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プロローグ
「シャー!」
僕の目の前には大人ほどの大きさもある黒い2匹の巨大な蜘蛛。そしてその奥には、さらに巨大な白い蜘蛛が僕らを狙っていた。
まさに絶対絶命の危機だ。
だが逃げ出す訳には行かない。
僕は、頭に昆布を乗せた全裸の幼女を庇うように蜘蛛の前に両手を広げ立ちはだかる。
「大丈夫、僕が……護るから……」
4歳の僕が稼げる時間は、幾ばくのものだろうか。
それでも、男として、やらなければならない時もある。
その時……
「平気」
幼女はそう呟き、僕を押しのけ、蜘蛛の前に出た……
何を……
僕がそう思う間もなく、幼女の身体は光に包まれ……そして、僕の目の前には黒い鞘と、抜身の黒い刀身の剣が転がった。
僕は呆然としながらも、ゆっくりとした動作で、その剣を広い上げ、目の前に立ちはだかる巨大な蜘蛛どもを見つめた。