ミト2
『ミトはハーフだったのか…
うん、髪も瞳も紅くて…とても綺麗だ 隠蔽するのは凄く勿体ないけど
この国じゃ人族以外は極端に少ないから、、人族以外に初めて会ったよ
人族以外は怖い存在だって教えられてたんだけど…
全く怖く無い、むしろ美しくて気高い存在だと感じるよ
人族以外で初めて出会えたのが、ミトで良かった 僕は幸運だね』
この世界では人族は優位では無い
亜人や獣人は力が強い、エルフは魔力が高い、魔人はどちらも能力が高い
そのせいで、世界の均衡を保つのは難しい
人族が他の種族より優位なのは、手先が器用で人口が多いぐらいか…
なので人族が中心の国では、人族以外の排斥運動も多い
まぁ、自分達にとって脅威となる存在を、遠ざけておきたいのは理解出来る
僕が驚いているのは、ハーフとは言え魔人族が
人族の奴隷になるなど、余り聞いた事が無かったからだ
魔人族はその能力の高さもあって、他の種族よりも更にプライドが高いと聞く
ミトは何で僕の奴隷になったのだろう、謎はより深まった…
ただ、どの国においても、奴隷となるのは人族が一番多いのが現実だ
『あ、ありがとうございます、ニ、ニーノ様
そ、そんなに見つめられたら…少し、その…かなり、あぁぁ』
ミトはもの凄く恥ずかしそうにしていたが、とても嬉しそうだった
その姿は、年上の女性には失礼だと思うけど、、凄く可愛かった
もの凄く濃い桃色が、やはり激しく明滅している…??? 何だろう
明日は早朝から出発するので、早く寝て下さいと言われたので
挨拶をして、眠る事にした
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【ミト】
初めてニーノ様を見かけたのは、今から五年前の初任務だった…
ある理由からホワード家に雇われていた私は
エッカート辺境伯とホワード侯爵との連絡係を担当する事になった
訓練期間を終えて、これが初めての単独任務だった
表向きは連絡係だったが、辺境伯の周辺の情報を収集するのも範疇に含まれる
本当の目的は、ニーノ様の情報を定期的に王都へ持ち帰り報告する事だった
神の子…ニーノ様に敵対する存在の洗い出しは
特に最優先事項として、強く命令を受けて送り出されていた
訓練期間中は先輩と同行して、身辺調査や領内の情報収集を何度も行っていたが
大半の貴族は…嫉妬や強欲、私利私欲にまみれている事ばかりだった
その姿に高潔さは微塵もなく、特に子供は欲望に素直だったので…醜く感じていた
貴族とは、人とは…こうも欲望を抑えられない者なのか…
連絡係の命令を受けた時も、単独任務を受けた事も…余り嬉しくは無かった
ホワード家の方々は良く下さったが、それ以外の貴族に期待は持てなかった
初めてニーノ様を見かけたのは、庭でお茶会を楽しんでいる姿だった
『凛々しい…』
二歳に満たない子供には、きっと相応しくない言葉だと今でも思う
でも、遠くから見かけたその姿は、既に貴族としての高潔さを漂わせていた
初めてお会いしたエッカート夫妻は、貴族として十分に尊敬出来る方々だった
そんな夫妻の子供だから、ニーノ様を凛々しく感じたのだとその時は思った
あの日から五年間、ずっとニーノ様を影から見守っていたが
日を追うごとにその凛々しさには磨きが掛かかり、今でもその姿に変わりが無い
貴族の立場でありながら、平民にも分け隔てなく接する姿も非常に好感が持てた
何より…ニーノ様の周りには、いつも笑顔が溢れていた
自身の持てる力や能力を、正しく使っているからだと本能が感じていた
この方が領主になれば、間違いなく領地は発展し領民は幸せになるだろう
初めて会った時に感じた凛々しさは
ニーノ様ご自身の持つ姿だったのだと、今なら理解できる
私は間違っていなかった
今も、こんなにも笑顔が溢れているのだから…
護衛の命令を受けた時に、私はニーノ様との奴隷契約を志願した
私はあの方に必要とされ、あの方の役に立つ事だけを望んでいたからだ
あの方の未来を害する者の存在など、私は絶対に認められない
ニーノ様は皆を幸せに出来る、特別な…非常に稀有な存在なのだ
私はあの方を守る盾となる…と、もう決めていた
奴隷契約が済んだ時、私の身体はその嬉しさに打ち震えていた
この酷く満たされた、特別な感情は一体何なのだろう…
生まれてから今までに経験した事の無い、この喜びは何なのだろう
ーー 歓喜 ーー
ニーノ様、ニーノ様、ニーノ様…
私はこの先もずっと主人様だけに忠誠を誓い、一生この身を捧げます!!
ニーノ狂信者の一人目が誕生した、正にその瞬間だった




