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ミト


支度をしていると、お婆様の使いの者が僕を呼びに来た

その女性はこの屋敷で初めてみる顔だった

急いで支度を済ませてから、一緒にお婆様の部屋へ向かった


『来ましたねニーノ、この部屋にいる三名は貴方専属の護衛になります

 ジャック、ルッソ、ミトです 忠実な私の配下です

 皆は必ず、ニーノの命を守りなさい』


ジャック、ルッソ、ミトが呼ばれると其々が頭を下げた

ジャックは三十代後半、大柄で鋭い目付き、ガッチリした体格をしている

ルッソは二十代中頃、少し細身だが、纏う気配に隙が無い様に感じる…

ミトだけが女性、十代後半かな、綺麗で美しい人だ…


『ニーノ、ミト 私の前に…そう二人とも右手を出して

 ミトは今からニーノの奴隷となります、貴方を裏切る事は絶対にありません

 この契約が有る限り、一部を除いて貴方の命令に反く事も出来ません

 ミトは優秀な子です、常に付き添い、貴方を守ってくれるでしょう

 あぁ、ミトに強制をしてはいませんよ、本人からの願いなのです、ニーノ』


僕は驚いて、ミト…を見つめると真っ直ぐに目を合わせて頷いた

僕に首輪が手渡され、僕の血を首輪に一滴垂らす様にお婆様に言われた

その首輪を僕がミトに付けた

お婆様が呪文の様なものを唱えると、僕とミトの右手が光って…やがて消えた


『ミトはもう貴方の奴隷となりました、これからは貴方が命令するのですよ』

『分かりました、お婆様 ミトさん、よろしくお願いします

 子供の僕だと難しい事も多々有ります、今だけでも…助けてくれると嬉しいです』

『ニーノ様、私は主人の奴隷です、もっと堂々とされて下さいね』


僕が頭を下げると、ミトは何故か嬉しそうに…優しく微笑んでくれた

部屋に案内される前も濃い桃色だったが、今は非常に濃い桃色となっている

僕とは初対面だと思うのだが 奴隷 だからだろうか…?


