落とし穴
僕達は、戦況を確認しながら騎士団長の元を目指している
今のところ戦闘が行われているチームは無かった
まぁ、流石に全てを殲滅出来てはいないと思うけどね
まだ土煙が収まりきらないので、突然の戦闘には注意が必要だ…
騎士団長の一行に近づくにつれ、兵士の数は多くなった
大勢の兵士達からは、それぞれに賞賛の声を掛けて貰った
『母様、騎士団長、指示を仰ぎに来ました
土煙が完全に収まって、状況を確認した後、再度殲滅で如何でしょうか?』
『ニーノ、、、あの魔法は何なのですか??
私はこんな規模の広域魔法は見た事も聞いた事もありません
しかも魔法師団が数十名で行っても、これ程の威力になるかどうか…』
『本当にニーノ様お一人で、この魔法を発動されたのでしょうか?』
『あ、はい、かなり久しぶりに使ったので、少し威力を調整しないとですね
ここまでの規模になるとは、僕も思っていませんでした』
『 …… 』
『ニーノのその様子だと、魔力はまだ枯渇して無さそうですね…
触媒でも大量に使ったのかしら? でもそんな様子は無かったけど…』
『触媒とかは有りませんよ、流石にこの規模の連発は出来ません
お昼ぐらいなら、回復してると思いますから、可能です』
母様や、子爵、騎士団長以下、全員が言葉を失った
『貴方は一度テントへ戻って休憩しなさい、待機はしておいてね
私達は現状の確認を行ってから、一度テントへ戻る事にします
騎士団長、それで構いませんね?』
『はっ! ここまで広範囲で有れば、現状確認が最優先かと
残った魔獣を殲滅しながらでも、可能だと思います』
僕達は兵士に見送られ、前線基地のテントへと引き返す事にした
流石に魔力が半分以下なので、休憩は助かるなぁ
少し眠れたら、眠っておこう、その方が回復が早い
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【???】
ニーノの放つ魔法をかなり離れた所から、じっと見ていた
生贄となるからには、膨大な魔力を有していると思っていたが…
想像以上の魔力量に、頭を悩ませていた
自分が想像していたよりも、かなり早く完全復活に近づけそうだったからだ
やはり消すには余りにも惜しい…か
配下の者へ誘拐を指示していたが
配下程度だと手に負えず…授けたアイテムを使って消す事になるだろう…
『かなり危険だが、私も出るか…、なら早い方が良いな』
自分の影を見つめ、何かしら指示を出した後、目的地に向かって走り出した
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前線基地で色々と聞かれたが、問題ありません とだけ伝えてテントへ戻った
ふぅ…これ以上、神の子扱いは 流石にやりにくい
ジャックとルッソに警護を任せ、ミトとテントへ入った
『ちょっとやり過ぎちゃったかなぁ…
数年ぶりに使ったから、加減が分からなくて、、』
『いえ、ニーノ様は流石です! これでかなり状況は進展したと思います!
ただ、お身体が心配ですので、せめて横になっていて下さい』
『分かった、少し仮眠でも取ろうかな、誰か来たら起こして』
そう言って、ベッドに横になった
横になると思った以上に疲れていたのか、役目を終えて安心したのか
僕は直ぐに眠ってしまった
前線基地も、僕の殲滅魔法で動揺していた様だが
状況の確認程度なら、と休息予定の兵士達や多くの者が
このあと出払ってしまっていた事を、僕も護衛も気付いていなかった
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『しかし、凄まじいですな、これ程の力とは…
ニーノ様お一人で戦争が出来てしまいます』
『えぇ、我が息子ながら、少し将来が心配になりますね…』
ルエル子爵以下、多くの者が殲滅跡地の確認作業に追われていた
森の半分程は岩がゴロゴロしていたので、確認作業は難航していたが
幸いにも魔獣の出没報告は殆ど無かったので、落ち着いて作業は行えていた
目的のダンジョンも大半が岩で潰れて、入り口も岩で塞がれていた
少なくともここから、大量の魔獣が出没する事は無さそうだった
念のため、交代の見張りを数名付ける様に指示していた
多くの兵士に国境付近までの捜索を指示して、
魔法師団や、騎士団長以下、指揮してしていたチームは、一旦戻る事にした
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『ルッソ!これはどう言う事だ!裏切ったのか!!』
『い、、え、、ジャッ…ク、あ やつ られてる よ、です』
テントの外の大声で目が覚めた
どうやら、表の二人が揉めている様だ
『ニーノ様は私の後ろに…』
ミトの表情は張り詰めていた、その背中もかなりの緊張が見て取れる
只事でない事は分かった、外の様子も…おかしいままだ
『この先に用事があるので、通して頂きますよ、フフフ
あぁ、お前達はここにいる者、全員を始末しておきなさい』
『テメェ、何者だ!このさ き は…』
『全く煩いですね、大声を出さなくても聞こえますよ、聞きませんけど』
ドサッと 何かが倒れる様な音がして、テントの入り口が開いた
『やぁ、初めまして ニーノ君?…で合ってるかな?
君に用事があってわざわざ来たんだよ、抵抗しないでね、無駄だから』
そう言って僕とミトを交互に見ていた
その姿は大きなフードのついたマントを着ていて、容姿は見えなかったが
その姿からはあの神にも似た、絶対的な力の存在を僕は感じていた
ミトは震えているが、今にも飛び出しそうだ
僕はミトの手にそっと触れて、首を横に振った
『君は素直で良いね、ちゃんと見えている様だ』
『何者なんだ?、、少なくとも生き物では無いよね?』
『ハッハッハッ、ちゃんと見えている様だ
成程、神の子なのは本当なんだな、、お前
やはり大当たりだったな、、では、行くぞ 』
そう言って笑った直後、僕とミトの足元が黒いモヤに包まれた
床が有るのに、まるで落下する様な感覚に襲われて、意識が途切れた




