01 トラブル
『リヴァイス 17 特使勇者たちと祝福の呪い』の続きで、
チームアランのお話しです。
お楽しみいただければ幸いです。
俺の名は佐州亜乱、ここではアランと呼ばれることが多い。
自分で言うのも何だが、慎重な人間だと思う。
臆病者と蔑まれたらそうですねと答えながらスッと身を退いて争い事を避ける、そのくらい慎重なのだ。
そんな俺でもトラブルが向こうから衝突して来る場合は、避けようが無い。
ひょんなことから異世界へと召喚されて、
俺なんかには勿体無い家族にも恵まれて幸せな生活を送っていたが、
いろいろあって不治の病と診断されてしまう。
『誠実なプレイボーイ』というその病いは、
出会った女性を無自覚に口説いてしまうもの、らしい。
ふたりの妻たちは、誠心誠意看病してくれた。
この病気の対処法は、家族から『存分に甘やかされること』だそうで、
看病とは、つまり……そういうことなのだ。
朝から晩までの休む間も無いソレは、何というか、とてもとても大変なのです。
心配する妻ふたりを何とか説得してツーリングの許可を得た俺は、
魔導輪転式寝姿運転車、通称マリネ1号、
要はサイドカー付きオートバイで久々の単独外出を満喫していた。
「…………」
あまりの解放感につい遠出してしまって、
今いる場所は国境付近の湖のほとり。
『収納』から水筒を出して、熱いお茶を一服。
人影の無い絶景に、ひとり佇む俺。
「そろそろ帰ろう、かな」
帰宅予定時間をすこしでもオーバーしたら、今後は単独外出も遠出も許してもらえまい。
マリネに乗りこんでからも、未練がましく周囲の風景に目をやった俺は、
湖の岸辺の小舟に、気付いてしまう。
どうしても小舟が気になって近寄ってしまった俺は、
自身の女性関係無自覚トラブル体質を再確認する羽目になる。
小舟の中には、
ふわふわドレスの女の子。
どんなに慎重派な俺でも、トラブルと鉢合わせしちゃうような場合は、さすがに避けようが無い、のだ。