『ニーノが望めば、契約を解除する事はもちろん可能ですよ

 貴方は本当に優しい子ですね、今後もずっと奴隷とするかは二人で決めなさい

 特別な契約をしましたから、解除する場合は私のところへ来なさいね』


そう言ってお婆様は僕を抱きしめてくれた


『貴方は聡明な子です、自分が非力な部分もちゃんと理解していますからね

 貴方を慕って支えてくれる者の力も、貴方の力でも有るのですよ

 だから、ニーノ 貴方の力をこれからも良く考えて、正しく使いなさい』


ジャックとルッソにも挨拶をすませて、一緒に玄関へと向かう


先程、お婆様が教えてくれた言葉を、僕は頭の中に刻み込んでいた…


ーーーーーーーーーーーーーーー


玄関には数十名の従者達と、父や母も既にいた

馬車で戻るのは時間が掛かりすぎるので、街で馬を変えながら戻るとの事だ

それでも四日程の行程となるので、少しの食糧や荷物を積む必要もある

皆が分担して班分けをしているところだった


軽く全員の自己紹介を済ませて、皆が馬へと乗り込んでいき

用意が出来次第、順次出発していった

お婆様が父と母に何かを伝えているが、喧騒で僕には届いていなかった

僕はミトと一緒に乗る事になっている


『ニーノ!必ず生きて帰るのよ、絶対だからね!!』

『兄様、必ずクラリスに会いに来て下さい、待っています』


二人も見送りに来てくれていた、屋敷の大勢の人達も…


『姉様、クラリス、お婆様、皆んな、行ってきます

 父様や母様の足を引っ張らないよう頑張るよ!』


それだけ告げて、隊列について行く様に、急いで後を追った



ーーーーーーーーーーーーーーー


王都を出てから、何十回かの休憩を挟んで、ずっと全力で走り続けていた

そのお陰で今はもう領内の少し手前の街まで辿り着いている

本来ならどれだけ早くても、三日以上は掛かると予想されていたが

実際には、二日程で城まで戻れそうなのだ


『これなら、明日には城へ戻れそうだな…

 しかし、こんな事が出来るとは、ニーノには驚かされる』


『本当に…あの子は私達の想像を超える事ばかりですね』


父や母、同行している皆が、感心した様子で馬達を見ていた


『ヒール』


僕は休憩の合間に、人だけで無く…馬達にもヒールを掛けていた

普通なら、体力を消耗すれば回復までに時間が掛かるのだが

魔法で有れば一瞬で回復する事が出来る


馬が一番消耗するが、人も消耗する

早馬の時は街ごとで馬を手配し、乗り換えながら移動する

場合によっては街で宿泊も行う、基本的に夜営はしない

盗賊や害獣、魔獣などで物騒だからだ


回復魔法の使い手が同行する際は、まず人に対して魔法を使用する

一日にヒールを掛けられる回数も、かなり限られているからだ

回復魔法師は、攻撃魔法師に比べて、魔力量は総じて少ない傾向にある

しかも術者の能力に依存するので、回復具合もバラバラなのが実体であった


僕の魔力量はかなり多いので全く問題ない、まだまだ余裕があった

能力が高いお陰か、魔法を使用した際の消費量がそもそも少ないのだ

馬達も全快させているので、問題なく街までたどり着けるだろう


『疲れた方は申し出て下さい、回復します』

『ニーノ様も、もう休まれて下さい、お身体が心配です』


馬達の回復を終え、僕は皆に声を掛けた

ミトさんはずっと一緒に回ってくれているので休めていない…


『ごめんね、ミトさんが休め無いよね、、うん、休憩にしましょう』

『そうでは無くて…あぁ、ニーノ様はご自身も大事にされて下さいね

 あそこの木陰で休みましょう、、

 後、私の事は ミト で良いのです 言葉遣いも普通でお願いします』


んー、呼び捨てって、苦手なんだけどなぁ

僕が丁寧に話す度にビクビクしている人もいて…言葉遣いって難しいなぁ

従者やメイドの何人かに尋ねたんだけど

上下関係がハッキリしている方が働きやすいとも、言ってたんだよね

僕は他人の目とか気にしないけど、立場的にそうも行かないらしいからなぁ


『んー、分かった ミト 一緒に行こう   …これで良い?』

『はい、ニーノ様、一緒に参りましょう』


ミトは凄く嬉しそうに返事して、手を繋いでくれた

ミトは非常に濃い桃色が、更に明滅していた…これは何だろう?

不思議に思いながら、木陰で一緒に休憩した



日が傾く前に、全員が街へ辿り着く事が出来た

今夜は宿で一泊し、明日は城へ戻る

父は明日戻る事を伝えるため、特別な使いを出していた


街の規模は大きく無かったが、無事全員が泊まれる様だ

ただ基本二人部屋なので、僕はミトと泊まる事になった


皆で今夜と明日のスケジュールの確認を行い

その後、それぞれに見張りや護衛のスケジュールを確認してる

夕食を終え、挨拶が終わると皆が部屋へと移動した

僕も父と母に挨拶を済ませ、ミトと一緒に部屋へ向かった


『今日は大変な一日にだったね、ミトもお疲れ様』

『ニーノ様こそお疲れ様でした、今夜は私が一緒ですので安心下さい

 外では護衛の二人も交代で警戒していますので大丈夫ですよ』


そう言って寝る準備を始めた…と言っても着替えも無いのでこのままだ

僕はずっと疑問に思っていた事を尋ねてみようと思った


『ミト … 少し話をしても良いかな?』

『はい、ニーノ様 何でしょうか?』


『ミトはどうして、僕の護衛で無く、、奴隷を選んでくれたの?

 僕とミトは今日が初対面だと思うんだ、、

 お婆様の話だと、強制では無いって事だったけど…

 こんな状況でも無条件に僕を守ってくれるのは、凄く嬉しいし凄く助かる

 本当に感謝してるんだ、ありがとう ミト

 僕は何を返せば良い? 僕にして欲しい事とか、希望とかあるかな?』


『ふふふ、ニーノ様は本当にお優しいですね

 大丈夫ですよ、ニーノ様

 私はそんなニーノ様だから、護衛で無く奴隷を選んだのです

 ホワード家の方々には、本当に凄くお世話になりました

 ですが、それだけではニーノ様の奴隷にはなっていませんよ

 理由については、今は控えますが…私が望んだのは間違いありません』


ミトはそう言って、やはり嬉しそうに微笑んでくれた

そんなミトは濃い桃色がどんどん濃くなっている…

姉様やクラリスより濃い桃色を見たのは初めてだ!


『本当にありがとう、ミト

 でも約束してくれるかな、ミトは絶対に死なないでね

 今回の事が落ち着いたら、ちゃんと奴隷から解放するからね

 だから、その間は助けてくれると嬉しいです

 ミトは絶対に無茶したり死なない事、これは守ってね』


『ありがとうございます ニーノ様

 貴方に支えるのが私の望みなんです、だから…解放は望んでいませんよ?

 私は簡単には死にません、ニーノ様を守れなくなりますからね ふふふ』


ミトはそう言いながら、左手のブレスレットを外した

ミトの髪や瞳が黒い色から紅い色に変わる、、、

そして、その身体の表面はかなり薄く魔力を帯びていた


『ニーノ様、私は魔人と人とのハーフなんです

 この国では珍しいですからね、普段は能力も隠蔽しています

 ハーフですが人族よりも、魔力や力はかなり強いです

 ですから、簡単には死にませんよ 安心して下さいね』



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