プロローグ2
文章の関係で短めになりますorz
綺麗な女性が声を上げていた
僕は部屋の天井辺りからその姿を見下ろしていた
助産婦、年老いたシスター、メイド達…
数人に囲まれて何か声を掛けている様だ、そのお腹は大きい
(あぁ、僕はこの人の子供になるのか…)
そう思った刹那、僕の意識は淡い七色の光に吸い込まれていた…
部屋に赤ん坊の泣き声が一際大きく響いた
先程の張りつめた空気は一変し、皆が安堵して笑顔になっていた
『サーシャ良く頑張った! 元気な良い泣き声だ』
勢いよく扉を開けた男性はとてもとても嬉しそうだった
子供が無事に産まれた事は嬉しい、本当に嬉しいのだが…
サーシャに笑顔を向けたまま、本当に聞きたい事を助産婦に尋ねた
『 … 男か? 女か? 』 一同が沈黙し、しばしその答えを待つ
『旦那様! 男の子でございます!!!』
『待望の…待望の俺の息子が生まれたか…ありがとうサーシャ』
30才に満たない年若い貴族は、ベッドの傍で膝を折り、妻サーシャの手を握った
その姿は誰が見ても幸せそのものだった
『シスター…才能は… この子に武の才能はあるのだろうか?』
生まれたばかりの赤ん坊に手をかざしているシスターを見つめる
我が領地は敵国にも隣接している、武が最も問われる才能だ
槍でも剣でも、魔法でも良い 領地に見合った才能を持って産まれて来て欲しい
『えぇ…才能は有ります 有りますが…』
シスターは先程から赤ん坊に何度も手をかざして確認しているが
その都度、深い溜め息と疑念の声が漏れていた
『シスター、すまない…武の才能なんて無くても良い
こうして無事に産まれて来た、俺の大事な息子だ
その事実に何も変わりは無いのだから…』
そう言って、妻と赤ん坊…息子を優しい目で見つめていた
『私も辺境伯に何とお伝えして良いのか…
この年齢ですので数多の方の才能を拝見して参りました
ですが、この様な才能は見るのも聞くのも初めてございます』
シスターは更に何度も確認して、その才能しか見えない事実に
非常に困惑して俯いていた
『国一番と言われる貴方が、それ程までに戸惑われている才能とは
息子の才能とは…一体、何なのでしょう? お聞かせ下さいシスター』
年老いたシスターは、ひとしきり思い詰めた顔をしていたが
やがて決心した様に、年齢に見合わぬ鋭い眼光でこう言った
『若君の才能は … 【女】 で、ございます!』
その声は部屋どころか、屋敷中に響いていた