔法で削っていった
その間にお湯を沸かし、沸騰したら止める様にミトに指示していた
ある程度、削り終えたところで、一口食べてみる…やはり鰹節だ!!
一掴みを鍋に加えて、暫くは放置だ
待ってる間にトマトを大きめに刻み、鍋に入れ、火を加えていた
どうやらトマトは果物みたいな扱いで、生でしか食べられていないみたいだ
試しに一口食べてみたが、少し酸味が強く余り生食向きでは無い
育て方や他の食材との合わせ方にもよるだろうが…このままでは厳しいだろう
出汁が取れた様なので、布で越して液体のみにした
トマトはそのままある程度煮詰めて、トマトソースにする
厨房で見かけた料理を幾つか持って来てもらい、試しに幾つか合わせてみる
『うん、コレは美味しい…
かなり簡易的ではありますが、この食材の一旦は分かると思います
今回はかなり急いだので、普段の料理に足したぐらいしか使用していません
使った塩も、極わずかになります』
そう言って、トマトや肉を合わせた物や、トマトと魚を合わせた物、、
肉や野菜と鰹節を合わせた物などを幾つかの皿に盛った
テストキッチンを出ると、大勢の料理人に混じって、ワカマツさんも待っていた
『今はコレ…トマトと、コレ…鰹節を使ってみました
分かりやすい様に、少量の塩のみで味付けしています、お試し下さい』
そう言ってテーブルの上に皿を幾つか乗せた
エリカさんとワカマツさんが、口に運ぶと…驚く様な表情に変わった
それを見た料理人達が次々と皿の料理を味見して行く
みるみるウチに皿の上は綺麗になった
『こんな使い方や、こんな味になるとは?!』
『生で食べる物では無かったのか…?? イヤ組合わせ方にも何か…』
『本当に塩だけなのか?? しかも少量のみだと…信じられない』
皆が感想を口にしている中で、二人の反応は其々だった
『この料理は素晴らしい、これからも色々と調味料や食材は
個人的に積極的に仕入れてみる、入手出来たら料理をお願いしたい!!』
『父上、今後は私が専属の担当になります、この作り方や味は記憶しました
今日の料理はありふれた素材を主に使った、従業員用の料理でした
もし普段からこの料理が食べられるなら…商会の青果部門は大きく変わります
私も、もっと美味しい料理を食べたいですね』
そう言って、ワカマツさん親子にキラキラした目で見つめられた
特にエリカさんには、手を握られ…ミトが少し殺気を放っていた…
僕は他にも気になった食材を幾つか伝え、家に運んで貰う事にした
今後も調味料や珍しい食材などは、購入する事を伝えたが、、、
ワカマツさん親子は支払いは良いので、その都度の試作をお願いされた
僕も色々と食材や調味料は試したいから、その依頼は引き受けた
また、時間がある時に倉庫を一緒に見て欲しいと依頼されたので、後日とした
最後にワカマツさんが、機会が有れば一緒に世界を回りましょうと
言ってくれたので、僕は是非お願いしますと言って、商会を後にした
今日は帰ってから、トマトやシイタケなど…
新たに手に入れた各地の食材も試したいので、急いで帰った
トマトやシイタケなどは乾燥させたりもしたいからね
僕とミトは帰ってから、あれこれ試作して味見しながら
久しぶりに、ミトと料理を楽しんだ




