コント『コントと漫才の違いがわからない男女』
ツッコミ=ジョリーン(女)
ボケ=タケシ(男)
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ジョリーン「ねぇ、タケシ。聞きたいことあるんだけど、いい?」
タケシ「フッ。なんでもこの俺様に聞いてくれ」
ジョリーン「コントと漫才の違いって、なんなの?」
タケシ「フッ、そんなことも知らないのか。胸がそんなにペッタンコのくせに?」
ジョリーン「知ってるのね? 教えて?」
タケシ「いいか、よく聞け。漫才は日本語だ。ゆえにフランスにはない」
ジョリーン「なるほど」
タケシ「そしてコントはフランス語だ。ゆえに日本にコントは、ない」
ジョリーン「暴言出たよ。あるじゃん。今、ここに」
タケシ「いや、ないんだ。日本の往来で貴様はコントを見たことがあるというのか?」
ジョリーン「漫才も見たことないけどね、往来では」
タケシ「屁理屈はやめろ! とにかくコントはフランスものであり、日本にはないんだ」
ジョリーン「あ。アメリカのお寿司はお寿司じゃないみたいな意味でかな」
タケシ「愚か者め。これだけ教えてもまだわからんのか。では親切な俺様が、その意味をコントで貴様に教えてやろう」
ジョリーン「コントやっぱり日本にあるんじゃん」
タケシ「ここはパリのシャンゼリゼ大通りだ。日々コントが行われている」
ジョリーン「へ〜、フランスって往来でコントやってるの?」
タケシ「(片手を挙げて相方に挨拶する)サバ!」
ジョリーン「あ……なんだっけ。サバビアン?」
タケシ「ちっがーーう!!」
ジョリーン「え? 何が違うの?」
タケシ「これはコントだぞ? わかってないな、やはり。これだから日本人ってヤツは……」
ジョリーン「いや私の名前はジョリーンなんですけど、タケシくん」
タケシ「俺は今、『サバ?』と聞いたんだぞ?」
ジョリーン「フランス語で『元気?』みたいな意味だよね」
タケシ「馬鹿者! サバといえば魚の名前だろうが! これだから胸のないヤツは……」
ジョリーン「あぁ、そういうことね? 魚の名前を言われたから、私も魚の名前で返せってことね?」
タケシ「わかったのか? 本当にその養分の少なそうな頭で? もう一度行くぞ?」
ジョリーン「うんうん、やってみよう」
タケシ「(手を挙げて)サバ!」
ジョリーン「(控えめに手を挙げて)タイ!」
タケシ「タイってなんだよ!? タイって!? あー、もー!!(地団駄踏む)」
ジョリーン「え、なになに? 何がいけなかったの?」
タケシ「『タイ』なんてフランス語はないだろうが! ここはパリなんだぞ!?」
ジョリーン「ないのかな……。調べてみる(スマホを取り出す)」
タケシ「よせ! やめろ! あるかもしれないから! しかし、もっとフランス語らしく返してくれよ、この可愛い顔して胸ペッタンコ女子が」
ジョリーン「フランス語らしくって……どうすればいいの? 見本みせて?」
タケシ「(ドヤ顔)タイアラドゾ〜?」
ジョリーン「え?」
タケシ「わからんのか? 魚の名前でもフランス語っぽく言えということだ」
ジョリーン「あぁ、なるほどね。日本語で『タイ』って言うのでも、フランス語っぽく言えってのね?」
タケシ「貴様のその形のいい頭部でも理解したか? では、行くぞ?」
ジョリーン「うんうん」
タケシ「デュウグウノツカイ〜↑?」
ジョリーン「ヒラメ……ヒラメのムニエル」
タケシ「(舌打ち)キュサフグ、トォラフグ、フグゥサシィ〜?」
ジョリーン「あぁ、うんうん。ボラ、ボラ」
タケシ「(怒り出しかけて、やめる)ドジョドジョ、ウナウナ、チョウチンアンコ、スケソォウダラ、メザシィ? 僕ゥ……」
ジョリーン「あはは!」
タケシ「コント中に笑うな!」
ジョリーン「だってタケシの言い方が面白かったんだもん」
タケシ「お、面白かったか?(照れる)」
ジョリーン「うん。でも、本当はコントと漫才の違い、タケシも本当はわかってないんだよね?」
タケシ「いっ、いつから気づいていた?」
ジョリーン「もー、そういうところ、子供みたい。知らないことは正直に知らないって言いなよ」
タケシ「お姉さんみたいなことを言うな、貴様! あと俺があれだけセクハラ発言したんだから、たまには怒れ!」
ジョリーン「お子ちゃまに怒るようなお姉さんじゃありませんよ〜」
タケシ「フン! まぁ、俺はコントとは何かを探す旅に出る。ではさらばだ」
ジョリーン「そんなのスマホで調べればいいのに」
タケシ「一緒に来たいなら来てもいいぞ? 別に」
ジョリーン「コントとは、フランス語で「短い物語・童話・寸劇」を意味する言葉。日本ではいわゆる「演芸」や「お笑い」と呼ばれるジャンルに含まれるような、笑いを目的とした寸劇を指すことが多い(Wikipediaより引用)」
タケシ「調べるな! 俺がこれから自分の足で見つけに行くんだから! 来い!」
ジョリーン「あー、結局一緒に来てほしいのね? 素直じゃないなぁ〜」
タケシ「では、諸君。俺達はこれからコントとは何かを探しに行く。さらばだ」
ジョリーン「そういうコントでした。またね!」